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首都ブシュタールの中央に鎮座する王宮。
そこで俺は王に拝謁し、ダンジョンで発見した宝石を献上した。王宮の専属魔導士がそれらを確認し、この奇跡のような大発見の褒賞として1000ゴールドを賜ることになった。
その金額に思わずビビる。
だって1ゴールドが約1万円なんだぞこの世界!ヤバいだろ。
王は魔導士から宝石の鑑定能力の高さの話も聞き、鑑定したバイナにも褒賞を出すよう指示していた。バイナ、良かったな〜。
ちなみに他に持ち帰った小ぶりの宝石は、褒美として半分は俺のものにして良いとのこと。うーん、この王様太っ腹。
元冒険者である王は、更に俺に剣を下賜するよう武官に命じた。そして持ってこられたのは一振りの銀の剣。
王が冒険者時代に使用していたというその剣は、腰に下げると収まりの良い長さと軽さ。その柄には軽い退魔の力を持つというアメジストが上品に配置され、玉座の間の明かりで煌めいているのがきれいだ。
ムユツミで購入した鋼のロングソードはもちろん良いものだが、この銀の剣は格が違う。
もちろんありがたく頂戴し王宮を後にした。
あー緊張した。俺は大きく伸びをし、ひとつ息を吐く。
たとえ勇者の記憶があっても、しょせん中身は平凡な大学3年生だ。ああいうあらたまった場所は苦手すぎる。
王宮の事務官は、滞在中の宿も手配してくれていた。街中の高級なホテルだ。
まあこれは監視なんかの意味もあるかもしれないが、至れり尽くせりの待遇だよな。さすがムユツミの一般宿と違い、ふっかふかのベッドが心地よい。
「なあ、アド。前に教えてくれたストーリーでは、仲間に賢者は居なかった気がするけど、ユージンは仲間ってことでいいのか?」
『彼を誘っておいて今更何を?って感じですけどね。別にいいんじゃないですか?あれはざっくりとした粗筋なので。不要だと思えば放置すればいいだけですし』
アドはいつものように他人事みたいに言うな。
『それよりエイト。ふふっ…ようやくふたりきりになれましたね』
…おいその言い方やめろ。
「うーん、そうだな。これからふたりで旅になるだろ。まあよろしくな。ところで今後は直接エルフの国に向かう、でいいのか?」
『そうですね、あなたが心配していた旅費も確保したことですし。でもまず、今後の為に旅の装備を充実させてみては?立ち寄る先々でふさわしいものを探す必要があるでしょうし、その合間にエルフの情報が見つかるかもしれませんよ』
「…アドさぁ、なんか意図的に俺の旅を長引かせようとしてない?」
あまりに親切設計なアドの言葉をつい怪しんでしまう俺。
『姫を探すんでしょ?なら情報は足で稼ぎませんとね〜』
からかうように言うアド。
こいつ自分からは何も教える気はないな…やっぱり不親切。
とりあえずギルドからの依頼は終わったし、久々のブシュタール滞在だ。朝から拝謁で疲れたしちょっと昼寝しようと、俺は柔らかい匂いのするシーツに顔を埋めたのだった。




