システム室奪取!! ハッキング開始
向こうで爆発が起きている。
いったい、なにが……?
「こんな時の為に、櫛家から拝領したロケットランチャーが役に立ちました」
「手りゅう弾もありますよ」
と、気づけば月と星がドヤ顔。そうか、この二人が武器を持ってきてくれていたんだな……!
しかも、さきほどの爆発で敵をかなり排除できたようだ。
おかげで突破口が開けた。
あとはシステムを奪えれば、脱出できるじゃないか!
「よし、北上さん。向かうか」
「ええ。あの部屋にあるシステムを乗っ取りましょう。ですが、まだ敵を完全に排除できたわけではなさそうです」
「俺も戦う。援護を頼む」
「了解」
残りの敵の人数はそれほど多くない。爆風で吹き飛んだからだ。
今がチャンス。
俺は警戒しながらもコンテナから身を出し、突撃。
敵が再び銃撃してくるが、先ほどに比べれば弱弱しいものだった。余裕で回避できるほどだ。
敵を完全排除し、ついにシステム室にたどり着いた。
「早坂くん、こっちの負傷者はゼロだよ」
「確認ありがとう、天音」
なら問題ないな。
桃枝にシステム室に入ってもらい、ハッキングをしてもらうことに。ついでに、なにか情報を掴めればいいのだが。
「じゃ、しばらく掛かるから待っててね!」
「頼んだぞ、桃枝」
「任せてよ」
エレベーターを動かせるようになれば、今度こそ脱出できるはずだ。
俺たちはその間、休憩というか警戒して待っているしかできない。
「…………」
システム室の外で北上さんは、遺体となった八咫烏の兵たちを物色していた。……なかなか大胆だな。俺はとてもじゃないが、他人に触れることすらはばかられる。
「なにか分かりそうか?」
「いや、なにも。彼らの所持品は武器だけですね」
「徹底されているわけか」
「ええ。身分証もなにもありません。おそらく、国籍もないのでしょう」
やっぱりか。しかも、顔を見る限り……若い男ばかり。
武器や戦闘スタイルからして、ロシアで訓練を受けていたのだろう――と、北上さんは推測した。
彼女がそう言うのだから、間違いなさそうだ。
「まさか、ここでロシアかよ」
「まぁ、日本の自衛隊で訓練を受けるわけにもいかないでしょう。なので、隣国で大国であるロシアを頼ったと思われます」
そうだな。かといってアメリカを頼るのもリスクだ。
となるとロシアが丁度いいってわけだ。
ロシアは、とある宗教団体にヘリコプターや武器を売買していたこともあったらしいし。
となると八咫烏と深い繋がりがあってもおかしくない。
そもそも。
八咫烏以前に戦った相手がロシアの秘密警察だった。そや、ヴァレンティンが死に際に言っていた気がする。
『本当に恐ろしいのは『八咫烏』なのだとな……』
ああ……思い返せば言っていた。
そうか、全ては繋がっていたのかもしれないな。
そう考えていると、周囲を散策してきた千年世と艾が帰ってきた。
「こちら異常なしです!」
敬礼する千年世はそう報告。
「ありがとう。この階層にもう敵はいなさそうだな」
「うん、ひとまず大丈夫そうだよ」
艾は少し青ざめながら言った。
さきほどの戦闘が応えたようだな。
「少し休め、艾」
「そうするね……」
みんなもヘトヘトだ。しかも、こんな遺体が散らばっている中では余計に。
「あたしにお任せを」
「北上さん、まさか……この無数の遺体をコンテナの中へ?」
「ええ。これでは落ち着けないでしょう」
「……仕方ないな。俺も手伝う」
「ありがとうございます。哲くん」
そんな微笑みを向けられると……やるしかないな。
どのみち、システムがハッキングされるまではヒマだし。
俺は北上さんを手伝いつつ、遺体をコンテナへ。
なかなかの重労働だった。
……敵の死亡数が多すぎるって。
これでこっちがほぼ無傷なのが奇跡だな。
「――よし、あと少し!」
桃枝の声が響く。ハッキングがかなり前進したらしい。早いな!
この分なら少し休憩している間にも終わりそうだ。




