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「エイトさん、お帰りなさい。今、凄いですよ。」
ユアンが俺を見て言ったその時、俺は広間に特設されたステージが目に入った。
なんじゃこりゃーーーーーー!!!
楽団!?オーケストラ!?
女性が大声で歌ってる!?!?
「アルトさんがオペラ歌手を呼んだんですよ、劇場に行く代わりにって。」
演奏の大きな音が響く中、聞こえるようにジェリコが耳打ちしてきた。
「しかも、エイトさんの偉業を讃える内容らしいです。」
なんじゃそりゃーーーーーー!!!
呆然としている間に、歌い終わったらしい女性は深々とお辞儀をしていた。ほっ…終わったか。
すると、アルトが拍手をしながらステージ前に立った。
「ミス・ユニスワ、素晴らしい歌をありがとうございました。続きましては、吟遊詩人ナミラサに、今首都で大人気の『勇者と猛きユニコーン』を歌っていただきましょう!」
なっ………!!!
「お願いだからヤメてええええええ!!!」
俺の魂の叫びは、オペラ歌手の声より大きく広間に響いたのだった。
…………吟遊詩人はやたらと歌が上手かった。
SNSで晒されるってこんな感じかもしれない。
そんな地獄から解放されて、ヨロヨロと部屋に戻った俺は、部屋の扉にもたれるようにしていたマイルの姿を見た。
「あ、エイトさん。あれ?疲れているようですね。大丈夫ですか?」
「ああ……ちょっと地獄を見てきてな。そういえばマイルは来なかったな。」
「地獄…?ええ、今しがたまで父と話していたので。良ければ入ってもいいですか?」
「もちろん良いよ。どうぞ。」
部屋に入るやいなや、俺は倒れ込むようにベッドに座った。マイルは置いてある椅子にかけた。
「エイトさん。僕は来季の講座の終了後に、フィルマルトの研究施設に行こうと思います。そう父に話しました。」
「え…キース教授のところにか?」
「ええ。父は僕がここに戻ることを望んでいますが。」
「マイル、それって…エルさんのこともあってか?」
マイルの声は穏やかで、でも強い決意が感じられた。
そのことは聞いていいかどうか分からなかったが、言わずにいられなかった。俺のその言葉に、マイルは笑顔で答えてきた。
「僕は生涯研究を続けたいんです。リヴァリエルの後継ぎはアルトが居ますしね。父は今のところは受け入れてくれました。」
「……そうか。それも良いかもな。マイルならキース教授とうまくやっていけるだろうし。」
俺は立ち上がってマイルの前に行き、手を差し出した。
「そう決めたなら頑張れよ。応援してる。」
マイルは立ち上がって、俺の手を固く握った。
「まだ半年以上先ですけどね。それにまだしばらくはリヴァリエルのスネかじりです。タイミングが合えば、また研究施設まで護衛をお願いしますね。」
「いや、どう考えてもマイルのほうが強いだろう。」
「え?僕はただの学生ですよ?」
マイルのそのとぼけた返事に、ふたり同時に吹き出してしまった。




