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翌朝、俺たちは早朝の港を見に行った。
漁船が忙しく行き交っている。魚を捕る時間のようだ。
港に戻り、俺たちに気づいた漁師が声をかけてきた。
「おはよう。面白いか?そろそろジェルフィッシュの出てくる時期だから、それを避けて魚捕るのが大変だ。」
そう言い笑う男に、ヒマリが質問していた。
「おじさん、ジェルフィッシュって何ですか?」
「ああ、ほぼ透明でぷよぷよした生き物さ。海の中でユラユラしていてな、ファルナートではシュノーケリングで見る人が多いんじゃないかな。」
ちょっとここからでは見えないそうだ。それは見てみたいねーと言いながら港を後にした。
その後、貸し切り馬車を利用して、シェルナートの街を散策した。
魚介の乾物屋。
珍しい道具もある釣具の店。
湖に住む魚と船の歴史が分かる博物館。
淡水真珠や底に沈む石の土産屋。
船の帆布を使ったバッグや小物の店。
後はどこの街にでもある魔道具屋や、武器屋などを見て回った。俺はハクに飾ろうと、土産屋で淡水真珠のアクセサリーを購入した。
「エイトさんの言う通り、僕たちの街と全然違うんですね。」
ユアンが少し興奮したように言った。馬車の部品を作る父を持つ彼は、船の部品に関心を持ったようで、博物館で一生懸命メモしていた。
メイリンとヒマリは淡水真珠のお土産を買い、ジェリコは乾物屋でいろいろ買い込んでいた。
「ジェリコ、これはごはんと一緒に炊き込むときっと美味いぞ。今夜やってみようか?」
ジェリコに魚の乾物のパックを見せて言うと、是非!と目をキラキラさせていた。
昼食を済ませ、帰路は普通に馬車を利用した。街並みや途中の風景を皆に見てもらうためだ。
「シェルナートなら馬車で3時間だから、自分たちだけでも日帰りできるだろ?」
「うん、また来たい!帰るまでにもう一度来ようかな。」
メイリンが言うと、皆も同意していた。うんうん、皆に良い経験をしてもらえたみたいだ。
あ、遠くにシェバハールの町の塔が見える。そういや近くに来たら寄ってねと言われてたんだっけ。後日行ってみてもいいな。
ウィンベルトの宿に帰ると、そこにはなんとマイルが居た。
「皆、お帰り。久しぶりだね。」
「マイル!久しぶり!!元気か?」
ジェリコが勢いよく話しかけている。相当びっくりしたようだ。
「私たちシェルナートに行ってたのよ。マイルも1日早く戻ってくれば一緒に行けたのに残念だわ!」
メイリンもいつもより早口で興奮していた。
皆でマイルを囲み、近況を伝えあっているうちに夕方になってきたので、カリンにキッチンを借り炊き込みご飯を作り始めた。
根菜を小さめにカットし、乾物をほぐしたものと一緒に水に入れ、少し醤油を入れて茹でておく。その汁ごと米と一緒に炊くのだ。
「あ、懐かしいね。匂いは違うけど、野宿の時にこんなの作ってたよね。」
カリンが匂いを嗅ぎながら言う。一緒にパーティー組んでたもんな…俺の中の勇者が。
「うーん、魚の風味がいいね。この香ばしさはあの蜜ですか?」
マイルが炊き込みご飯を噛み締めながら言った。パエリアの時の香りを覚えていたらしい。
「そうなの!これで刺身と海鮮丼を食べたのよ!最高だったわ〜」
「カイセンドン?なんだそりゃ?」
ウィンベルトが聞いてきて、海鮮丼の何たるかを皆が説明していた。彼は話を聞いて唸っていた。
「ここだと、魚屋で湖と海の魚貝類も入手できるからな。宿の名物にできんかな……」
「でもウィンベルト、この醤油、いや蜜の入手は難しいぞ。」
俺は蜜を採るためジャイアントビーの巣に踏み込み、刺されて全身腫れ上がっていたドワーフの話をした。
「うげ…そいつは嫌だな。」
「だろ?こんど作ってやるからそれで我慢してくれ。」
マイルは明日また戻るという。元々次はセレチャルトのダンジョンを調査するつもりだったし、マイルがここで少しでもゆっくりできるよう、明日はハクで送っていくことになった。
なんせこことセレチャルトの間は、馬車で丸一日かかるからな。
「皆と話せて楽しかったです。研究も楽しいですけどね。」
俺はマイルにおやすみを言い部屋に入った。部屋の中がひんやりして気持ちいい。ウィンベルトの付けてくれている溜氷プレートがいい仕事をしてくれているな。
俺は旅行後の心地よい疲れの中、いつの間にか眠りに落ちてゆくのだった。




