表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/102

第72話 商都の賛同

 王都の港は、朝から騒がしかった。


 巨大な白帆船がゆっくりと岸へ寄せてくる。


 船首には、青銀の旗。


 商業都市連合セレスティアの紋章だ。


 港の人々はざわめいていた。


「連合の代表船だ」

「王城の宣言のあとすぐに来たぞ」


 噂はすでに王都全体に広がっている。


 **大陸連盟構想。**


 その中心にいるのが、王国とセレスティア。


 船の甲板に、ひとりの女性が立っていた。


 蒼いドレス。


 銀色の髪。


 イザベラ・ノクス。


 商業連合の代表理事。


 彼女は王都を見下ろし、小さく笑う。


「思い切りましたわね」


 横に立つ秘書が言う。


「王国の宣言は大陸を揺らしています」


「当然よ」


 イザベラは答える。


「秩序を変える提案だもの」


 彼女は港の奥に見える王城を見つめる。


「でも」


「嫌いじゃない」


 王城。


 応接室。


 ルーカスとレティシア、そしてアルベルトが席についている。


 扉が開く。


「商業連合セレスティア代表、イザベラ・ノクス」


 彼女が入ってくる。


 歩き方が自信に満ちている。


「またお会いしましたね、陛下」


「歓迎します」


 ルーカスが立ち上がる。


 形式的な挨拶が終わると、すぐに本題に入る。


「昨日の宣言」


 イザベラが言う。


「大陸中の市場がざわめいています」


「帝国も」


「教国も」


 レティシアが静かに答える。


「予想通りです」


「ええ」


 イザベラは笑う。


「だから私はここに来た」


 彼女は椅子に腰掛ける。


「商業連合セレスティアは」


 一瞬、間を置く。


「**大陸連盟構想を支持します**」


 沈黙。


 だがそれは予想していた答えでもある。


「理由は二つ」


 イザベラは指を二本立てた。


「一つ」


「戦争は市場を壊す」


「二つ」


「均衡は利益を生む」


 実に商人らしい答えだ。


 アルベルトが腕を組む。


「帝国は黙っていない」


「もちろん」


 イザベラは肩をすくめる。


「だからこそ商業連合が必要なの」


 彼女はテーブルの地図を指す。


 海路。


 交易路。


 物流拠点。


「大陸の貿易は、ほとんどが私たちを通る」


「帝国が戦争を起こせば」


「市場が止まる」


 レティシアが頷く。


「つまり」


「経済による抑止力」


「そういうこと」


 イザベラは満足そうに微笑む。


「王国は理念を出した」


「なら」


「私たちは現実を作る」


 ルーカスが言う。


「協議機関を設置する」


「王国、商業連合、小国群」


「連盟の骨格だ」


「いいわ」


 イザベラは即答する。


「ただし」


 レティシアが微笑む。


「条件ですね」


「当然」


 イザベラは指を鳴らす。


「連盟の経済機関は」


「セレスティアに置く」


 アルベルトが笑う。


「商人らしい」


「でしょう?」


 イザベラは微笑む。


 だが次の瞬間、彼女の表情が少し変わった。


「ただ」


「問題が一つある」


「教国ですね」


 レティシアが言う。


「ええ」


 イザベラは頷く。


「宗教は市場より頑固」


 その時。


 近衛騎士が急いで入ってきた。


「陛下!」


「帝国からの使者が到着しました」


 部屋の空気が変わる。


 ルーカスが言う。


「内容は」


「帝国宰相リヒャルトの書簡です」


 レティシアの目が細くなる。


 嫌な予感。


 書簡が開かれる。


 そこには短い一文。


 **『連盟構想の即時撤回を要求する』**


 沈黙。


 アルベルトが低く言う。


「早いな」


 イザベラが笑う。


「むしろ遅いくらいよ」


 ルーカスは書簡を静かに畳む。


 そして言った。


「撤回しない」


 短い言葉。


 だが重い。


 レティシアが微笑む。


「これで大陸は完全に動きますわ」


 窓の外。


 海の風が強く吹いていた。


 王国と商業連合。


 二つの歯車が噛み合った。


 そしてその回転は。


 帝国の秩序を揺らし始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ