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断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


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第59話 灰色の商人

 王都・港湾区。


 朝霧の中、ひとりの男が桟橋を歩いていた。


 灰色の外套。

 飾りのない指輪。

 無駄のない足取り。


 名は――クラウス・ベルナー。


 表向きは、帝国系商会「ベルナー交易」の代表。


 だが実際は。


 帝国宰相リヒャルト直属の経済工作員。


「積荷は?」


 低い声。


「触媒結晶、予定通り」


 部下が答える。


「価格は上昇傾向。王国側は没収せず」


 クラウスは、薄く笑う。


「新王は慎重だ」


「だが甘い」


 王都中央。


 同時刻。


 レティシアは、港湾流通図を睨んでいた。


「灰色外套の男」


 クラリッサが報告書を差し出す。


「帝国商会代表、クラウス・ベルナー」


「三日前に王都入り」


「触媒買い付けの中心人物」


 レティシアの指が地図上を滑る。


「この男がハブですわね」


 グラントが問う。


「拘束しますか?」


「いいえ」


 即答。


「泳がせます」


 王城・軍議室。


「帝国商人の代表が動いている」


 アルベルトが低く言う。


「排除すれば早い」


「早いですが」


 ルーカスは静かに首を振る。


「外交問題になります」


 レティシアが補足する。


「むしろ歓迎します」


「特別取引枠を与えましょう」


 沈黙。


「餌か」


 アルベルトが問う。


「罠です」


 レティシアは微笑む。


「帝国商人を“合法依存”にする」


 具体策が示される。


・帝国商人向け限定港湾税優遇

・長期契約割引

・触媒精製情報の“部分公開”


「信頼を得て」


「情報を流させる」


 ルーカスが頷く。


「逆侵食」


 その夜。


 王都・高級宿。


 クラウスはワインを傾けていた。


「王国が優遇措置?」


 部下が報告する。


「ええ、特別契約の提案」


 クラウスは考える。


 罠の可能性。


 だが。


「利益が出る」


 そして。


「我々は軍ではない」


「商人だ」


 彼は決断する。


「乗る」


 港湾。


 帝国商人と王国商人の合同会議。


 レティシアが姿を現す。


 視線が交わる。


 クラウスは一礼する。


「初めまして、ヴァルモンド卿」


「ええ」


 微笑み。


「利益はお好きでしょう?」


「ええ、平等に」


「ならば」


 レティシアの声は静かだ。


「王国は、敵ではありません」


 クラウスは目を細める。


「帝国は、敵ですか?」


「いいえ」


「帝国もまた、商人国家の一面を持つ」


 沈黙。


 探り合い。


 ルーカスは離れた席から観察する。


 直接介入しない。


 均衡を保つ。


 夜。


 帝国本陣。


「王国は対抗措置を取らず」


 報告が入る。


 リヒャルトは静かに呟く。


「新王は賢い」


「だが」


 指が机を叩く。


「経済だけで崩れるとは思っていない」


「第二層を進めよ」


 王都。


 旧強硬派貴族の屋敷。


 密書が届けられる。


 封蝋は帝国紋章。


「均衡王は弱い」


「強き王を取り戻せ」


 揺れは、内部へ。


 港では、灰色の商人が笑う。


 だが。


 彼はまだ知らない。


 自分もまた、網の中にいることを。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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