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断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


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第85話 均衡は国境を越える

 王城・大広間。


 普段とはまったく違う空気がそこにあった。


 各国の旗。


 各地から集まった使節団。


 王国、商業連合、小国群――


 そして中央に立つのは、ルーカス。


 その隣にレティシア。


 静かに、しかし確実に歴史が動こうとしていた。


「本日」


 ルーカスが口を開く。


「大陸連盟の設立を宣言する」


 その言葉が広間に響く。


 ざわめき。


 だがすぐに静まる。


 誰もが、この瞬間の重さを理解していた。


 イザベラが前に出る。


「商業連合セレスティアは」


「本連盟に参加する」


 即答。


 迷いは一切ない。


 続いて、エルミアが一歩前に出る。


 小さな体。


 だが、その声はまっすぐだった。


「ルーンフェルト王国は」


「大陸連盟に参加します」


 その言葉に続くように。


 一人、また一人と小国の代表が前に出る。


「リュミナス公国、参加を表明する」


「アルデン侯国も同じく」


「ミラディア連邦、連盟に加わる」


 次々と。


 声が重なっていく。


 それは小さな国々の声。


 だが。


 数が力になる。


 エルミアはその光景を見ていた。


 自分だけじゃない。


 同じように恐れていた国が、ここにいる。


 そして。


 同じように決断した。


 レティシアが静かに言う。


「これが“連盟”ですわ」


 アルベルトが腕を組みながら頷く。


「数の力か」


「いいえ」


 レティシアは微笑む。


「意思の力です」


 その時。


 広間の扉が大きく開かれた。


 全員の視線が向く。


 入ってきたのは――


 白衣の一団。


 教国の使節団だった。


 ざわめきが広がる。


「教国……?」


 エルミアが呟く。


 先頭に立つのは、聖女セラフィナ。


 彼女はゆっくりと歩み出る。


 全員の前に立つ。


 沈黙。


 重い沈黙。


 そして。


 彼女は言った。


「教国は」


 一瞬、言葉を止める。


 その目は揺れていない。


「本連盟に」


 空気が止まる。


「**条件付きで参加します**」


 広間が揺れた。


 誰も予想していなかった。


 レティシアの目がわずかに細くなる。


 ルーカスは静かに聞く。


「条件とは」


 セラフィナは言う。


「信仰の独立」


「宗教への不干渉」


 レティシアがすぐに答える。


「当然ですわ」


 即答。


 セラフィナは続ける。


「そして」


「信仰は戦争の理由にしない」


 沈黙。


 それは、教国自身が変わる宣言だった。


 ルーカスは一歩前に出る。


「受け入れる」


 その一言で決まる。


 教国が。


 連盟に加わった。


 エルミアの目が見開かれる。


「……これで」


 アルベルトが低く言う。


「四極だな」


 王国。


 商業連合。


 小国群。


 そして教国。


 レティシアが静かに呟く。


「帝国は孤立しましたわね」


 ルーカスは広間を見渡す。


 全員がこちらを見ている。


 期待。


 不安。


 そして決意。


 彼は言う。


「この連盟は」


「戦争のためではない」


 静かな声。


 だが、確実に響く。


「争いを終わらせるための仕組みだ」


 沈黙。


「強い国が支配するのではない」


「弱い国が従うのでもない」


 エルミアが息を呑む。


 その言葉は、自分たちのためのものだった。


 ルーカスは続ける。


「互いに支え合い」


「均衡を保つ」


 そして。


 ゆっくりと言い切る。


「均衡は」


 一瞬の間。


「**国境を越える**」


 その瞬間。


 広間に拍手が広がった。


 最初は小さく。


 やがて大きく。


 全体へと広がる。


 エルミアも手を叩いていた。


 知らないうちに。


 目に涙が浮かんでいた。


 怖かった。


 ずっと。


 でも今。


 初めて思った。


「……守れるかもしれない」


 その一言が、彼女の中で確かなものになる。


 レティシアは静かにその光景を見る。


「これで舞台は整いましたわね」


 アルベルトが笑う。


「帝国は黙ってないぞ」


「ええ」


 レティシアは頷く。


「だから次は」


 窓の外を見る。


 遠く。


 帝国の方向。


「本当の戦いです」


 大陸は変わった。


 もう元には戻らない。


 均衡という名の新しい秩序が。


 今、始まった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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