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第36話【幕間】体温と、レモン水

並び始めた人に気付き、彼はクリームソーダを、私はアイスティーを飲み干す。

最後に残してあった水を飲んだ。


カフェを出ると彼は言った。

「最近なんか、レモン水出してるとこ多くなったよね」

彼は流れる汗を拭う。

「だね。塩を入れるために、レモンも入れた方が美味しいんだって」

「早く秋になってほしい。純水のほうが好きなんだ」

「みんなそうだよ」


私は白いタオルハンカチを彼に差し出す。


「はいこれ」

「ありがとう」


自販機の前を通り過ぎる。ここも売り切れ。今まで3枠あった水が、全て清涼飲料水になっている。


「座ろうか」

「うん」


ベンチに座る。


目の前を走っていったアンドロイドの子供。

「お母さーん」

「走っちゃ危ないよ。ほらおいで」

人間とアンドロイドのカップルが、子供の手を引く。

アンドロイドの見た目も多様化して、質感はほとんど人間と変わらなくなってきた。

それでも、私たちは、人間だ。

彼は、私の右手をそっと握る。


「真鍋くん」

「しばらく、こうさせて」


じっとりと、彼の手のひらの熱が伝わる。

このアンドロイドだらけの世の中で、私たちでないと、できないことはある。


彼を見上げ、目を閉じようとしたとき

ぼそりと彼は言った。


「暑い……」


私は思わず吹き出す。

彼は、立ち上がった。


「水、買いにいこ」

「そうだね」

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