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断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


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第78話 灰色の策謀

 ガルディア帝国・宰相府。


 広い執務室には地図が広げられていた。


 大陸地図。


 中央に王国。


 西に商業連合セレスティア。


 北に教国ルミエル。


 そして東に帝国。


 リヒャルト・ヴァイスはその地図を静かに見ていた。


「教国は拒否しました」


 秘書が報告する。


 リヒャルトは頷く。


「予想通りだ」


 彼の表情は落ち着いている。


 むしろ満足しているようにも見えた。


「王国の連盟構想は美しい」


 彼は言う。


「だが」


「美しい理想ほど壊れやすい」


 机の上に小さな駒を置く。


 王国。


 商業連合。


 小国群。


 そして教国。


「連盟は」


「三つの柱で成り立つ」


「政治」


「経済」


「信仰」


 彼は駒を動かす。


 教国の駒を少し離す。


「信仰が抜ければ」


「構造は不安定になる」


 秘書が言う。


「ですが商業連合は強い」


「海路も市場も握っています」


 リヒャルトは微笑む。


「だから次はそこだ」


 彼は海路を指す。


「市場は利益で動く」


「理念ではない」


 沈黙。


 その時、扉が開いた。


 重い軍靴の音。


 入ってきたのは帝国元帥レオンハルト・クラウゼ。


 巨体の軍人。


 戦争の象徴。


「宰相」


 低い声。


「王国の連盟構想」


「どうする」


 リヒャルトは振り向く。


「まだ戦争の時ではありません」


 レオンハルトは不満そうだ。


「帝国軍は準備できている」


「王国など」


「三週間で落とせる」


 リヒャルトは首を振る。


「問題は王国ではない」


「商業連合です」


 レオンハルトが腕を組む。


「海商どもか」


「ええ」


 リヒャルトは地図を指す。


「彼らが王国についた」


「それが連盟の本当の力」


 帝国は陸の国家。


 だが交易は海に依存する。


「ならどうする」


 レオンハルトが問う。


 リヒャルトは静かに答える。


「割る」


 沈黙。


「商業連合は一枚岩ではない」


「利益で結ばれた都市国家」


「つまり」


「利益が変われば立場も変わる」


 彼は新しい駒を置く。


「帝国商会」


 帝国が支援する巨大商会。


「市場を揺らす」


「商人同士を争わせる」


「連盟を内部から崩す」


 レオンハルトが笑う。


「陰湿だな」


「戦争より安い」


 リヒャルトは淡々と言う。


 そして彼はもう一つの駒を見る。


 王国。


 均衡の王。


「ルーカス」


 静かに呟く。


「あなたは賢い」


「だが」


「均衡とは」


「最も壊しやすい秩序だ」


 窓の外。


 帝国の軍旗がはためく。


 大陸はまだ戦争していない。


 だが。


 静かな戦いはすでに始まっていた。


 そしてその戦場は――


 剣ではなく。


 市場だった。

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