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リヴァリエル家の別館に戻った俺たちを待っていたのは、妙に興奮したメイリンと、あーあという感じになっている仲間たちだった。
マイルはさっさと正装を脱いで楽な格好に着替えてきた。まるで何事もなかったかのような、いつものマイルでメイリンに話しかけた。
「メイリンどうしたの?そんなに興奮して。良いことでもあったのか?」
メイリンの興奮の元は、執事に案内してもらったリヴァリエル家の本館の書庫だった。
「だって一生かかっても読み切れないほどの本が置いてあるのよ!もしかすると国立図書館より多いんじゃないかしら?行ったことはないけど!」
メイリンはとにかく好奇心旺盛でなんでも知りたがりだ。初級とは言え講座の数も取りすぎて、予習復習時間の確保にいつも四苦八苦していると、ヒマリが教えてくれていた。
そんなメイリンが、魔導士の知の宝庫を見てしまうとそりゃ興奮するだろう。いつもの早口がもっと早くなっている。
「そんなことより腹減った。もうすぐ用意ができるってメイドさんが言ってたよ。マイル、ゴチになります!」
ジェリコがマイルを拝むように言っていた。マイルがこんな家の出身だと知っても、彼は何も変わらないんだな。
ユアンとヒマリは緊張しているけど。
「だってヒマリはこんなに大きな家に来たこともないし、メイドさんなんて初めてよ。」
「僕もそうです。なんだか怖いくらいです。」
うんうん、俺だって怖い。冒険者としてリヴァリエルの名は当然知っているし、知り合った魔導士たちも、本家など恐れ多くておいそれとは近づけないと言ってたし。
「まあまあ、これも社会勉強だよ。」
マイルはそう言ってニコニコしているが、こんなに常識外れな社会勉強はないぞ。
緊張して何を食べたか良く分からないがとにかくめちゃ美味かった夕食後、応接室に集まって今後の相談。
とりあえず、今日を含めて5日間滞在させてもらい、その後スクロは通過してフィルマルト王国に入る、ということになった。
スクロもこの王国の都市だが、フィルマルトとの国境のすぐ側なので、行きは通過してもいいかと。でも無理せず泊まることも提案には入れた。
明日はレポートをまとめたり、美術館や博物館、他には魔導や工芸の資料館など、各自見学してくる。ジェリコは1日クッキングスクールで米料理の研究をしてくるそうだ。
「ここは南部になるので、米の生育や味がクヌルギとは違う。料理法を調べておいて、帰路にまた食べ比べて確認する。」
おお、ジェリコも燃えているようだ。でも実家の農家を継ぐ目的を忘れんようにな。
「きっとジェリコは料理屋さんをするよ。ヒマリ絶対そうだと思う。」
「そうだな。そしたら皆で食べに行こうな。」
俺がそう言うと、ヒマリは約束だよって笑ってた。
ヒマリもそうだけど、皆、旅でちょっと日焼けしたよな。これからフィルマルトに行くともっと日焼けするぞ。
「あ、そうだ。皆、これから南下するともっと暑くなってくるから、服装は気をつけてな。ここで真夏用の服を買っておいてもいいかと思う。」
北部のクヌルギに住んでいる彼らは猛暑を知らない。まあ、この世界はそこまで暑くなることはないから大丈夫か。最高気温はせいぜい30℃だ。
「エイトさんありがとう。じゃあ明日はヒマリと買い物に行ってくる。可愛い服あるかな〜。」
「ヒマリも楽しみ。可愛い帽子も欲しい。」
キャッキャしている女子たちを微笑ましく見ていると、メイドから呼ばれたマイルが戻ってきて、王が明日朝に王宮に来いと言っていると伝えてきた。
えーやだなー、あの王様苦手だ〜。
今度は何を言われるんだろう……エルさんは治ったんだし、怒られはしないと思うけど。
皆が楽しい計画を立てている中、俺は妙に憂鬱になるのだった。




