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まだ呑むというバイナと別れて、俺は宿に戻った。
風呂の後のアルコールでほんわりいい気持ちだ。
ベッドに腰を下ろし、落ち着いたところであらためてアドに聞いてみることにした。
「なあ、アド。全てのクエストをこなさないと本当に戻れないのか?すっ飛ばしてドラゴンのところとか無理なんだろうか?」
『うーん…全ての選択肢を正しく選べることができれば、もしかするとできるかもしれませんが、エイト単独だとドラゴンの前に出た瞬間に塵と消えますよ?』
「……それは選択肢の時みたいに、やり直しってのは……」
『無いですね、塵は塵です』
うーん、やっぱり無理かぁ。
『どうしました、エイト?もしかして五月病ですか?』
「いやいや、就職してないから!!」
そうだよなぁ、実際そろそろ内定取ること考えないと。とはいえまだ就職したい企業も無いしなぁ。
ぼんやり考える俺。
『もう勇者に永久就職しますか?』
「なっ……せんわ!」
『ふーん。そういえば前から気になっていたのですが、エイトが突っ込む時、たまに関西なまりになってません?』
不思議そうに言うアド。こいつ俺のことに興味は無いと思っていたけどそうでもないのか?
「ああ、それか。うちの母親が関西出身なんだよ。」
そう言って思い出す。親父のマイペースさに全力で突っ込む母親と、うちの奥さんは元気だなぁと呑気に笑う父親。
うっ…なんかしんみりしてしまうかも。
「でもなんで関西って分かるんだよ?」
『それはもう、あの図書館で暇すぎたからお笑いのDVDを見ていたんですよ』
……いやだから、本がどうやってプレイヤーの操作できるんだよ。
『その割に、なんでやねん!とか、もうええわ!とか言わないなと思っていたんです』
「毎回そんなベタなこと言うかよ!もうええわ!」
……あ。
ゔっ…しまった!釣られた!
『うっふふ。なぁんだ、やっぱり言うんじゃないですか〜』
妙に嬉しそうなアドに頭を抱える俺だった。




