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俺にラブコメを仕掛ける強襲型幼馴染  作者: 一葉司
終章 悠斗と倖楓
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再びの訪問

大変お待たせしました。

 十一月――。中間テストも成績を落とすことなく無事に乗り越え、二学期もいよいよ後半を迎えていた。


「ただいまー!」


 玄関に着くなり、倖楓(さちか)の元気な声が響く。

 ここは俺の部屋なので、倖楓の場合は「お邪魔します」が正しい挨拶なのだが、わざわざ訂正したりしない。


 今日はバイトが無い日ということで、学校帰りにスーパーで夕飯の買い出しをしてから俺の部屋に帰宅したという流れだ。


 倖楓の後に続いて俺も中に入り、扉の鍵を閉める。

 振り返ると、何故か倖楓がまだ靴を履いたまま突っ立っていた。


「どうした?」


 俺は後ろから尋ねながら倖楓の顔を覗き込む。すると、倖楓は足下を見て瞬きをパチパチとさせていた。

 何を見ているのかと不思議に思いながら俺も下を向いてみると、見覚えの無い一足のパンプスが綺麗に脱いであった――。


「ねぇ、これって……」

「……まあ、たぶんそうだな」


 一度目もそれほど驚かなかったが、二度目ともなると尚更だ。俺と倖楓は特に急ぐこともなく靴を脱いでからリビングへ。

 ドアを開けると、前回と同じようにソファに座る姉の姿があった。違うところは服装が部屋着ではなく外出着なところくらいだ。


「おかえりー」


 まるで自分の家かのようなユルい出迎えの仕方に苦笑いしてしまった。


「いらっしゃい、明日香(あすか)お姉ちゃん」


 倖楓はまた家主のような台詞を口にする。

 実は気付かない内に名義が変更になっていたりするのではないのだろうかと不安になるが、「その時はその時だな……」とすぐに諦めてしまう辺り、丸くなったなと我ながら感心してしまう。


 一先ずスーパーで買ってきたものを冷蔵庫に入れたりしなければならないということで、そっちは倖楓が担当し、必然的に姉の対応は俺がすることになった。


「で、今日はどうしたの?」

「ん? 近くで用事があったから何となく?」


 要するに暇だったということだろう。こういう人だとわかっているので今更呆れたりもない。


「べつに来るなとは言わないけどさ、連絡くらいしてってば……」

「さっちゃんがいるんだから部屋は綺麗だろうし、隠さなきゃいけないものも無いでしょ?」

「問題はそこじゃないから! それならもう少し早く帰るようにしたって話だよ!」

「えー。だって、デートしてたら悪いじゃない」


 気を遣えるのか遣えないのかハッキリしてほしい……。


 俺が溜息を吐いていると、食材の整理を終えた倖楓が戻ってきた。


「私たち、放課後はそこまでデートしないから大丈夫だよ?」

「そうなの?」

「駅前は学校の最寄り駅だからいろんな人に見られるし、だからって電車に乗って遠出するのも大変だから」

「ふーん。まあ、二人はここがあるから問題無いわよね」

「うん」


 倖楓があまりにも赤裸々に語るので、いたたまれなくなった俺は話の主導権を取り戻そうと話題を変える。


「そんなことより! 今回も泊まって帰るの?」

「いや、今日は帰る。でも、さっちゃんの晩御飯は食べたいなー」

「もちろん! 任せて!」


 倖楓が張り切っているので、俺に文句はない。


「じゃあ、準備するか」

「うん」

「もうハプニングは起こさないでねー」

「「起こさないよ!」」


 ケタケタ笑う姉に責める目を向けるが、何食わぬ顔でスマホを触り始めた。

 この後何度することになるのかわからない溜息の回数を一つ増やすと、同時に真横でも溜息が聞こえる。

 隣を見ると、同じようにこっちを見た倖楓と目が合う。


「始めようか」

「そうだね」


 お互いに苦笑いを交換し、揃ってキッチンへ向かうのだった。

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

昨年は挨拶も出来ずに年を越してしまい、すみません。

約二ヶ月も更新出来ずにいましたが、この『強襲型幼馴染』は一気にラストまで駆け抜けていくつもりです。

改めまして、本年もよろしくお願いします。

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