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―しかしコイツは不思議なヤツだ。
俺はごろんとベッドに寝転び、天井の木目を眺めながら思案にふける。
俺の中に居るといいながら、決して心の中を読んだりはしていない様子だ。プライバシーは守ってくれているのか、ただ興味ないだけなのか。
普段もこちらから話かけるまで、特に用が無い限り話かけてはこない。単に寝ているだけかもだけど。
昨夜、アドにアドベンチャーゲームブックとはどういうものなのかと、そのルールを詳しく尋ねてみた。
ルールは簡単にいうと、今回の聖剣を取りに行くというイベントに選択肢が表示されたように、何度も現れるストーリーの分岐点で、自分で選択することにより道を選ぶ必要があるとのことだ。
ふと思って聞いてみた。
「なあ、アド。どれも選ばないという選択はあるのか?」
『…………………さあ?…………………』
その、妙な熱のこもった沈黙に、俺の心は何故か戦慄した。背中に嫌な汗が流れる。それだけはやってはいけない、そう感じた。
しかし、さっきの話し合いでバイトの件がOKだったように、この本のストーリーを大きく逸脱しない限りは自由度は高そうだ。
次に選んでみた137ページで聖剣を見つけることができたので、その場所がダンジョン内でのセーブポイントのひとつとなり、次回ダンジョン探索に行く時はそこからスタートできるとのこと。
またあの選択肢から始まったらどうしようかと思った。
昨日は聖剣をゲットしそのままダンジョンを後にしたから、まずダンジョン探索の依頼を続けてやってみよう。




