第35話 死の通路発、メイドさん経由天国部屋行き
遅くなってしまいました。更にはいつもより短いのですよ……すみませぬ。
後ろ手に縛られて、ぼくは石の中に進んだ。
……じゃないよ。石の中って、*おおっと*案件じゃないかよう。
さすがに死ねますんで、そういう冗談はやめてよ?
というか、後ろででもないよね。
ぼく、お姉ちゃんに引かれてマス。
なので、ふつーに前に出した両手首を連行される犯人のように縛られているだけですよね。
毎回毎回、きっちり前の話を確認せずにフィーリングだけで書こうとするから、こうちょっとした所ですら矛盾を抱えちゃうんだよぉ。
閑話休題デス
とは言うものの、衛兵ズの間には石の壁しかないように見えるぐらい、装飾も絨毯もその他諸々のお城にありそうなものが一切なかった。
まあ、裏口だし仕方ないのかな?
こんなんじゃ、衛兵ズは暇で仕方ないよねーなんて暢気なことを思いながら、石壁の間の隙間に身を進めた。
うん、もう隙間と言うしかない。
通路って言うのがおこがましいぐらい、狭い。
もしかしたら、衛兵ズは鎧が挟まって進めないんじゃないかってぐらい狭い。
衛兵ズって、どうやってこの裏門に辿り着くのだろう?
この通路通れないよね?
いちよう、ぼくは『ぬののふく』だし、ソルお姉ちゃんも身軽な格好で、お互いにちっちゃ……
(ちっちゃい言うなーーー)
す、すみません。
しょたえるふなぼくと、まだまだかわいいお姉ちゃん……おー、これなら突っ込み入らないのね……なので、この壁の隙間を漸く通れるといった感じになっている。
両側は石の壁、見上げても石の壁、遥か彼方から差し込んで来てほんの少しだけ届いた日の光がどうにか視界を確保させてもらってるような感じ。
って、この通路には天井が無いんですね。
どちらかと言うと隙間なんだから建物と建物の間をすり抜けてると言った感じ。
「立ち止まらずに進んで下さい。時間をかけ過ぎると悲惨なことになりますよ?」
よそ行きの口調で、お姉ちゃんが先を急かしてきた。
どうやら、誰もいなさそうな場所でも、目と言うものはあるのだろう……ってそりゃそうだよね。
って、悲惨なことなんですか?
もしかして、この壁、ピタッとくっついたり……
くっついたり……
「するにゃで」
うん、するんですね。
いそいそいそ……
うぎゃーーー
「にゃから、先程の衛兵が言ってたにゃ。後1時間にゃと」
必死で足を動かして、どうにかこうにか42番通路の終着点っぽいところまでは進めることができました。
***
「そんなに慌てる必要はなかったのですが……長い距離ではありませんでしたよね?」
「た、たしかにそうですけど、でも、潰されるかもって思うとどうにも……」
一息ついて、やっぱり猫を外しているお姉ちゃんと会話する。
にしても、さっきはものすごく焦りました。
だって、狭い石壁の間の通路の終点は行き止まりだったんだよ?
薄明かりの中、お姉ちゃんの向こう側に石壁しかなかった時には絶望しちゃったよ。
で、行き止まりに見えた突き当たり、最後の最後に横っちょに筋が入っておりましてですね、
お姉ちゃんが近くの壁に手を当ててむむっと気合を入れると、……おそらく精神点をいかばかりか突っ込んだようで、筋の部分に沿って淡い光が走っていき、すすっと壁がスライドしたのでありました。
そこ、よくあるパターンとか言わないで?
分かってても、実際にそういう場面に出くわしたら焦るんだって!
「それで、ソルフェリノ様、一体誰をお連れ込みなされたのですか?」
「……王家の裏森で保護した迷い子です」
「新しいお小姓でございますか?なるほど、お好きに整っておりま……」
「そ、そういう物ではありません。査問のために連行しただけです」
ぼく、物なんですね……
お姉ちゃんが、縛られているぼくの両手首を強調している。
どうせ、王宮にいる者からしたらただのエルフは物ですよーだ。
と、内心いじけてみても、どこからも突っ込みが来ない。
さすがに、理奈もイリアさんも自重しているようだ。
((…………))
「みなさん、そう言われるのです。この程度の縛りで連行しているというのは、少々無理がございませんか?」
「彼は迷い子であり、罪人ではありません。ですので、最低限の『私が手綱を握っている』という格好になっていればそれでいいのです」
「なかなかに詭弁を弄されるのですね」
「……私は魂癒の塔では相当立場が上だと認識しているのですが」
「私、メイドでございますから、主の行いが正しい方向であるようにサポートしていく義務が生じているのです。ソルフェリノ様、正太郎コンプレックスはよくございません」
それ、ぼくでも分からないんですけど。
●●●●●の主人公だったっけ?
リアルでは見たことないんですが……。
たしかに、ぼく自身がしょたえるふだってことは重々しょーちしておりますよ。
それに、お姉ちゃん、ぼくの裸を見てどストライクなんて言ったの、忘れてないからね?
おねえちゃん、しょたこんだよね?
(ちがうにゃ!そるはしょたこんじゃにゃいにゃ!ストライクゾーンが広いだけにゃ!!!)
おー、やっぱり突っ込みが帰ってくるのはうれしいね。
でも、その返しはよくないと思うのですよ。
それって、もっと性質が悪い奴ですから。
それはそうとして、
にしてもだよ!そもそもどーしてこの世界のメイドさんがそんなこと知ってんのさ?
つーか、どーして僕たちの目の前にメイドさんがいるし!
ちなみに、このメイドさんだが、ぼくよりもよっぽど背が高い。お姉ちゃんよりも背が高い。
いわゆる英国風本格メイドってやつですよ。
伏し目がちで、基本のポーズで「お嬢様……」と言う感じをさらっと出してらっしゃいます。
ロングスカートのメイド服が似合って似合って仕方がない。
で、お姉ちゃんは若干メイドさんを見上げるような感じになってると。
「しょたこんじゃにゃ……うぉっほん、ごほごほ、私はいたってノーマルです。あらぬ疑いをかけないでください。……そういうことをわざと進言するということは、レシア?貴方、もしかして、そう言う気があるのですか?」
「私はメイドでございます。メイドとしての嗜み程度であればございますが?」
地が出かかってましたけど、せ、セーフなんでしょーか?
どうにもお姉ちゃんの背伸び感が半端ないんですが。
……おかしい。スキル的には絶対的にお姉ちゃんの方が上のはずなのに、これが雰囲気のなせる技なんですか?
熟練メイドの……
ギ 、 ロ 、 リ 。
そ、そういえば、このメイドさん、しょたこん疑惑についてさらっと否定せずに流しちゃったんだよね?
ぼく、おそわれちゃうの?
がくぶるしなきゃいけな……
あ、見ちゃった。
ぎっ!!!!!!
あ、あううう……
これ、ガチ肉食だ。
目でおかされた!
すぐに伏し目がちのメイドさんモードに戻ったけど、これあかんやつですわ。
「レシア?ステイ!」
「はっ!」
なんだこれ?
メイドさんはよくよく訓練された犬じゃないんだから、そんな言葉で止まるわけないと思うのですよ。
……って、止まった???
「これから、しばらくこの迷い子を預かることになります。瞑想部屋に空きはありますか?」
「問題ございません。飛び込みの方用に整備した部屋の用意はいつでも整っております」
「分かりました。では、このまま連れて行きますので、鍵の用意を」
「承知いたしました。……いくつかございますが、何番の部屋をご用意すればよろしいでしょうか?」
「92番……はやめておきましょうか、1280番にしましょう」
92番……は、くつー部屋なんでしょーね。その部屋にならなくてよかったよ。瞑想部屋なのに、苦痛が待ってるって、もうやな予感しかしない。
でも、92番が良くある語呂合わせだったけど、今回用意される1280番ってどういう意味なんだろー?
語呂合わせっぽくなんだよねー。
なんだかもやもやしちゃうけど、分からないならそれでいい気もする。
多分、てきとーに付けた数字だろうし、そこに意味はないと思うんだ。
……意味、ないよね?
「なるほど、天国部屋ですね?承知いたしました」
分からないとか思った瞬間に、メイドさんが答えをおっしゃっておりましたが、その因果関係が分かりませぬ。
1280番でなんで天国なんでしょーか?
死んだら天国だった、とかならいいんですけど、今のぼくって、死んだら神様の所に直行だから、……ある意味間違っちゃいないのね。
……天井、じゃ、ないんですよね?
ここまでお読みくださり、感謝申し上げます。
古いネタ、分かりずらいネタのオンパレードに、私も心を痛めております。
うーん、メイドさんの言葉が心に響かない件。
次回は、軟禁されたあんりきゅんの身に降りかかるあんなことやこんなことについてだと思うのですけど、どーなんでしょーか?
次話投稿は……希望的観測としては来週土曜。ですけど、こんな状態だからなあ。
それでも、継続することが唯一の道……デスヨネ。
気長にお待ちいただければと。
※追記:魂癒の塔4階:3階の次。たとえそれが塔の最上部であったとしても、3階の次の階なら4階なんだってば!……ゴメンナサイ。無理がありましたので、瞑想部屋の階層に関する記載を削除しました。(8/29付って、気付くの遅すぎでしょ)




