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第9話【幕間】とりあえず水を飲んだ(Live ver.)
吹き出す汗の流れる感覚すら
自分のものじゃないみたいだった。
古代の再現楽器、ギターには、とてつもない欠点があった。
切れないように弦を直前で変えたから、音が全然合わないんだ。
顔の熱さは恥ずかしさなのか
それともライトのせいなのか。
表情が消えている自分と
必死にチューニングする相方と
お客さんのつまんなそうな顔が
3画面で別々に見えてる感じ。
変な音に汚染されないように、私は頭の中で最初の音を鳴らす。
足元からペットボトルを取ると、水を一口飲んだ。
なんか私、プロのアーティストっぽいかも。
正面に、やけくそイケメンのアンドロイドが座ってる。ふわふわした女の子が耳打ちした。
「ねえYORU。喋んの下手ならさ、歌なんかアンドロイドから上げれば良くない?楽器とかなくても曲付けてくれそう」
アンドロイド買うお金あればね?!
あっ。相方が青い顔でペグを巻いている。彼女の追いうちが炸裂した。
「アンドロイドなら、古代のフルオーケストラも夢じゃないし」
やめてあげて。相方のHPはもうゼロよ?!
イケメンアンドロイドはぎゅっと彼女の手を握った。忖度兼、内緒話だ。
彼女はボソリと言った。
「なるほど。加工だと思われんの私もめっちゃやだ」
ちょっと!内緒話の意味!
間がもたなくなって、ギターを待たずに私は歌い出す。
曲は、
『とりあえず水を飲んだ』




