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朝食後、まず図書館に行ってみることにした。
このゲームブックの中の情報を確認、整理するためだ。
冒険者ギルドのあるエリアの一角にあるその図書館で、俺は大きな地図を借り、読書スペースのテーブルをひとつ陣取った。ギルドで支給される小さめのものはもちろん手元にもあるが、やはり大きな地図でこの世界全体を確認してみたい。
この本の世界にいるのは、人間・エルフ・ドワーフ・魔族がメインだ。他に森やダンジョンにいるモンスターたち。
広げた地図の真ん中には大きな湖がある。その真ん中に魔王城があるとのことだ。
『この湖の大きさは、琵琶湖のざっと18倍ですね』
……分かりやすいんだか、分かりにくいんだか。
「なあ、アド。なんで琵琶湖なんて知ってるんだ?」
『あなたと私が出会ったあの図書館で、誰か私を手に取ってくれないかな〜と待っている間、あまりに手持ち無沙汰だったので蔵書を全部読んでいたんですよ』
本が本を読むのかよ。
『それはもう全て読みましたよ。育児書から旅行ガイドから遺言の書き方までじっくりと』
ゆりかごから墓場まで、みたいに言うな。
しかしマジかよ。これじゃまるで海みたいだ。
その湖を囲むように、4つの国がある。
ひとつは西のバルマス王国―つまり俺がいるここだ。
北はクーリガルド正教国、東はダルメル王国、南はフィルマルト王国だ。
国の首都から他の国の首都へ移動するには、通常馬で飛ばしても1カ月はかかる。かなりの距離だ。
これら4つの国は大きな森で繋がっており、そして森の中にはそこかしこにダンジョンが隠されている。
そしてエルフの王国は北のクーリガルドの近くにあり、ドワーフたちは東のダルメルの近くに住んでいる。
外周は実際に海となっているらしいが、この本の本編には海は特に関係ないらしい。良かった、クラーケンでも狩りに行こうと言われたらどうしようかと思った。
「アド、ラストの舞台が魔王城だとして、どうやって湖の真ん中まで行くんだ?」
『湖の中には多くの島々があり、それを渡りながら近づいてゆく感じですね。ドラゴンはその島のひとつ、呪われた火山島にいます』
「マジか……相当な時間を費やすじゃないか……」
がっくりする俺に、アドが更なる追い打ちをかける。
『ところでエイト、気づいています?あなた静かな図書館で大声で独り言をいう痛い人になってますよ?』
慌てて周りを見回すと、変なものでも見るような目つきの人々が!?瞬間湯沸かし器のように顔に熱が集まり真っ赤になるのが分かった。
「……ア、アド!!!なんでそれ言わなかったんだよ!!!」
『別にエイトに聞かれてませんから』
「 お前……!この……!」
「エイトさん!図書館ではお静かにお願いします。」
図書館の司書に怒られ、平謝りする俺だった……




