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ファルナートでの3日間が過ぎ、俺たちは首都サルティオルトに戻ってきた。
さて、これからすぐセレチャルトにマイルを送っていかないと。
マイルはクヌルギのシンラ教授の代理で、研修の為に来ているのだ。俺たちはその研究の成果と、今後の研究用のサボテンをセレチャルトから持って帰らなきゃならない。
ウィンベルトが呆れたように言ってきた。
「君等は忙しないな。よくそんなに動けるもんだ。」
「俺たちは若いからな。おっさんはゆっくりしてればいいさ。」
「誰がおっさんだ!俺はまだ32だぞ!!」
皆が俺たちの軽口に爆笑していた時、マイルが声をかけてきた。
「エイトさん、キース教授が、良ければ皆も来ていいと言っていたんです。研究施設を見学させてくれるそうですよ。」
「そうなの?行きたい行きたい!ねえ、皆も行きたいよね!」
なんでも知りたがりのメイリンが大興奮だ。やはり皆が行ってみたいと言うので、馬車で都市の南側へと移動し、森でハクを呼び出した。
「ハク、大丈夫だったか!」
ジェリコがハクの顔に抱きついている。ジェリコが大好きなハクも大喜びだ。皆は先日のハクの大活躍を褒め、お礼を言い、リンゴを順番にあげていた。
「ではセレチャルトに出発だ!」
やはり熱帯雨林ゾーンを突っ切る時のスコールに皆驚いていた。そして強烈な雨の中、ハクのおかげでその雨が馬車を避けることに驚愕の声も上がっていた。
セレチャルトの手前でハクの馬車を降り、ハクを見送ってから俺たちはセレチャルトの街に入り、遅めの昼食を取った。熱帯雨林エリアで取れる果物中心のサラダだ。
「うわ!果物甘い!」
「味が濃いよね、ヒマリこれ好き。」
皆、果物に夢中だ。この世界で一番果物が美味しいのはここかも知れないな。
少し散策する皆と別れて、俺は冒険者ギルドに寄った。
基本的に滞在期間中に、必ず一度はギルドに登録証を提示するのが冒険者のルールだ。
「あ!エイトさん。聞きましたよ〜。大活躍されたそうじゃないですか。」
受付のハツリが嬉しそうに言う。うわー嫌だな。
「あ、もう話伝わってるんだ。」
「そりゃもう!ファルナートのギルドが全世界のギルドに向けて発信してましたよ!エイトさん超有名人です!!」
ぎゃーーーーやめてぇ!俺晒し者かよ!?
ショックに真っ白になりそうな俺に、更に追い打ちがかかる。
「勇者エイトがギルドに立ち寄ったら、王宮に来るよう伝えてと、フィルマルトの王宮からメッセージがありました。よろしくお願いしますね。」
「えー、聞かなかったことにするってのはダメかな?」
「もう聞いちゃったからダメですね。」
にこやかに言い放つハツリの前から離れて、なんとなく依頼掲示板を見るふりをしてからギルドを出た。
やだなーめんどくさい。でも行かなきゃならないんだろうな。首都に戻ったらギルドから連絡してもらおう。
皆と合流して馬車に乗り、都市の南側にある研究施設に到着した。その独特の雰囲気に、皆はちょっと緊張気味だ。
「マイルです。ただいま戻りました。」
「お帰りなさい。皆様ご一緒ですね。どうぞ。」
受付を通り、キースの執務室へと向かう。そこにはキースと、助教授のカッツェが居た。
「マイル君、戻ったか。そちらが友人御一行だな。よろしく。」
キリッとした美人のキースに皆見惚れているようだ。中身は相当な変人だけどな。
「早速だが、部屋を教えるから荷物を置いてくるように。相部屋だが、もちろん男女別々だ。マイル君案内してやってくれ。」
ナンバーのついた鍵をマイルに渡しながらテキパキと説明をするキース。
「荷物を置いたらここに戻ってくるように。施設を案内しよう。案内役はこちらのカッツェ助教授だ。私は研究室に居るから見に来てもいいぞ。」
「教授、ありがとうございます。」
代表してマイルがお礼を言った。彼は俺たちを2階の部屋に案内してくれた。
「じゃあメイリンとヒマリがこちらの部屋、隣がエイトさんたち3人で使う部屋です。荷物を置いたら出てきてくださいね。先程の執務室に戻りますから。」
そう言ってマイルは自分の部屋に荷物を置きに行った。
「マイルは、すっかりここの人になっちゃってるな。」
ジェリコが不思議そうに言った。シェアハウスの仲間なのに、変な感じなんだろう。
「以前からですけど、更に落ち着いた感じがしますよね。」
ユアンもマイルの変化に気づいたのだろう。マイルはここで良い影響を受けたようだ。
俺たちは待っていたマイルと一緒に、先程の執務室へと戻った。カッツェ助教授は俺たちは孫の年頃だと言い、嬉しそうに施設を案内してくれた。
ここでは数多くの研究が行われている。
農業、工業、自然現象から魔法、魔物などについてなど、ほぼ何でもありだ。
キースはここを総括しながら、自分の複数のプロジェクトも手がけている訳だ。そりゃ忙しいわ。
キースの研究室も覗かせてもらうことになった。彼女は今は例のダンジョンの物体を検証しているとのことだ。
「あっ!タルスさん!」
ヒマリが声を上げた。そこにはキースと蒼のエルフのタルスが居たのだ。




