第31話 ぼっちエフェクト(吊り橋効果に非ず)
とても遅くなりました。
で、大分短めです。
いろいろごめんなさい。
さて、たった今、理奈がセシル王子を泣かせてしまいました。
ぼくが泣きそうです。
でもって、隣でソルお姉ちゃんも涙目になっています。
お姉ちゃんが公式には多分仕えてることになっている国の王子様を泣かせちゃったんだもの、ヤバい以外のないものでもないのですよ。
でも、お姉ちゃん曰く、どさくさまぎれに収束しちゃえみたいなことを仰る位なので、どうにか出来るんだとぼくは信じております……信じていいんですよね?
「にゃら、ちょっくら王子きゅんの下に行ってくるにゃで。あんりきゅんはここで息を潜めて見守ってるにゃよ」
「わ、わかりました」
そんな事を言いながら、今度はお姉ちゃんの出陣と相成りましたのです。
だ、だいじょうぶかなあ。
ということで、僕は引き続きこの叢に隠れております。
「……ん、んん、んー、の、喉の調子は……こんなものかな?……あー、セシル様、このようなお所でいかがなされましたか?」
「そ、その声は、『王の癒し手』ソルフェリノですか?」
「ええ、このような森の中でお見かけするとは露にも思わず、このような格好で失礼いたします」
「み、見慣れない格好ですけど、確かに、王の癒し手殿ですね……ふぇーん、ここにいる変な格好の女の子が僕のことをからかうんだよ!どうにかしてよ!」
見慣れない格好……って、お姉ちゃんの冒険者としての格好を王子様は見たことがないと。
確かに、王宮内で冒険者の格好して闊歩できるのって、冒険者だけだよね。
お姉ちゃんはそういう立場ではないので、きっちりTPOを弁えた格好だったんだろう。
……とっとっとっと。ここ、ちゃーーーーんす。なんですね?
じゃあ、ばびゅーーーーんっと。
(ふにゃーーーーーー)
「はて?斯様に無礼な女性がここにいると言うのですか?」
「ああ、そうなんだ!早く断じてよ!」
「あー、その、申し上げにくいのですが、どこにいるのでしょうか?」
「え?ここにいるじゃない……か?」
うん、いないよね。
さっき、王子様がソルお姉ちゃんと話し始めた瞬間に、勇気の源の耳あてに強制送還させたからね。
ものすごい勢いでアイコンタクトされたもんだから、頑張ってみましたよ。
大分強引だったかな?
(ふえー、本当に強引すぎるのれふよ~。でも、そういうのもちょっといいかもなのれふ……)
あのう、理奈さんや?新たな扉開くおつもりでしょーか?
(ちがいまふーー)
よかった。本当に良かった。
……にしても、王子様の言葉遣いがぶれまくっているんですけど、こんなんでやっていけるんでしょーかね?
まだ年端もいかないから問題ないんだろうけど、傍から見てると心配になっちゃうよ?
(もっと話したかったのれふよ~)
って、あれ?理奈がセシル王子のことに興味持ってますけど、なんで?
……なので、ここでちょっと時間を止めてですね、……あ、いや、僕にそんな能力は
『10000ポイントを使用して、時間停止能力を入手しますか?Y/N』
って、ちがうよ。そんな投げやりに対応しなくてもいいでしょーよ。
もちろん『いいえ』ですよっと。……まあ、そもそもポイント足りないからはいを選択できないわけですけどもね。
と言うか、おそらく遺失真言魔法あたりにそういう魔法ありそうだけれども。
そんなえろげー専用……じゃないか、えろげーもしくは超ハイスペック系物語でしか使わないような能力を 入手しても持て余らせちゃうだけなんだからね!
<検索しました。時間停止系魔法は遺失真言魔法として数種類登録されております。ただし、効果に欠陥があるもしくは、発動のための消費魔力が膨大である等の理由で廃れております>
例:時間停止 真言魔法レベル7
・時間を止める。持続時間は術者が解除を宣言するまで。
・ただし、術者を含めたすべての時間を止める。停止空間
内での行動不可。
瞬間停止 真言魔法レベル8
・10秒間だけ時間を止める。時間の拡大は出来ない。効
果範囲は術者を中心とした半径10mの空間。
・どちらかと言うと、時間を止めるのではなく、効果範囲
内の対象を10秒間行動不能にすると言う方が正確。
・時間停止中の効果範囲外から効果範囲内への干渉は不可。
・消費精神点は80。
確かにありましたね。
そりゃ、古代魔法帝国期とかと言うのがあれば、そう言った魔法なんて恰好の研究対象になってたでしょうよ。そして、その使い勝手の悪さに辟易しなんじゃなかろーか。
2つの魔法が例示されたけど、どっちもいまいち。
時間停止なんて、ほとんど意味ないよね……。だって、術者も行動できないんだもの。まあ、必要な場面はあるかもしれないけど。考える時間が欲しい時とか。でも、相談できないしなあ。
瞬間停止は確かに使えそうだけど、効果の割には必要精神点が高い。それに、連携できないように制限付いてるし。
……使い勝手が良かったらもっとこの世界は変わってたよね。
うん、脱線でした。
時間を止めると言っても現実に止める訳じゃないから。
ちょっといろいろ物語的に整理しないと訳分からなくなるんで便宜上。
で、ここでどうにかしておきたいのが、ソルお姉ちゃんのシュバルツヘルツ王国での立ち位置。
さっき、セシル王子から飛び出した、『王の癒し手』という尊称。
役職じゃ、ないよね。
<ちなみに、作者のファーストインプレッションは、ソルフェリノの役職として祭祀長と言う立ち位置にしたそうですが、あえなく没となり『王の癒し手』と言う尊称が持ち上がった次第となります>
えっと、ヘルプさんがいきなり仕事を始めちゃったけど、どういうことなんだろう。しかも、これって解説じゃ、ないよね?
<ヘルプではなく、没ネタ供養です>
マジですか。
作者の悪足掻きってやつですよね?
いつから、この物語は没ネタまでさらすようになったのかな?
<ひとえに、1話あたりの規定字数を多めに設定したからと推測いたします。ネタが切れた瞬間、5000字と言う字数は凶器と化して作者に襲いかかります。遂に、作者が屈して定時更新できなかった模様。これぞ、自分で自分の首を絞める典型なのです>
まー、所詮素人さんだからなあ。大風呂敷広げた所で畳めなかったんだよ。
でも、ソルお姉ちゃんの役職を祭祀長としようとしてたんだ?
うん、ヤバいよね。
国の設定の根幹が崩れちゃうよね?
<その通りです。作者が設定した事項に抵触しています>
そうなんだよ。
この世界はヒトの世界。
ソルお姉ちゃんはハーフエルフ。
人間じゃない者が、シュバルツヘルツと言う人の王国の要職に就けるはずがない。
しかも、祭祀長なんて、言葉の字面を見ただけでも、王国の祭事を取り仕切る長と言う意味だよね?
人の王国の秘奥を、ヒトでない者が取り仕切る。
うん、ありえない。
ありえないことを設定しようとするほど、この作者ポンコツだっていうことだよね。
……気付いてよかったよ。
でも、このソルお姉ちゃん、今後シュバルツヘルツの奥深くに関わるようなキャラクターになるんだよ。
と言うことは、ソルお姉ちゃんには何か治外法権的な物を付けないと物語が立ち行かない……って、ぼくの物語じゃないよ?よくある物語の方がやばいからね。しかも執筆して、もう公開してる部分だからね?いくら、物語の雰囲気が全く違っていよーとも、同一世界の同一時間軸上だから。パラレルじゃないんだよなー、これが。
なので、本来なら『笑う赤の』ソルフェリノなんだけど、あえて、『王の癒し手』ソルフェリノと言う異なる二つ名を創造するに至ったと言う感じだろうけど、じゃあ、そっちの方が二つ名として広がりそうな気もするけど、どうするんだろーか。
あー、今の所はどうもしないのね?
とりあえず展開に任せたいと。
***
「ど、どうしていないの?ついさっきまであんなに言い合ってたのに!」
「私には分からないのですが、どのような女性だったのでしょうか?」
「どんな……えーと、見たことのない格好した女の子なんだ」
「見たことが無い……と言われますと、私の方で全く見当がつかなくなってしまうのですが……」
「でも、見たことなかったんだ。だから、どう言ったらいいか分からないんだ……」
あー、ソルお姉ちゃんわざとやってる。
煙に巻こうとしてるよね。
分かる。
ここでこうやってとぼけてしまえば分からないわけだし、その方がこの後の展開もやりやすくなるだろう。
だって、王城にいる間は、ずっと理奈には籠ってもらえば……ぼくがやばいことになりそうだけど、それもお姉ちゃんはどうにかしてくれるだろうし、どうにかなるからね。
「それは困りましたね。特徴とか、印象があればお教え頂きたいのですが」
「後頭部の青い縁取りのある真っ白なおっきなリボン?がものすごく印象的だった。それに、紫色の髪って珍しいと思うんだ……」
あー、さすがにそれぐらいは覚えているよね?
あれだけ言い合いしてたから、それぐらいの理奈の特徴はつかんでいても当然の範疇だと思う。
とにかく目立つからね。
待機モードのパジャマ姿でも、ヘッドドレスだけはそのままだから、印象はそこに集中するよね。
「紫色の髪ですか……確かに珍しいですね。少なくとも私の知り合いにそのような者はおりません」
「そっか、ソルフェリノは分からないか……」
「ところで、その者を仮に見つけたとして、セシル様はどうされたいのでしょう?」
「どうしたいんだろう?……うん、極刑にしたいとかそういうのじゃないけど、うーん、……」
あ、王子様考えこんじゃったよ。
まあ、理奈との会話が鮮烈過ぎて、どうしたいかまではまだ考えついてないんだろうね。
……言い負かされっぱなしにしたくないってことだろうけど。
「でも、楽しかったんだ」
「楽しかった……でございますか?」
おい、ちょっとまて。
何だ?その展開は?
王子様、その台詞はどーゆーことよ?
あの会話の中に楽しいって要素はなかったと思うのですけども。
吊り橋効果……はこんな所で発揮されるわけでもなし、お姉ちゃんも面喰っている。
表情がおかしなことになってますよ?
……あ、そっちか。
そっちね。
ぼっちエフェクトだ。
いままで、ぼっちで子供らしい会話なんて何一つとしてなかったんだ。
そんな時にいきなり理奈のように容赦のない攻撃をされればそうなってしまうかもしれない。
「僕、嬉しかったのかな?」
「う、うれしひ……」
だから、ぼっちエフェクト恐るべし。
まじでそっちかよ!
お姉ちゃんの猫はずしがやばくなってる。
気を抜くと猫に戻ってしまいそうな勢い。
や、やめてあげて?
<ぼっちエフェクト……検索しました。造語のため、正しい検索結果はありませんでしたが、文脈から判断するに、今まで友人と言うものを持たなかった者に対して単に普通の会話を試みることにより、好感度がマックスもしくはそれに準ずる程度の上昇をもたらす現象であると解釈されます。この場合、理奈に対するセシル王子の好感度は一気に天井近くまで上昇してしまったものと考えられます>
だよねー。
で、理奈はセシル王子のことどう思ってるのかな?
(もっと話したかったのはその通りなのれふが、親密な関係になりたいと言うのは多分ないのれふ。お兄ちゃんの耳が最強れふ。せしるきゅんは……まあ、キープ君どまり?)
忌憚のない意見アリガトウゴザイマス。
むしろ、聞かない方が良かったよ……。
王子様に向かってキープ君発言はさすがに首飛んじゃうからね?
(面と向かって本人に言っていないので問題ないのれふ)
余計に性質が悪いと思います。
しばらく出てこないように!
(急に跳ね飛ばしたお兄ちゃんが悪いのれふよ!ぷんぷん)
す、すみませんでした。
でも、ならせしるきゅんのぼっちをどうしておくべきかって問題が出るんだよ……。
出会ってしまったからにはどうにかしてあげたい気持ちもちょっとある。
「ところで、向こうの叢に隠れてるのって、だれ?」
もしかして、ぼく、気付かれた???
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
体調不良で夜執筆できそうな時間まで起きてられなかったため、ほぼ1週間遅れになってしまいました。
夜中にならないとネタが浮かばないのに、その時間まで起きてられないと言うね、なんかもうだめな感じでございます。
で、ごーるでんうぃーくですが、実家に帰りますが、重ーいのーぱそを持ち運びますので、折を見て執筆します。
次話投稿は、5/6(日)あたりにやっちゃうんじゃないかな?
で、今度はあんりきゅんとせしるきゅんが……まだ、会話しません。
お姉ちゃんとあんりきゅんの準備のターンその1、と言うか、作者の連休中の愚痴のターン。
なので、話数はハーフナンバーになる見込み……って、だめじゃん。
5/5 23:46修正 こまごまと修正をかけました。ストーリーは変わりませんが、若干ニュアンスの変わった部分があります。後書きについてもこの連休中の行動内容を鑑み書き換えております。




