71緊急治療
ジェネラルコングを撃退し、猿の群れを無事に退けられたがまだ休んでいる暇がないし、まだケント自体は怪我人の状態を把握していなかったのだ。
テルトに骨折1欠損1とこの時点でかなりの重傷者がいる事が想像できるし、しかも軽傷4と言われたら装甲車の上で連弩を扱ったものが全員負傷したのが想像できた。
この場はアーネに猿の後始末、リーブには警護を頼みテルトと共に三日月亭の中で状況を確認するためにおもむいた。
そこには2人が寝かされ、4人が座りそれぞれ着ている物の裾を切り包帯代わりにして手当が行われており、ロバートとイリスの重傷2名は仮の治療が終わっていたが4人は擦り傷打撲打ち身とさほど治療というほどのものは必要ないが血の出たところを手当されていた。
「ロバート調子はどうだ?イリスも平気か?」
「最悪だな。足手まといになるから俺はここで捨てていってくれ」
「何言ってるのよ!それを言うなら足をやられて自分で歩けない私の方が足手まといよ」
どうやら2人は足手まといになるのを嫌いここで残り、死を覚悟している様で普通で考えれば次に襲撃を受ければ魔物の餌になるしかないのがこの世界の一般的な考えなのかもしれないが、そこはここに非常識な物を持ってる俺達が居るから見捨てるなんてことはあり得ない。
「何言ってるんだ2人とも見捨てるわけないだろう。ただこれから試作品の薬を使わせてもらうがな。何、何も心配はいらないよ。治療するだけだからな。ただ使った事がないのもあるってだけだ」
「本当か?しかし俺は腕が無いんだぞ?」
「私も骨折れてるんですよ!?」
「任せておけって。テルトこれを軽傷の人達の治療に使って」
俺はそう言うと中級回復薬をテルトに渡し、4人の傷口に塗るか飲ませるかは判断を任せることにした。効果的には下級が擦り傷打撲などの軽傷用、中級で切り傷、刺し傷などの一段階上の傷に対応できる様になって冒険者に好まれている。そして今回試しに使う上級は飲めば内臓の損傷でも治せそうだけど骨に効くのかはまだわからない。あとは秘密兵器の欠損再生剤がどこまで使い勝手がいいのやら…
さてとそろそろこちらの2人をどうしたら治りがいいのか考えないと?
まず試作の欠損再生剤は使わないといけないが、骨折はどこまで使えばいいか検討がつかないな…
上級回復薬だけで治るのか欠損再生も使った方が良いのか…両方使ってみるか…
まずはイリスの方から行くとしよう。初めに上級回復薬を半分患部に掛けてみる。すると薄っすら淡い光が患部に集中する様に光を放っていた。そしてもう半分を飲んで貰ったらどんどん光が患部に集まり痛みもかなり緩和されてきた様で、立ち上がっても痛みを感じないくらいには回復した様だ。しかし、まだ歩く姿に違和感があったので部位欠損剤も少し飲ませた。
青ベースの淡い光が輝きを増し白い光になり先ほど以上に輝きを持って、患部に光が収束し痛みが感じなくなったのか、イリスは勢いよく歩き回り自分の違和感を観察している様だった。折れた骨は治る時に太く丈夫に育つそうだから今後協力する際は遺憾なく発揮してくれるだろう。
さてやはり骨は上級だけでも治りそうだが欠損再生剤を合わせて使った方が完治までは早そうだというこの情報を持ち帰るだけでもマーサがまた研究してくれるかな。
よし次に行こう
本命ロバートの無くなった腕の再生を本当に出来るか試してみないと…
まずは欠損再生剤をきつく縛って止血されている切り口にふんだんに塗り込んで見ると、傷口がなんとなく盛り上がってきている様に感じるがまだ目に見えた変化は感じられない。
これは時間がかかるのだろうか?
上級回復薬も使ったら成長促進出来るだろうか?
試す価値はあるだろうな…
だが傷口は欠損再生剤が付いているからここに上級回復薬を使ったら薬が流れてしまうか…?それなら飲んで貰っておくとしよう。
「ロバートこれを飲んでみてくれるかな?」
「別に構わんがそれより傷口が痒いんだが触っちゃダメか?」
「薬が取れるといけないから我慢しましょう」
ロバートは不満そうにしながらも上級回復薬を受け取ってくれて一気に飲み干したら何故か悶絶を始めた。
これって飲み合わせとかがあるのか?毒とかじゃないだろう?
そうこうしているうちに今度はのたうち回り、どうやら傷口を抑えて何かに耐えている様だった。
よく見てみると傷口の位置が伸びている?この場合は生えていると言った方がいいのか?切断面だった場所から5cmほどピンク色の塊がボコボコと盛り上がる様に蠢いていた。
これはちょっと見ていて気持ちいいものではないな。
しかしこれは時間がかかりそうだが意外と使えるのかもしれないな。
魔獣に苦戦しても死ななければなんとかなっちゃうって事だし、この森抜けるまでは獣人さん達を戦力として計算出来るかな?
ちょっと考え事しているうちにロバートの悶絶ぶりが気になってみんなが見に来ていた。
その頃には上腕の中程で切られていた腕が肘のあたりまで再生されていた。
おそらく何もしなくて欠損再生剤だけで時間をかけても生えそうであるが上級回復薬が促進剤の代わりになって一気に生える時の痛み?がある様でかなりの苦痛を伴う様だが、それでも無くしたものが戻る喜びが強い様でロバートは耐えられる様だった。
20分程してどうやら変化が一旦止まった様で今日のところは体力が無くなると翌日以降に問題が出るといけないから休んでもらう事にした。
全員体は回復薬で戻っているが慣れない戦闘で精神的に疲労が出ている様であっという間に眠りの世界に落ちていった。
一方こっちの慣れた肉食獣3人は目を爛々と輝かせていたが今日は見張りを厳重にするって名目で諦めさせる事に成功した。
3人はそのまま三日月亭で警護兼休息をしてもらい、ケントは入口ピッタリに装甲車を横付けしてバリケード化し装甲車の中からレーダーを起動したまま仮眠をとった。
「ギャーーーーーーーーー」
突然の悲鳴にケントは飛び起き声のした方に駆けつけるとそこには床を転げまわるロバートがいて他のみんなはなんでもない様に朝食の準備をしていた。
いつの間にか爆睡していた様で朝を迎えていた。
ロバートは自分から催促してテルトに中級回復薬を出してもらい飲んでみたら痛みの比が違った様で、やはり上級の方が痛みを抑えてくれる様でいいらしい。
ロバート、君の犠牲は無駄にしないこの経験を生かさせてもらうよ。
このペースで行けば後3回で指まで行けそうかな?これなら移動中でなんとかなるだろうからこのまま一気に南下して距離を稼いでしまおう。




