第13話【桜】レモンミルフィーユタイムスリップ現象
side:桜
毎月15日にはアクアロード社から水が届く。
昔書いた私のレビューが放置しているだけでポイントを稼いでいるのだ。
そのレビューを削除しない契約で一か月に1箱の水を貰える。
「今日は冷凍商品も届いているんですよ。ボタンを押せば解凍できるので、直前に取り出す感じで大丈夫ですよ。初めての商品なのでこちらにサインください」
「はい。ありがとう」
友だちからの誕生日プレゼントは6個入りのアイスクリームケーキだった。
『レビューポイントいっぱい稼いで生活の足しにしてね!』
私はそのメッセージカードを、記録端末に保存した。
レビュアーを勧めてくれたのはこの子。この子はレビューの相互効果を狙っているんだ。食べた後でブログの方も更新しておかないと。
早速レモンミルフィーユアイスを選ぶとセッティングして写真を撮った。
プラスチックの器の側面から二種類のアイスの層が見える。
私はアンドロイドを使わない。
冗長だと削りがちな個所にこそ、私の言いたいことが詰まっているから。
「文章のことは分からないけど、味のことはアンドロイドより私の方が専門家なんだから」
上面をパイのフレークが埋め尽くしている。
口に含むと、アイスとレモンピールのつぶつぶとパイのさくさくが、触覚を楽しませてくれる。
湿気てない。パイの裏に油分の気配。
冷えて残るこの油分は多分
「ホワイトチョコ……じゃないな。ショートニング……いや、食物繊維と糖と油脂だ。ここにもレモン果汁が入ってる。口に残るけど嫌じゃない。爽やか。なんで?この配合一体何?」
口に運ぶ。咀嚼する。
「あれ?!」
私の前には空のプラスチックカップ。
やってしまった。タイムスリップ現象がここで発動するとは。
あああ……味、味思い出せ味!!
「れ、れ、レビューポイントがあ……」
とりあえず水を飲んだ。
私は残りの5個からもう一個選ぶ。
キャラメルナッツパイか、それとも濃厚チョコテリーヌか。
……
すぐに箱に戻し、冷凍庫を閉めると、レビューポイントを確認した。
61580ポイント……。
私はそのポイントで腕時計型の体感保存端末を購入した。
残りは、明日端末が届くまで絶対に食べないぞ。




