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「バイトする。」
びしっ!と待てのポーズを取りながら俺は言った。といっても相手は俺の脳内?にいるので、端から見るとひとりでポーズ決めているただの痛いやつである。
宿で昼食を取ったあと、部屋のベッドに腰掛け、アドと今後について相談中なのだ。
『エイト、聖剣は手に入れましたし、今すぐにでも次のストーリーに入れるのですよ?』
アドが不思議そうに言う。
「だって長旅できるほどの金が無いだろ?手持ちの7ゴールドだっていつまでもある訳じゃなし。移動して飯食ってたらすぐに無くなるかも。」
『それが何か困るのですか?』
「いや、飯食わんと死ぬだろう。」
『まさかそんな。10年くらい食べなくても死なないでしょ』
ころころと笑いながらふざけたことを抜かすアド。
「普通に死ぬわっっっ!ってか俺10年もここにいる前提なのかよ!!!」
―猛毒ガス部屋に転移した恐怖の冷めやらぬ中、次に選んだページで無事に聖剣エクスカリバーをゲットすることができた。しかしベタな名前だな。
その部屋の中には淡く輝く魔法陣があり、その中央に聖剣は刺さっていた。
近づいて柄を握り、ぐっと力をこめる。
驚くほど簡単にその剣は抜けた。
俺の身長よりは少し短い、太く大きいその剣を持ち上げてみると、思ったより軽くすっと手に馴染む。軽く振ってみると魔法陣と同じような光が淡く発生する。
「で、アド。これはそのまま持ち歩くのか?鞘みたいなものが見当たらないけど。」
『鞘はあなたの身体です。エイトが願うだけで、収納・取り出しのどちらも可能ですよ』
おおっ、かっこいい!かっこいいが何でも入れられるマジックバッグを持ってる意味なし。しかも俺の身体には既に本?が入ってるのだが、容量的には大丈夫か?
「よし、じゃあ収納だ。」
すると左手の甲に、先程の魔法陣が小型になったものが浮かび、その中に聖剣はすうっと吸い込まれていった。うおお、すげーかっこいい!まるでゲームみたい!!
いやまあ、俺は今ゲームブックの中にいるんだけど。
―ということで、先に進みたがるアドに、まず旅には準備がいると話をしているところだ。
『ふぅん……まあいいですよ。時間はたーーーーーっぷりありますから』
「………ぅぐっっ!」
早くこのゲームを終えて帰りたい俺の気持ちを、軽く抉るように言うアド。やっぱり可愛くないコイツ。
まずはこの町でいくつか依頼をこなし、旅費を稼ぐことに決めたのだった。




