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3日かけて10カ所以上のダンジョンを確認したが、今のところ空振りだ。
以前地図が隠されていたダンジョン、そこには魔族がいた。
奴はビンスタスの劇場に現れて、フィルマルト王国で待つ的なメッセージを俺だけに送ってきたし、預言者のおばばも「俺はこの国で奴に会う」、そう言っていた。
以前ダンジョンの前で会った時には、もう空気が違っていた。だからダンジョンまで行くと分かるはずだ。
「うーん、でもなんか前と違うんだよなぁ。気のせいかな。」
マップにバツ印を付けながら俺は考えていた。
このシェリマルトは別名【ダンジョンシティ】だ。
以前は鉱石がよく採れていた地域で、その採掘時に異常に多くのダンジョンが発見された。だから、奴がダンジョンに現れるならここかと思い、巡っているんだが。
でもさ、なんか平和な感じがするんだよね。
「よし、いっちょ潜ってみるか。」
ダンジョンの前まで来て何もしないのもな。
俺はナイティブを近くの木にくくって、ダンジョンの中に入ってみた。
薄暗いので魔石ランプを灯すと、大量のコウモリが一斉にざわっとうごめいた!
「うわゎゎわわ!」
我ながら情けない声だ。俺はレベル30とちょっとの勇者だぞ。
階層を降りて行ってみる。聞こえるのは水滴が落ちる音と、俺の足音だけだ。
いや…前方から乾いたような軽い音が聞こえてくる。これはスケルトンか。
俺は鋼のロングソードを取り出した。ヤツらにはこれで充分だ。
角を曲がると、やはりスケルトンが居た。10数体か。俺に気づいたヤツらは襲いかかろうと走ってきたが、俺はソードを持つ手に力を込め、先頭のヤツを押し込むようにに斬った。
スケルトンは吹っ飛んで、後ろのヤツらとひとかたまりになる。
「衝撃波!」
手のひらから飛ばした魔力で、ヤツらはバラバラになった。これで倒せたヤツがほとんどだし、残ったヤツがいてもしばらく動けないだろう。俺は散らばった魔石を拾い集めて先に進んでみた。
見つけた部屋を覗いてみても何もない。探査済みとはあったが、アイテムも取り尽くされたダンジョンかな?ギルドでちゃんと聞いてくれば良かった。
そこで踵を返して戻ろうとした時だった。
『パンパカパーン!パンパンパパンパカパーン!さては皆様お待ちかね!待たせてごめんね《選択》タイム!!!アドベンチャーゲームブックと言えばこれ!選んだページで行き先が変わる!エイトの運命のショーーー!ターーーーーイムッ!!!』
「はいはい。」
『……あれ?いつものツッコミがありませんね。どうしました、エイト?』
「いや〜だって絶対お前、俺がダンジョン入るの待ってただろ?だからそろそろかな、って。」
『それはそうですけど……そんなあっさりされると私のお仕事が……くすんくすん』
「また泣き真似かよ。はいはい、お仕事お仕事。」
『なんで上から発言……なんかムカつくんですけど!』
空中にスクリーンが浮かび、選択肢が表示された。
―22ページへすすむ→
―33ページへすすむ→
―44ページへすすむ→
「ゔっ、アド。またえげつないな、これ。」
『つーん!』
やっぱり分からん。どうしようかな…
「アド!ステータスでチェックしていい?」
『どーぞ、お好きに!』
完全にへそ曲げちゃったな。やり過ぎたか。まあ後で謝るとして。
俺はステータスの、アドベンチャーゲームブックのところを確認した。
【アイテム】
・3ページ 奇跡の妙薬(使用済)
・42ページ エルフの黄金の短剣
・50ページ ドワーフのコイン
・137ページ
【正しいルート】
・87ページ
【罠】
・10ページ 毒ガス
・71ページ 無数の矢
・79ページ 水責め
・90ページ 振り出しに戻る
・91ページ 幼子の眠り
・215ページ 底なしの空間
【その他】
・25ページ 行き止まり
奇跡の妙薬が使用済になってる。
あれ?137ページって前から何も書いてなかったっけ?確か聖剣エクスカリバーのところだったんだけど。
まあいいか。今は選択肢を考えなきゃ。
「うーーー、やっぱ参考にならん!」
俺はステータス画面を閉じて、アドに言った。
「アド、33ページだ!」
『畏まりました。ではエイトを33ページに転移します』
俺は通路に転移された。ここもダンジョンなんだろう。
音が近づいてくる。何だ?何かが転がるような……
すると前方から通路いっぱいに巨大な石が転がってきた!
「なんかこれ映画で見たことあるやつーーー!!」
俺は必死に走って逃げるが、石はどんどんスピードをあげて迫ってくる!
「ぎゃああああああ……」
ダンジョンにこだまする俺の悲鳴は次第にかき消えていった………
〈終〉
「ぐわっ!痛てててて!今潰された!全身潰されたんだぞ俺!!」
全身に残る痛みに起き上がれず、いつものようにアドに文句を言う俺。
『間違えたのは、エイトですぅーーー』
きー!アドやっぱムカつく!
俺はぶつぶつ文句を言いながらなんとか起き上がった。
『さてエイト、次を選びますか?』
「はぁ~、じゃあ44で。」
転移された、そこは暗い場所だった。ここもまたダンジョンだろうか?
遠くから微かに音が聞こえるようだ。さっきの石のこともあり思わず身構えたが、何も起こる気配はない。でもなんだろうこの音、聞き覚えのあるような……
その光景はふっと消え、俺は元の場所に戻っていた。初めてのパターンだったな。
最後に残った22ページで、俺はオリハルコンの大きな欠片を見つけた。ラッキー、これは高く売れるぞ。
やっぱりここも空振りってことか。明日もまたダンジョン巡りだな。
夕闇迫る中、俺はナイティブに乗りそこを立ち去るのだった。




