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page.193

日が暮れ始めた頃、俺はシェルナートの西側にある山に向かっていた。この山に、この旅の目的地であるダンジョンがあるんだ。


「うーん…確かこの辺りだったと思うんだけど。」


山道を歩きながら、魔石ランプを取り出した。ゆっくりと辺りを照らしながら探すが、薄暗い中ではなかなかダンジョンの入り口を見つけることができない。


「昼間に来れば良かったかな?」


『は?今更何言ってるんですか』


ぐっ!またアドに呆れられた。


その辺りをぐるぐるとしばらく歩き回った俺は、ようやくダンジョンの入り口を見つけた。


「多分、ここだな。入るぞ。」


アドにそう言って、俺は久しぶりにダンジョンの中に足を踏み入れた。妙に静かなダンジョンの中の階層をゆっくり降りてゆく。


「何も出てこないな……違うところだったかな?」


5階層まで降りてそう呟いた時、アドの声が脳内で鳴り響いた!



『ジャンジャジャジャーン!さぁて皆様お待ちかね!お待たせすぎちゃって忘れてないかな《選択》タイム!!!アドベンチャーゲームブックと言えばこれ!選んだページで行き先が変わる!エイトの運命のショーーー!ターーーーーイムッ!!!』


「うるさいってば!ちょっと待てアド!今日はそんなことやってる暇は……」


『待てませーん』


いつものように俺の苦情は無視された。


『さてエイト、あなたはアドベンチャーゲームブックのページを選択し、先に進まなければなりません。どれを選びますか?』


空中にスクリーンが浮かび、選択肢が表示された。


―1ページへすすむ→

―59ページへすすむ→

―92ページへすすむ→



「アド、またステータス画面で確認してもいい?」


『良いですよ。時間はたっぷりありますので』


俺はステータスをオープンし、ゲームブックのページのタブを確認した。ヒントになりそうならいいけど。


【アイテム】

・3ページ 奇跡の妙薬(使用済)

・22ページ オリハルコンの欠片

・42ページ エルフの黄金の短剣

・50ページ ドワーフのコイン

・137ページ 


【正しいルート】

・87ページ 3階層への道


【罠】

・10ページ 毒ガス

・33ページ 岩転がし

・71ページ 無数の矢

・79ページ 水責め

・90ページ 振り出しに戻る

・91ページ 幼子の眠り

・215ページ 底なしの空間


【その他】

・25ページ 行き止まり

・44ページ ダンジョンの中

・92ページ ピクシーの部屋



「あれ……?アド、92ページって2回目じゃないか?こんなこともあるのか?」


『そうでしたか?そんなこともあるんですねぇ〜〜〜』


なんかわざとらしいな。まあ、ピクシーの部屋は安全だから後回しにするか、ピクシーの部屋だけに行くか……


しばらく悩んだ俺はとりあえずチャレンジしてみることにした。さすがに本の1ページ目に罠はないだろう。めくってそく罠なんて本、誰も読まないだろうから。


「よし、アド!1ページだ。」


『畏まりました。ではエイトを1ページに転移します』





転移されたそこは密閉された小部屋だった。


「……なんかこんなパターンよく有るな。」


呟きながら出口が無いか調べ始めた俺の耳に、嫌な音が響いてきた。


「……天井か!?」


ギリギリと大きな音を立てて、天井がゆっくり下がってきた!俺は必死に部屋中を走り回るようにして出口を探すが、どの壁にも隙間すら無い。


俺は崩れ落ちるようにしゃがみこみ、絶望的な目で迫ってくる天井を見上げていた……









〈終〉






「ぐわああああぁっっっ!痛ててて!潰された!また全身潰されたぞ!!」


全身に残る痛みに起き上がれず、いつものようにアドに文句を言う俺。


「ほう……これが噂の……」


俺の耳に聞こえてきた声はアドではない、別の男の声だった。


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