↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/40

第20話【結衣】人間が一人でやってきた

side:結衣

物心ついた時からアンドロイドみたいだと言われ続けてきた。

だけど、今はそんなこと言われない。私が細かいことに違和感を持つのは、口うるさいからじゃない。

生きてるってことなんだ。

陽介には感謝してる。あなたが私を認めてくれたから。だから私は、小さな幸せを1つずつ感じる事ができるんだと思ってる。


「あっ。もうこんな時間」

腕から外したままの簡易端末が光っていることに気付かなかった。

『15時:洗濯物を入れる』

『17時:ご飯を作る』

壁の紙に大きく書かれたアナログの文字。

時計は既に19時を指していた。

簡易端末もラブも頼らない人間らしい生活を目指す私の挑戦は、早くも躓いていた。

ラブがいないから、スケジュール管理もメニュー管理もうまくいかない。

居間にいくと、陽介が夜露に濡れた洗濯物を家干ししていた。

「帰ってたなら声かけてほしかった」

「忙しそうだったからさ。お弁当買ってきた。食べよ」

ラベルを確認し、写真を撮ると右横にメモ帳を置いた。もう感覚記録機は売り払ってしまったから。一口食べては走り書きする。

家事も満足にできない私に、陽介が言った。

「お揃いのお弁当だね。隣で同じお弁当を食べてくれてありがとう」

「陽介」

私は幸せの感じ方を、この人に学んだ。

いつか私も、不幸よりも幸せをお裾分けできるような人になりたい。

私はペンを置き、メモ帳を閉じた。

「いいの?」

「うん。いいの。食べよう」


……とりあえず水を飲みたい。めちゃくちゃ味が濃いよ。


「最近なんか。前にも増して外で買う商品の味が濃く感じるよ」

「だね。なんか僕まで味に敏感になってきた」

浄水ポットの水をとりあえず飲んだ。

水道水に炭を入れただけの、古代の浄水器。


そのとき、インターホンが鳴った。


「アクアロード商品開発本部の金本です」

私はアクアロードが来たことより、人間が単独で来たことに衝撃を受けた。

この人は、私のアンドロイド嫌いを知っている。

「企業の案件は全て断っております」

「案件ではありません。我々はあなたの舌の秘密が知りたいのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。