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神速の国境突破

大嵐の暴風雨のなか、大国サンタスを大きく迂回する強行軍を続けて二日目。

泥を爆発させながら猛スピードで突き進むヴァイス族の鎧竜部隊の前に、ついにサンタス国と北部諸国を隔てる『国境』の防衛線が見えてきた。

だが、そこには不気味な大嵐のなかの進軍を察知し、完全に迎撃態勢を整えて待ち構えている敵の国境守備隊が立ち塞がっていた。


「前方に敵影! 歩兵の槍隊が、我が方を迎え撃つ構えを固めています!」


案内役のラトラスが、激しい雨のなかで声を張り上げた。

前方の国境線には、数百人の敵歩兵たちがびっ取りと並び、騎馬や突撃を阻止するための長い槍を一斉に前方へと掲げて堅牢な槍衾(やりぶすま)を形成していた。 

さらにその背後からは砦から挟み撃ちにして包囲しようと、敵の騎馬隊が凄まじい足音を立てて追いすがってきている。

普通であれば、全軍突撃を中止して迂回するか、足を止めざるを得ない絶望的な挟み撃ちの戦況。

しかし、先頭を走るゾイルは、漆黒の兜を被った若き皇帝の無言の突撃の意思を受け、豪快に笑い飛ばした。


「ハハハ! ヴァイスの鎧竜をただの馬と一緒にするな! 陛下、このまま奴らのど真ん中をブチ抜きます! 速度を落とすな、踏み潰せえええ!」

 

ゾイルの号令とともに、鎧竜たちは地響きのような咆哮をあげ、さらに加速した。


「な、なんだあの化け物どもは……!? 槍を突出せ!! 」


敵の槍隊の将官が恐怖に顔を歪めて叫んだが、すでに手遅れだった。

軍馬を止めるための鋭い槍の列など、鎧竜の分厚く固い皮膚と数トンに及ぶ圧倒的な巨体の前には、ただの藁細工に過ぎない。


ドガガガガガアンッ!!!


凄まじい衝撃音とともに、キィールたちを先頭にした鎧竜部隊は、敵の槍衾へと正面から音を立てて突っ込み、文字通り一瞬で踏み散らして粉砕した。

強固な槍は木切れのように弾け飛び、敵の歩兵たちは鎧竜の圧倒的な怪力によって左右へと無残に吹き飛ばされ、一瞬にして国境の防衛線は文字通り消滅した。

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