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断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


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第95話 広がりすぎた戦場

 「……それは持たない」


 その言葉は、予言ではなかった。


 ただの事実だった。


 ――南部都市リュシエル。


 列は戻っていた。


 完全ではない。


 だが。


 確実に。


 人が並んでいる。


 怒りではなく。


 判断で。


 レティシアはその様子を見ていた。


 わずかに。


 だが確かに。


 流れは戻っている。


「……いけます」


 後ろの一人が言う。


 だが。


 レティシアは首を振る。


「いいえ」


 一瞬の間。


「ここだけです」


 その言葉の直後。


 伝令が走り込んでくる。


「報告!」


 息を切らしながら。


「東部都市、同様の混乱発生!」


 空気が止まる。


「北部でも!」


「西部でも!」


 沈黙。


 理解が追いつかない。


「……同時?」


 誰かが呟く。


「はい!」


「複数都市で同時多発!」


 その一言で。


 全てが繋がる。


 レティシアの目が細くなる。


「……広げましたわね」


 静かに。


 だが。


 確信して。


 ――


 黒装束の拠点。


 男たちが並ぶ。


 報告が上がる。


「南部、連盟側の現場対応確認」


「だが」


 一瞬の間。


「他地域で同時展開完了」


 奥の男が頷く。


「よし」


 短く。


「一点対応では追いつかない」


 それだけ。


 だが。


 完全な戦略だった。


 ――


 王城。


「……各地で同時発生」


 報告が積み上がる。


 机の上に。


 次々と。


 エルミアが言う。


「……こんな」


「どうして」


 イザベラが低く言う。


「簡単よ」


「一か所に来たなら」


「他を空ける」


 沈黙。


 それが戦術。


 そして。


 連盟は――


「……回せない」


 ルーカスが呟く。


 人が足りない。


 時間も足りない。


 現場対応は強い。


 だが。


 広げられたら終わる。


 レティシアが静かに言う。


「ええ」


 一瞬の間。


「これが限界です」


 その言葉に。


 誰も反論できない。


 ――


 リュシエル。


 再び。


 ざわめきが起こる。


「……東は?」


「北は?」


「どうなってる?」


 情報が流れる。


 不安が広がる。


 せっかく戻った流れが。


 また揺れる。


 その時。


 誰かが言う。


「……結局」


 一瞬の間。


「どこも安定してない」


 沈黙。


 それが。


 致命的だった。


 連盟も。


 統一も。


 どちらも。


 完全ではない。


 だが。


 違いがある。


「……あっちは」


 誰かが言う。


「止まらない」


 黒装束側。


 変わらない。


 どこでも。


 一定。


 それが。


 強い。


 人がまた揺れる。


 ――


 王城。


「……このままでは」


 ルーカスが言う。


「押し切られる」


 沈黙。


 レティシアは目を閉じる。


 そして。


 開く。


「はい」


 一瞬の間。


「だから」


 その声が、わずかに変わる。


「次に進みます」


 空気が変わる。


 エルミアが言う。


「……次?」


 レティシアは答える。


「均衡を」


 一瞬の間。


「壊します」


 沈黙。


 その言葉。


 それは。


 この戦いの根幹だった。


「……それって」


 エルミアが震える声で言う。


「やっちゃいけないことじゃ……」


 レティシアは答える。


「ええ」


 一瞬の間。


「ですが」


 その目が、強くなる。


「やらなければ」


 沈黙。


「全てが奪われます」


 その言葉に。


 誰も言葉を返せない。


 ついに。


 踏み越える。


 その時が来た。

ここで一気にスケールが広がりました。


今回のポイントは、

「現場対応の限界」です。


どれだけ優れていても、

広げられたら対応できない。


そしてついにレティシアが

“均衡を壊す”決断に入ります。


ここが物語の最大の分岐点です。


面白いと感じていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次話は“禁じ手”です。かなり重要な回になります。

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