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俺たちはついにフィルマルト王国に到着した!


彼らが住んでいるダルメル王国の北部のクヌルギからこのフィルマルトの国境までは、だいたい札幌から博多くらいの距離だ。普通の馬車よりスピードの出る早馬車でも25日はかかる。


しかし俺たちはクヌルギを出発し、ビンスタスの滞在の5日間を含めて13日で到着した!

ということは移動は実質8日か。エルフのユニコーン、ダイハクリョクのおかげ様々。はりきってくれたもんな。白銀のエルフの王にも感謝。



「エイトさん、本当に俺たち、フィルマルト王国に居るんだな……」


ジェリコが感無量という感じで呟き、メイリンは興奮しつつ真顔で言ってた。


「ここがフィルマルト王国なのね。アルトさんに聞いていたように暑い!こんなの初めてよ!」



このフィルマルト王国は、この世界の巨大な湖の南岸に張り付くように存在している。景色はやたら極端で、穏やかな顔して中身は割と振り切れてる国って感じだ。


気候は南国寄りではある。常夏っぽい雰囲気はあるし、今は夏なので最高気温が30度くらいになる日もあるが、湿気が少ないせいか暑いのにわりと過ごしやすい。



北側の湖岸には都市がふたつある。ファルナートとシェルナートだ。この世界で直接湖に面しているのはこのふたつだけだ。


ファルナートはリゾート都市だ。湖岸の砂浜にはのんびりした観光客であふれてる。湖なのに海辺みたいな空気で、軽い雰囲気な場所だ。


一方で森を挟んでのシェルナートには砂浜がない。漁業が盛んで、いつも漁船が湖岸を行き交ってる。魚が美味いので今回も是非行っておきたい。


その南にあり、国を横断するようにあるのが首都のサルティオルト。湖と内陸の境目に押し込まれたような位置で、立地だけで国家を支えてる感じがある。


さらに南東と南西に、それぞれ性格の違う地域がある。


南東はシェリマルト。山の中に埋もれるようにある都市で、鉱山や遺跡が多くある。ダンジョンを探すならここだな。


南西はセレチャルト。学術都市なんだけど、一部は砂漠化が進んでいて、サボテンが群生しているエリアもある。マイルの目的地はここだ。


都市間には森があり、その間に農業をしている村がぽつぽつあるって感じだ。


そして今俺たちは、国境近くのその村のひとつでひと休み中なのだ。


「ここからだとファルナートまでは徒歩で3時間ってとこだ。歩くにはちょっと遠いから、誰か馬車でいく用事があるか聞いてきてあげるよ。」


第1村人こと、雑貨屋のマホンさんが優しい。俺たちがダルメル王国の北部から来た学生たちと聞いて、そんな遠いところから…と家にあげてくれ、冷たいお茶もだしてくれたのだ。


「マホンさん、お気遣いありがとうございます。」


代表してマイルがお礼を言う。


「じゃあ、とりあえずファルナートまで行こう。そこで1泊して、この国での拠点をどこにするか決めようか。」


俺はそう提案した。俺とマイル以外のメンバーには全く初めての国だ。ここにはマイルの研究の為に来たのだから、彼が動きやすいようにしなければならない。


「そうですね。基本的には首都となりますが、その中でもエリアを決めないと。ファルナートで地図と情報を貰いましょう。」


マイルがそういうと、皆頷いていた。

しかしほんと、ここの都市名は似ていて覚え辛いよな。地理のテストで合格する気がしない。


「君たち、午後からならファルナートへ行く人がいたよ。馬車の荷台になるけどいいかな?」


「ありがとうございます!もちろん大丈夫です!!」


ジェリコが飛びつくように返事をしていた。

よし、これで今日中にファルナートへ行けるな。宿が取れるといいけど。なんせリゾート地だからな、皆驚くぞ。


俺はこの国での初日、ファルナートでの滞在がスムーズに行くように祈る気持ちだった。


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