地下戦争
仲間と合流し、武器を手に入れた俺たち。
再び“最下層”を目指そうとも考えたが、危険が高いと判断して――脱出を目指すことに。
エレベーターに乗り、上を目指す。
地下3000メートル級ともなると、戻るまでに時間が掛かるな。
無事に地上へ戻れるといいのだが。
しかし、やっぱりというか――そんな甘い話もないようだ。
「……エレベーターが止まりましたね。恐らく向こうが操作したのでしょう」
静かにつぶやく北上さん。扉に向けてAK-47を構える。めちゃくちゃ様になっているというか……カッケーな。さすが軍人の娘。
俺たちも同じように警戒する。
そして、扉がゆっくり開く。
「ちょ、やべっ!」
俺は扉の向こうに敵を確認した。八咫烏の兵達だろう。視界に入るだけで、10、20人はいるぞ。
このままでは一網打尽されてしまう。
撃たれる前に反撃し、目の前にあるコンテナに身を潜める。
みんな訓練されているから動きは完璧だ。
「……っぶな」
転がり込んでくる桃枝は、俺の胸の中へ飛び込んできた。小さな体を俺はなんとかキャッチ。
「おいおい、大丈夫か」
「……う、うん。てっちゃんが受け止めてくれたから……」
頬を赤くする桃枝は可愛かった。
いや、見惚れている場合ではない。
敵の、八咫烏による銃撃が続いている。
「くっ。なんて銃弾の嵐……」
千年世はドラグノフ狙撃銃のマガジンを確認しながら言った。弾は装弾数限りの10発っぽいな。弾薬が圧倒的に不足している。
敵から奪うしかないか……。
しかし、向こうは多勢。まさに多勢に無勢。
どうしたもんかね……。
「こんなんじゃ反撃もできやしないっ。あたしたち、ここで死ぬんだ……」
頭を抱えるリコは戦意喪失している。まずいぞ、士気が下がることは死に直結する。
「諦めるな、リコ。まだ戦えるだけの武器はある」
「…………でも」
「大丈夫だ。きっと更に仲間も駆けつけてくるさ」
「仲間……?」
「ああ、木下刑事が裏で動いてくれている」
「本当に?」
「本当さ。今はここを切り抜けるんだ」
「……うん、そうだね。ありがと」
なんとか持ち直すリコ。他のメンバーもだいぶ険しい表情だが、まだ心が完全に折れたわけではない。
いや、ここで倒れるワケにはいかないんだ。
せめてこの地下だけでも潰していく。
日本ではなく、俺たちの未来の為に。
「相変わらず撃ちまくっているね、向こう」
「そうだな、天音。分厚いコンテナのおかげで盾になっているけど……いつ突撃されるか分からん」
「……こっちも定期的には応戦しないとね」
「その通りだ。……って!」
いきなり目の前に手りゅう弾が落ちてきた。
俺は直ぐに掴み、それを敵陣へ放り投げた。
数秒後には向こうで爆発。……間一髪のセーフ!
「さすが兄様」
「ええ、我らの兄です」
と、月、星が絶賛してくれるが――雷が血の涙を流しているぞ。
「…………くぅ、寝取られた気分だぜ」
おいおい、お前の妹だろうが。
きっと、俺が兄扱いされているのが悲しいんだろうけど。
それにしても、ここまで攻撃が続くとなると……まともに近づけないな。向こうの弾薬は無限なのか。
しかも、なぜかロシア製の武器ばかり。
拾ったものもAK-47とドラグノフ。
単に入手しやすく、流通している武器がロシア製だから保管していた、ということだろうけど……。
そういえば、以前に敵対した敵もロシア関係だったな。
アイツ等はテロリストだったけど。
「哲くん、このままでは埒が明きません」
「北上さん、なにかプランがあるのかい?」
「ええ。さきほどの階層で入手したノートパソコンがあります。桃枝にシステムに割り込んでもらい、ハッキングしてもらいます」
「なるほど! それでエレベーターを操作……ってわけか」
「はい。それしか手がないでしょう」
この状況だ。やれることはやっていくしかない。
「頼んだぜ、桃枝」
「……わ、分かったよ。でもどうやって!? 繋ぐところなんてないよ?」
「そ、そうだな」
Wi-Fiなんて飛んでるわけないだろうしな。
八咫烏のシステムに侵入する方法……そういうシステム部屋がどこかにあるのか。
いや、あるのか!
あっちはエレベーターを操作してきたんだ。今まで動きがなかったということは、この作戦の為に襲撃がなかったということ。
おそらく、この階層じゃないと操作できないんだ。
「どうする?」
「む、むぅ。そうだな……この状況を打開できれば……」
その時、向こうの攻撃が止んだ。どうしたんだ?




