第22話【幕間】伝説のアホシリーズKOSAME
水を飲めるアンドロイドができた。人類の待望だ。
みんなこの美味しい水を、アンドロイドと一緒に味わいたいに違いない。
だけどお酒はまだダメらしい。
食事もまだできないって。
「水は、ペット型の方が需要あったと思うけどな」
だけど、人が死んだらもう二度とネロンは帰ってこられない。
ペットは、喋らないのがいいんだよね……
だってアンドロイドって、基本、口うるさいもの。
まあせめて、ポケット型が廃盤にならなくて良かったとは思う。
私は難しい仕様書は飛ばし読みする。充電が終わったら口頭で説明させればいい。ひとまずネットで噂になってる特典パネルの実物が見たかった。
形態別取説
1. 【アホ・ハイパーモード】
「今しかない!」と刺激を求めて突き進むタイプ。
• 状態: 抑制機能が外れ、アイディアが無限に沸く。過活動になる。
• 行動: 無計画な冒険、過剰な刺激への渇望。
• リスク:予測機能の鈍化、エネルギーの過剰消費、加減ができない
• 対策: とりあえず水を飲む
2. 【アホ・エンプティモード】
やる気、中身ともに空っぽになるタイプ。
• 状態: 完全にオーバーヒートし、冷却のために最小電力で動いている。
• 行動: ぼーっとする、寝続ける。無反応。
• リスク: 演算機能の鈍化。演算機能の暴走により自己嫌悪を無限ループ。
• 対策: とりあえず水を飲む
いやネタすぎる。
アクアロードのCMソング、『とりあえず水を飲んだ』をもじったんだと思うけど。
そのマグネットパネルは目立つ場所に貼り付けた。アンドロイドの性能が上がるお守りなんだとか。アンドロアース、こういう小ネタ方向で来るの初めてだな。
さて、KOSAMEの初陣。まずはフローリングの拭き掃除でそのバイタリティを見せてもらおうか。
そのとき、私の目の前をグレーの何かが高速で横切った。
「きゃあ!」
KOSAMEは私の手を握った。
「大丈夫ですよ!いい考えがあります。バケツを被せて水没させましょう!」
いやいや、ハツカネズミにバケツ被せられる人間は多分超人。
「やってみないとわからないですよ!」
それもそうか。アンドロイドなら、できるのかな?
私はバケツを指さした。
「でも、水が入ってんだよね。このバケツ」
KOSAMEはとりあえずバケツの水を飲んだ。
彼女が初めて飲む水は、アクアロードではなく、水道水だった。
申し訳ないことをした。
彼女は言った。
「ごめんなさい。ハツカネズミは、粘着トラップがいいです」
アホ・バースト初炸裂だ。
私はとりあえず水を飲んだ。




