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ファルナートで6名泊まれるような宿があるか冒険者ギルドで相談してみたら、なんと貸別荘が空いているのを手配してくれるという。
しかも学生のマイルの依頼で来ているので学割も使えるとのこと。もう拠点はここでいいんじゃね?
あと、受付で俺にメッセージがきていると言われたので、皆にちょっと待っててもらい確認した。
あ、ウィンベルトからの返事だ。
俺はフィルマルトに来ると決まってから、元冒険者仲間の彼にギルド経由でメッセージを送っていた。彼は首都のサルティオルトに奥さんと住んでいる。彼女も元冒険者だ。
頼み事はOKなようだ。よし、サルティオルトに行ったら彼らに会おう。
その貸別荘は湖岸の丘の上にあった。
部屋は10部屋以上ある。皆はその広くてきれいな建物や部屋に大興奮だ。
夕焼けに染まる湖がきれいだ。沖の小さな島もよく見える。
「エイトさん、いいんですか?学割がきいたとはいえ2泊にしたら高かったんじゃ……」
マイルが心配して聞いてきた。
「大丈夫だよ。溜まっていたポイントも使ったし、結構割り引きになったから。」
ファルナートに着いたのは夕方を過ぎてからだ。さすがに1泊では、今後のことをゆっくり決める時間はない。
それに俺は持っていた宝石をここで換金することに決めていた。なんせリゾート地だ。観光客が多いから、高く引き取ってくれる。
「今夜は近くのシーフードレストランに行こう。そこもギルドで予約しておいたから。」
翌朝、俺たちは朝食後に、これからのことについて相談を始めた。
「まず、俺たちは明日、首都に向かう。」
俺はギルドで貰った地図を指差しながら説明を始めた。
「拠点はここだ。西区にあるフォント街。」
「西区ですか。」
マイルが地図を覗きこみながら言う。
「うん。皆にはギルドを通じて、滞在できるところを手配していると言ってただろ?いくつか候補があったんだけど、宿を経営している友人と連絡がついた。夏休み期間をまるまる貸し切りにしてくれるとのことだ。」
「えー凄い!じゃあ途中で宿を移動したりすることはないのね。それがちょっと心配だったの。」
「ヒマリもそのほうがいい。すぐ道に迷っちゃうから、同じところにいられるの嬉しい。」
「僕もありがたいです。」
皆口々に喜びを伝えてくれる。
「だろ?それに西区だと、マイルが行くことになるセレチャルトへの馬車が便利だ。」
俺がそう言うと、ジェリコは少し寂しそうな顔をした。
「そうか…しばらくマイルとは離ればなれなんだな。変な感じだ。」
「ジェリコ、研究施設も休みがあるんだからずっと戻らない訳じゃないよ。皆で遊びにも行こうね。」
マイルは優しくそう答えていた。元々彼の教授からの依頼でここに来たんだからな。
「もう1泊してから、明日朝の馬車でサルティオルトに移動する。俺は馬車の予約をしてくるから、皆はゆっくり散策でもしておいで。」
俺はマイルに後を任せて外出した。
馬車の予約をし、武器屋で剣を磨いてもらい、宝石を換金したりと忙しく過ごしているうちに夕方になったので別荘に戻った。
すると、ダイニングのテーブルの上には、皆が作ってくれた大量の食事が用意されていた。
「今日はエイトさんに感謝の食事会ですよ。さあ座って座って。」
ジェリコが椅子を引いて待っている。
「エイトさんのおかげでフィルマルトまで来れたんだもの。お礼しなくちゃ。」
メイリンの言葉にヒマリ、ユアンもニコニコしている。
彼らは散策は少しにして、俺のために食事を作る時間にしたとのことだ。
「ここには、また後日遊びに来ますからね。皆がお礼が先だと。お楽しみはその時ってことです。」
マイルがウインクして、皆も座った。
俺は泣きそうになってしまった。なんてあたたかい仲間たちなんだ。ここは本の中の世界のはずなのに、彼らは本当に生きているんだな。
「うん、皆ありがとう。いただきます!」
「「いただきまーす!」」
食事の時間は楽しい会話とともに過ぎて行った。
さあ、明日はいよいよこのフィルマルト王国の首都、サルティオルトに到着だ。




