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65南部の森は未開の地

昨夜は遅くまで盛り上がって、結局今日はみんな朝はのんびりになってしまった。

昼近くになり食堂に赴きみんなで遅い朝ごはんを食べていると、愛くるしい大きい尻尾をフリフリさせた栗鼠人のエルスが運んできた。


「ケント様昨日のお話に上がった担当をする事になりました」


エルスは当たり障りがない様にしながら話を振ってきた。


「あ〜悪いね急で。よろしく頼むよ」


エルスは料理を置きながら一枚の紙を食器の下に忍ばせながら、ウィンクして去っていった。

その紙には宿屋の手伝いとギルドの受付の名前が入っていた。

どうやらこの3人が情報収集をしてくれる様だ。確かに宿屋に兎人ルル、ギルド受付に犬人ポポル。

宿屋で聞き耳を立てて、ギルドで怪しい臭いを嗅ぎ分けるのか…

情報収集とつながり探索。

先ずは集めるだけだし危険はないだろう。


さて冷めないうちに食べるとするか。

今日はサバの塩焼きサンド。小骨まで丁寧に抜き取られ、塩だけのシンプルさだが良く脂が乗っているので間に挟まれたレタスの様なものと一緒に食べるとしつこく無くさっぱり食べれるのに満足感がある。

料理長シェルシアがこっそり覗いてたのでグッジョブしたら満面の笑みで奥に消えていった。

昨日の試みは成功だった様である。

これから料理長がいろいろ創作してくれそうで楽しみだ。


飯も終わり、そろそろゴルドのところにでも行ってみるとしようかな?

薙刀も装甲車も手直しするそうだし、昨日ロレッタ来てたからゴルドはかなり熱心に作業してたのだろう。

工房に着くと誰もいない…奥の倉庫か?声をかけてみるか。


「ちは〜おっちゃん起きてるか?」


「おぉ!?ケントもう来たのか?ちょっと待っておれ!」


ガサゴソ…何か布が擦れる音が聞こえてきた…服着てなかったのか?

……なんでそんなに汗だくで出てきたんだ?釜を使う様な事でもしてたのか?

それとも汗を掻くような運動か…?

ハッ!?昼間っからか?


……深くは追求しないでおこう……


ゴルドは出てきて何事もなかったように奥の倉庫に連れて行った。なんと無く前かがみ気味に歩きにくそうに…ナニをしてたんだ…まったく…


さて装甲車の方は蒸気タービンや水流タービンなどの駆動力の強化でトルクをあげて、車高を上げ、悪路の走破性を上げてくれたそうだ。


薙刀も持ち手の断熱性と射出適量の水蒸気爆発量を調整してくれて、単発の狙撃モードと3発連射のバーストモードを用意してくれた。連射はさすがにまだ無理だそうだが水蒸気爆発の仕組みでいろいろ目覚めてしまって今度また何かを作っておくそうだ。


武器も揃い、時空バックに収納をしてそのまま出発する事にした。その頃には乱れた服を直したのが丸わかりなロレッタも合流して、挨拶を済ませ移動を始めたが一旦徒歩で南の山を登り山を越えながら海沿いを進む事にした。

これはまだ新製品を人の目には触れさせないようにしておこうと思ってのことである。ダミーでいつも使っていたのをゴルドのとこで修理のふりをしてもらっての出発である。

修理のふりして性能ダウンの改造である。たとえ他の国のスパイが来ても良いようにの改造で劣化品の製造のみに切り替えてもらっている。


さて無事に出発して南に向かうが思った以上に斜面が険しく森も深いので乗り物はもともと出しても無理そうだったのでそのまま徒歩でしばらく山越えを続けるのであった。


「みんな〜歩きは大丈夫かい」


「たまには良いわよぉ〜それにしてもこの辺りじゃ人は住めないわねぇ〜」


「私ももともと徒歩は問題ありません。ケント様の索敵で子蜘蛛に魔力を割かずに済みますので」


「私も大丈夫なの!この体で力使う練習になって良いの!」


三者三様問題はないようである。


山の中の道なき道、獣道すら存在しない場所を進む事に三時間徐々に空が薄暗くなってきた。

暗くなる前に小屋を立てる場所を探しているのだが平地と呼べる場所がまったく見つからないのである。

だんだん空の赤みを増し、暗さが占めてきていたが移動三日月宿を置ける場所が見つからないので、ミニ小屋を置ける場所を探すがこちらも不安定で満足行く場所が見つからない。

日も落ちかけた時には巨大コウモリが出現した。


こいつらは超音波を発してきて、こちらの攻撃を封じてくれている。

しかも飛んでいるので射程距離になかなか入らない。

当たりそうになっても超音波レーダーを駆使し寸前で回避してくれる。


そうこうしているうちに仲間が集まってきて、20匹ほどが集まってしまった。

この近辺に獲物になりそうなのが俺たちくらいしか居ないようで結構遠方のやつも来たのには驚いた。

しかしそんなことを言っている暇はない。テルトを3人で囲むようにしてリーブが盾を上手く使って防いでいるがカウンターの攻撃がなかなか当たらない。

アーネも糸を飛ばして行動阻害を狙うが寸前で回避されてしまう。その為武器を繋いで後ろから狙っても糸が超音波レーダーに入ってしまい、当てられずにいた。

テルトは直接狙っても当たらないので近接信管のようにして、近くで避けられても爆風でバランスを崩させるのが精一杯なようである。


こうなったら一か八か範囲魔法で行くしかないか?

しかし上空のを狙える程のを持ってない…しかしジェットウインドウを上から叩きつけるようにやったらどうだろう?

上空の冷たい空気が一緒に落ちてきて叩きつければ効果倍増しそうだし…イメージはダウンバーストって自然現象…


「テルトすまんがみんなの上に風の保護膜を作ってくれ。上手くいけば一気に叩き落とせるかもしれん」


「おっけぇ〜任せてぇ〜今の私じゃ当てられないわぁ〜」


「よし!2人もその間きつくなるが頼むよ」


テルトは一旦遠ざける為に近場で爆風を連発させてバランスを崩させた。

ケントはその間にイメージを上空から自分たちを中心に広範囲で強風を叩きつけるようにして、上空の冷風を巻き込んで地表に風を送り込むようにした。

その間にテルトは4人を覆うように風の保護膜をつけ、コウモリの接近も阻止しているようだ。

その隙を2人がついて少なからずダメージを稼いでいたが落とすまでは至らなかったようだ。


「よし出来た!行くよみんな少し寒いかもしれないが耐えてね。《ダウンバースト》」

イメージに使った言葉をそのまま使い発動させた魔法は文字通りに上空から冷たい風を引っ張って地表に叩きつけた。


その強風はコウモリ達を地面に叩きつけて体温を奪っていったようだ。

魔法が終わる頃にはコウモリの表面には薄っすらと霜が降りたようになり、筋肉が硬直してしまったのか再び飛び立つことが出来なかった。


動かなくなってしまえばこっちのものでテルトの風の保護膜を解除してもらいそれぞれとどめを刺していった。

俺はついでに練習として4本の脇差と二本のハサミを飛ばして各々独立して動くかのテストを行った。

ハサミはほぼ手足のように動かせるが脇差は動かせはするが大雑把。

まあいきなり出来ても面白みがないから徐々に使えるようにしていこう。


さて…地面は少し斜めだがちょうど広場が確保できたから今日はここに三日月宿を出すとしますか。


体が冷えたから温まらないと風呂は出すほどスペースがないか…


ガシッガシッ!

設置が終わり考えていると両脇をテルトとアーネに抑えられ、宿の中で3人順番で肌を触れ合い温め合うのであった。


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