表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/102

第90話 選び始めた民

 「“選ばれる戦い”が」


 その言葉は、すぐに現実になった。


 ――南部都市リュシエル。


 市場の風景が、変わっていた。


 列が二つある。


 一つは、連盟の配給所。


 もう一つは――


 黒い紋章の前。


 人々は並んでいる。


 だが。


 違う。


 その表情が。


「……どっちに並ぶ?」


 若い男が呟く。


 隣の女が答える。


「決まってるでしょ」


 一瞬の間。


「早い方よ」


 迷いはない。


 合理的。


 感情ではない。


 ただ、生きるための判断。


 それが、すでに起きている。


 ――


 連盟側。


「順番にお願いします!」


 役人が叫ぶ。


 だが。


 列は進まない。


 遅い。


 確認が必要。


 記録が必要。


 公平に。


 正確に。


 そのすべてが。


 足を止める。


「……まだかよ」


 苛立ちが漏れる。


「なんでこんなに時間かかるんだ」


 誰かが言う。


「仕方ないだろ」


「全員に配るんだから」


 その言葉は正しい。


 だが。


 響かない。


 腹は減っている。


 今、必要なのは。


 “正しさ”ではない。


 ――


 黒装束側。


 列は短い。


 進みが速い。


 確認はない。


 名前も聞かない。


 ただ。


 渡す。


 それだけ。


 男が言う。


「次」


 短い。


 それだけ。


 無駄がない。


 そして。


 確実に届く。


 それだけで。


 十分だった。


 ――


「……なんでだ」


 連盟の列に並ぶ男が呟く。


「同じものなのに」


 そう。


 配られているものは同じだ。


 食料。


 必要なもの。


 だが。


 価値が違う。


 なぜなら。


 “届く速さ”が違うからだ。


 その時。


 黒装束の男が言う。


「我々は」


 一瞬の間。


「選ばない」


 その言葉に。


 数人が振り向く。


「必要な者に」


「必要な時に」


「与える」


 沈黙。


「それだけだ」


 その言葉は、簡単だった。


 だが。


 強い。


 誰かが呟く。


「……じゃあ」


「なんで連盟はやらない」


 答えは出ない。


 なぜなら。


 連盟は“選ぶ”からだ。


 順番を。


 条件を。


 公平を。


 それが。


 遅さになる。


 その時。


 一人の老人が言う。


「……あっちは」


 一瞬の間。


「俺たちを見てない」


 沈黙。


「決まりを見てる」


 その言葉。


 それが。


 全てだった。


 ――


 王城。


「……支持が移動しています」


 報告が入る。


「南部を中心に」


「統一主義側へ」


 ルーカスが拳を握る。


「止められるか」


 レティシアは答えない。


 一瞬の沈黙。


 そして。


「難しいです」


 その一言。


 それだけで。


 空気が重くなる。


「なぜだ」


 アルベルトが問う。


 レティシアは言う。


「彼らは」


 一瞬の間。


「正しいからです」


 沈黙。


 誰も言葉を返せない。


 エルミアが言う。


「……正しい?」


「ええ」


 レティシアは頷く。


「少なくとも」


「今この瞬間においては」


 その言葉は冷酷だった。


 だが。


 現実だった。


「連盟は」


「守ろうとしている」


「ですが」


 一瞬の間。


「遅い」


 沈黙。


「彼らは」


「今、助けている」


「だから」


 一瞬の間。


「選ばれる」


 その言葉が。


 全員に突き刺さる。


 否定できない。


 それが。


 最も厄介だった。


 ルーカスが低く言う。


「……では」


「どうする」


 レティシアは目を閉じる。


 そして。


 開く。


「変えます」


 一瞬の間。


「方法を」


 その言葉に。


 空気が変わる。


 ここから。


 逆転が始まる。

ついに「民衆が選び始めた」段階に入りました。


今回の重要ポイントは、

“正しさ”ではなく“届くかどうか”。


そして統一主義は、

単なる悪ではなく「合理的な正しさ」を持っています。


だからこそ、この戦いは難しい。


次話はいよいよレティシアの対抗策です。

ここがこの作品の大きな転換点になります。


面白いと感じていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ