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デモノの陰謀

華やかな晩餐会が表向きはお開きになり、賓客たちがそれぞれの部屋へと引き上げていく深夜。デモノ王は公式の挨拶を終えて広間を後にすると、送り届けるために付き従う部下たちへ、周囲に聞こえないような低い声で冷酷に告げた。


「お前たちは先に下がっていろ。俺はこれから、部屋に籠もっている闘神の元へ直接会いに行く」


深夜の静まり返った城の通路を、デモノ王は不敵な足取りで進んでいく。

彼が向かった先は、晩餐会を欠席したスパルタカスが籠もる【闘神の特別室】であった。

扉が静かに開く。顔を画面で隠したデモノ王の冷酷な視線が、部屋の奥を捉えた。

ベッドの横にいる男、その名はスパルタカス。

彼こそが、デルモラードの誰もが畏怖と敬意を抱く最強の「闘神」である。

闘神とは、初代は武闘大会で勝ち抜いて闘神と名乗って人々は敬った。

2代目からは、4年事に武闘大会をして勝ち抜いた者が闘神と戦い勝てば次の闘神になる。

今の闘神は、10代闘神スパルタカス。

しかし今、その大きな背中には、かつて貴族だったが、故郷の内乱ですべてを失い、最愛の妻をも失った男の深い孤独と悲哀が滲んでいた。


彼が名誉を捨てて戦い続け、その頂点に君臨したのは、ただ一つ、病床で苦しむ愛しき娘リノの命を救う為。

5年前に不治の病にかかり、武闘大会を知り、

金と人脈を作って娘の治療法を求め、己の誇りを全て大剣に変えて勝ち続けてきた。


だが、有名になり、アチコチの医者や国王専属の医官に診せたが、娘の病は治せず悪化するばかり。

遂に先日から、ベットで苦しんで居た。

そんな絶望の淵に立たされた最強の男を見下ろし、デモノ王の唇が不敵に歪む。

スパルタカスは付きっきりで必死に看病を続けていた。

スパルタカスが命がけで戦い、最強の闘神にまで上り詰めたのは、すべては愛するリノの病を治すための莫大な金と有力な人脈を手に入れるためであった。

しかし、その必死の努力も虚しく、リノの病状は悪化の一途をたどり、どのような手段を尽くしても治る兆しは見えない。

絶望に打ちひしがれ、己の無力さに唇を噛みしめるその時親子の前に、静かに扉を開けて医者を姿を現した。


「ある御方から、特製の薬をわたされました。もう大丈夫ですよ」


スパルタカスは、びっくりしたが医師の自信に満ちた顔を見て


「ほ、本当ですか!」


と言って身体を避けて、医師を招き受けた。

特製の薬をその場で投与した。

すると、薬の強力な効果により、リノの激痛はみるみる引き、まるで完全に回復したかのような健気な笑顔を取り戻した。

その劇的な変化を目の前で見せつけられたスパルタカスは、この薬こそが娘を救う唯一の命綱だと確信した。

そこに怪しい仮面の男がドアを開けて入って来た。

医師が直ぐに身体を引いて頭を下げた。

怪しい仮面の男にスパルタカスは剣に手をかけて身構えた姿を見て仮面のデモノ王は


「この薬は定期的に打ち続けなければ治らないのだがな」 


と冷酷な言葉告げた。

その言葉を聞いて、この男が医師が言うあの御方とスパルタカスは確信した。


「明日の闘神戦で相手ゆ確実に殺せ。生かして帰すな。それが次の薬の値段だ」


公式に殺しが禁止された神聖な舞台での非情な命令。

スパルタカスは仮面のデモノ王を真っ向から睨みつけ、戦士としての意地を込めて強く反論した。


「しかし、あの者、ただ者ではない。そう簡単に殺せる相手だと思うな」


サジィールの真の実力が分かる闘神だからこその言葉。

だが、仮面のデモノ王は怯むどころかでまた、ニヤリと下卑た笑みを浮かべた。すべてを見透かしたような邪悪な笑みを湛えたまま、仮面のデモノ王は【すっと小瓶の液体(秘薬)】を手渡す。  


「お前は娘を救いたいのなら、明日試合前にこれを飲め!お前の力を上げる秘薬だ、良いか戦う直前だからな、忘れるな!」


なぜこのような事を言って来るのかという困惑、しかも仮面を付けて怪し過ぎる男。

だがリノの命を考えると選択肢は無かった。 そして手渡された不穏な小瓶を握りしめる。

すべてを突きつけられたスパルタカスは、明日決死の覚悟でサジィールを全力で屠るための大剣を握ることを静かに決意するのだった。

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