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俺とアルトはフィルマルト王国の地図を確認していた。
「国境を越えると、一番近い都市はファルナートだ。しかし、エイトとハクはファルナートで多くの人に見られていると思われる。ということは、なるべくここには近寄らないルートがいい。」
アルトが北東の都市、ファルナートを指差しながら言う。
「うん、確かにそうなんだけど。以前俺たちは国境近くの村で休ませてもらってから、その村の人にファルナートへ送ってもらったんだ。ファルナートからしか都市間の馬車が出ていないから。あの国は元々都市間直行便が多くて、地元民以外が乗り合い馬車を使うのが難しいんだよ。」
「なるほど。俺は貸切馬車でしか移動したことがないからな。しかし、いちいち馬車を雇うのも面倒か。逆に行動が目立ってしまう可能性が高い。」
アルトは地図に目を落としたまま言う。
「それと、この辺りにはほとんど森が無いな。こんな木の少ない林がある程度の場所では、目立つハクに乗るのは無理だ。」
地図を見ながら、どうやったら目立たず、かつ早く往復できるかを話し合っていた時、執事がアルトに手紙を持ってきた。
「アルティウス様。お手紙が届いております。急ぎのものがありますので、とりあえずこちらにお持ちしました。」
「ああ、ありがとう。見ておくよ。」
執事はアルトに手紙を手渡すと、俺たちが見ていた机上の地図を見た。
「ほう、フィルマルト王国ですか。もしかしてエイト様は、フィルマルトの収穫祭に行かれるのですか?来月頭からですから、もうすぐですね。」
そう言い執事は退出し、俺たちは顔を見合わせた。
「エイト、これはもしかしたら首都までは簡単に行けるぞ!」
「え?どういうこと?」
アルトの話はこうだ。
フィルマルト王国の首都で開催される秋の収穫祭では、この時期にしか採れない珍しいフルーツが販売される。
それを目当てに各国の貴人たちは、こぞって首都を訪問するのだ。
「父の友人に、毎年収穫祭に参加している貴族がいる。エイトはそのお付きの者としてフィルマルトに行けばいい。そうなると変装用の衣装がいるな。ふふっ、これは楽しくなってきた。」
「……変装用の衣装?」
「だって冒険者の服では行けないだろう。うーん、どんなものがいいかな……常夏の国だし薄手にして、色は明るめがいいか……」
アルトは衣装の方に頭がいってしまったようだ。天井の方を見上げながら空想しているのか。
「アルト。その話はありがたいけど、その方に迷惑じゃないかな?」
アルトは、ハッと気がついたようにこちらを見た。そしてにっこり笑う。
「大丈夫と思う。ついていくだけだし、首都では別行動にすればいい。首都での滞在先のあてはあるか?」
首都のサルティオルトには友人の経営する宿があることを伝えると、アルトは頷いていた。
「行きと帰りだけは一緒に行動する必要があると思うが。よし、今夜父に相談しよう。それまでどんな衣装がいいか一緒に考えようじゃないか!」
「いや、服なんて別に、目立たなくてマトモなものならどんなのでもいいよ。」
「なんだ、エイトは変装するのが楽しくないのか?」
いかん、アルトは完全に面白がっている。
俺は仕方なく、あーでもないこーでもないと盛り上がっているアルトの相手をするのだった。




