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一体何をどうやったのか、小さな水鏡を通しての映像から、突然、まるで向こうの部屋と接続してしまったかのような鮮明な光景に俺は言葉を失った。
アルトが固まったままの俺の肩をぽんぽんと叩いて言った。
「一体いつまでそんな変な顔してるんだ?マイルの術式を見て、それを拡張固定してみただけじゃないか。まあ俺たちが双子だから簡単にできたってこと。」
『そういうことですね。あ、皆もちゃんと座って。アルトのおかげでエイトさんとゆっくり話ができますよ。』
いや、君たち軽く言ってるけど、多分そういうことってだけじゃない。三大魔導家リヴァリエルの双子だからできることだと思うよ。
俺たちは映像に向けてソファを移動し、なるべく近くに行くようにした。まあ近づいても近くなるって訳ではないんだけど、そこは気持ちの問題だ。
シェアハウスの面々も、いつもの席に座って興奮した顔を見せている。
俺たちは近況についていろいろ話した。
皆は相変わらず学術施設で勉強を続けている。ジェリコは後期で卒業するそうだ。
「ジェリコ、やっぱり実家の農家を継ぐのか?」
ジェリコに聞いてみると、予想もしない返事が返ってきた。
『いやエイトさん。俺ね、シェアハウス管理会社に就職することに決めたんですよ。』
「ええっ!何で?」
『このシェアハウスって全国展開してるじゃないですか?転勤も多いっていうし、仕事しながらあちこちの米や農家の研究ができるって言ったら、家を継ぐまでならって親が承知してくれました。』
意外な方面に行ったな、ジェリコ。
「メイリン、元気そうだね。魔法研究の勉強は続けてる?必要な本とかあったら送るから言ってね。」
アルトがウインクとばしてる。まだ諦めきれてないのか。まあ、好きな気持ちはどうしようもないもんな。恋愛経験の無い俺が言うのもなんだが。
俺とアルトがドワーフ国に行った時の話をしたら、皆興奮していた。
『馬がいない代わりに、コボルトが曳くトコトコエクスプレス?いや、それも合理的なのか……?』
魔導馬車の開発研究の勉強をしているユアンが悩んでいる。でもあれはなんというか可愛いぞ。
『アルト……大丈夫でしたか?』
マイルが心配そうな顔をしてアルトを見ていた。
ドワーフのエルフ嫌いは有名だ。
紫のエルフと関わりがあるリヴァリエルに対してドワーフがどんな態度を取ったか。マイルはそれが想像できるだけに心配しているのだ。
「ああ、大したことは無い。大声でわめかれてうるさかっただけさ。」
アルトはなんでもないことのようにそう言った。
俺たちは時間めいっぱいまでおしゃべりして、大笑いして過ごした。
俺は皆に言った。
「皆、手帳ありがとう。本当に役に立ってるし、メッセージも嬉しかった。毎日見てる。」
メイリンがいつもの早口でツッコんできた。
『エイトさんそれ本当?通信できるまでこんなに時間かかったし、ほんとは手帳のことしまい込んで忘れてたんじゃないの?ちゃんと使うのよって言ったでしょ?』
「ゔっ…メイリン……ごめんなさい。」
『やっぱりね。でも元気だったから許してあげるわ。』
『エイトさん、ハクも元気?ハクにもよろしくね。』
メイリンの言葉に心をえぐられた俺に、ほんわかとしたヒマリの口調が優しく響く。
「うん、ヒマリ。ハクに伝えておくね。」
『皆、今日はアルトのおかげでゆっくり話ができたけど、これはめったにないことなんだ。アルトありがとう。そしてエイトさん。時間ができれば、また遊びに来てくださいね。』
アルトはマイルの言葉に、たいしたことじゃないよというかのように、軽く手を振っていた。
最後に俺たちは大きく手を振って、映像が消えるまで大きな声でバイバイと言い続けていた。
シェアハウスの映像が消え、元の部屋の光景が戻った。
「アルト、本当にありがとう。」
「いや、俺も彼らとまた話ができて楽しかった。しゃべりすぎて喉が渇いてしまったな。クラリスにお茶を淹れてもらおうか。」
「あ、常温でいいならここにあるよ。」
俺はふたつのグラスに紅茶を注ぎ、アルトとグラスを合わせて乾杯した。




