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エルフに転生した俺は今度こそ快適に暮らしたい  作者: 坂巻大樹
ルミフェナさんに鑑定をしてみるテスト
26/54

第25話 ソルとルミっちと建前とこの国の中央と、最後は死亡フラグかい!

建前だって、使えるんですよ?

……た、多分。



 木々の向こうから、何者かが近付いてくる気配はなんとなく分かった。


 えーと、へるぷさん、いけますでしょうか?



  <検索しました。近づいてくる者はルミフェナ=ワースソードです>



 へー、分かっちゃうんだ。



  <詳細データは接敵後の鑑定が必要となります>



 おっとっと、か、鑑定はダメ、ゼッタイ。

 鑑定すると何となくばれてしまうし、そのばれ方がいただけないのだ。

 下手をすると殺されちゃう案件になる。

 だって、ぼく、ソルお姉ちゃんを鑑定して、殺されたからね?



  <正確には、切れたソルフェリノにHPを0にされたものの、予約回復で全快し、逆にソルフェリノを撲殺した。となります>



 へ、へるぷさんや、そう言うことは言わないでおくれ?

 なんだかんだで、ぼくのトラウマなんだから。



  <その十字架は背負うべきと愚考致します>



 だから、やめてー。

 でもって、その、ルミフェナ=ワースソードのプロフみたいなものってあるのかな?



  <検索しました。1件ヒットしました>

   ルミフェナ=ワースソード

   種族:エルフ

   性別:女性

   年齢:非公開

   出身地:シュバルツヘルツ北部大森林地帯

   所属:シュバルツヘルツセントラル森林管理組合

   職業:森林レンジャー



 おお、そう言うことなのね。

 これなら、ぼく、黙っておけば何とかなりそう。

 向こうはお仕事だろうし、対するお姉ちゃんもお仕事だから、どうにかなる気配が無いね。

 ひとまず安心と言ったところかな。


***


 しばらくして、木々の向こうから、深い緑色に染めたインナーの上に軽めの革鎧を身につけ、レザーブーツとレザーグローブ、ショートソードにコンポジットボウを装備した、典型的なエルフの狩人って言う感じの女性が現れましたのですよ。

 うん、髪色はダークブラウンだ。どうにもエルフと言うと金髪と言うイメージが強いけど、さすがにそこまで寄せるのはいかがなものかと思うので、これでいいと思います。

 ぼく自身、髪色はレモンイエローなんだからそれでいいよね?


「そ、そこにいるのは何者ですか!……って、ソルフェリノ様ですか?お仕事ご苦労様です」

「……その出で立ちは、管理組合のルミフェナ殿とお見受けします。お勤め御苦労様です」


 う……嘘だ、お姉ちゃんがちゃんとした言葉を発している……

 表情も、いつものではない。

 完全に外行きだ。


「お伺いしたき事がございます。よろしいでしょうか?」

「構いませんよ。話してみてください」

「ソルフェリノ様がお連れの幼子は一体どういうことでございましょうか?」

「……ああ、この子は森の中で迷子となっていたのですよ。たまたま出会いましたので、保護いたしました」

「では、こちらでお引き取りいたしましょうか?迷い子となれば、管理組合の管轄となりますでしょう。これ以上ソルフェリノ様のお手を煩わせる訳にも行きますまい」


 おおっと、この展開はよくない。

 今お姉ちゃんと離れてしまうと、心のよすがが無くなってしまう。

 せっかく頼ろうと思ってたのに、急転直下だなんて嫌すぎる。


(理奈は拠所にならないのれふかーーーぷんぷん)


 えっとね、理奈も異邦人なんだから、ここは違うんじゃないのかな?


「このまま、この子を王宮に上げることは好ましくないと、ルミフェナ殿はそう考えられるのですね?」

「氏素性の分からぬエルフの少年を、全ての手続きを飛ばして、よもや中枢に献上しようとなど、そのようなシステムをないがしろにするような方策を、ソルフェリノ様は取ろうとされているのでしょうか?」

「私もシュバルツヘルツを支える駒である以上、蔑ろにする気はさらさらありませんよ。……ただ、システムではこの子の存在を抱えきれないのではないかと考えているのです」

「……私には、目の前にいるエルフの少年はそれ以上にもそれ以下にも見えないのですが、ソルフェリノ様には私の及び付かない何かを御存じなのでしょうか?」

「その件について、ルミフェナ殿に私が開示しなければならないとでも言うのですか?」

「……管理組合としては、穏便にご協力願いたいのですが、聞き入れてはくれないでしょうか?」

「私としても、管理組合には常々ご無理を通して頂いておりますので、本来であれば協力を承ることはやぶさかではないと言いたい所ではありますが、それでも聞けないこともあるのですよ?」


 うあうあう。ソルお姉ちゃんと、ルミフェナさんがバチバチやってる。

 どうやら、ルミフェナさんとしては、ぼくを引き渡してもらいたいみたい。

 ……急すぎるんですけど。

 問答無用なんですか?

 しかも出合頭で?

 ……でも、難民とか不法入国とかそういう場合は確かに問答無用だ。

 でも、いちようお姉ちゃんの保護下にあるはず、なんですよね?

 そうじゃないと悲しくなっちゃう。

 ……じゃない。

 ルミフェナさんが問題にしているのは、ぼくの事を超法規的にやってしまおうとしているソルお姉ちゃんのやり方だ。

 でも、強制吸精の件もあるし、身体検査されたらいろいろまずいものが出てきそうな気がするんで、出来る限りここはお姉ちゃんに死守して頂けないと……


「それでは、管理組合の権限に基づいて、引き渡しを正式に依頼いたしましょうか?」

「そ、それは、……システム上、私が拒否することは難しいですね?」


 ちょ、か、風向きが、怪しくなってきたんじゃないか?

 いくらファンタジー世界と言っても、法治国家ではそういう規則が重要になってくる。

 えっと、シュバルツヘルツってどれぐらいの国家成熟度なの?



  <検索しました。シュバルツヘルツ王国の成熟度についてのレポートとなります>

  ・シュバルツヘルツ森林王国は、この大陸では指折りの歴史を持つ

   国家である。

  ・王家は真言魔法に精通するものとされており、真理を探求する姿

   勢から転じて、規範や慣例法が重視される。

  ・法衣貴族が政治の中心になっており、官僚制が確立している。



 おおっと、これはよくないね。

 前回の時に見た水晶王宮の荘厳な雰囲気からも、この国は大きいんだろうなあと思ってましたけど、ばりばりの国家ですやん。

 このまま、ルミフェナさんが押し通すこと、出来ちゃいそうなんですけど。




「……って、もう、ソルお姉様にそんなことお願いできるわけがないですよー」

「にゃー、つかれたにゃー。ルミっちも建前で意地悪言うのがうまくなったにゃね」


 ……あい?

 す、す、素がでましたよ?

 いいんでしょーか?

 って、ルミフェナさんの口調も一気に砕けた気がするんですが。


「そりゃ、意地悪な上司に事あるごとにねちねち言われるんだもの、論理武装して言い返さないとやってられないです」

「にゃー、確かに組合のお偉いさんって、頭堅いのばっかりだからにゃー。中央の権力闘争に敗れたのが送り込まれるにゃからして、頭堅くてひね症なおやじになるのにゃよ」

「本当ですよ~。実務やってる方から言えば、害悪にしかならないんですよねー」

「そう言うにゃよ、管理組合なきゃ、あぶれた馬鹿どもの行き場がなくなって、反乱の目になるにゃからして」

「だから、そう言うのの押し付けよくないですって」

「じゃあ、そう言うのはさっさと粛清すべきって、ルミっちは言うのにゃか?」

「もちろんですよー。役立たずには死あるのみ。無理なら国外にほっぽり出すべきですよ」

「……国外に出すのも金が掛かるにゃ。粛正するには王族は温和すぎるにゃ。それ以上に役立たずどもも自己保身にかけては天下一品にゃよ」

「つらひですー」

「まあ、がんばるにゃ?」


 気付けば、ルミフェナさんの職場の愚痴を発散しようのコーナーになっちゃってたけど、ぼく、置いてかれちゃった?

 それに、けっこう物騒なこと言ってない?

 ……現実世界でも、お酒が入れば皆そんなこと言ってるじゃないかって?

 そりゃそうだけど、僕は就職する前に生涯の幕が下りちゃったから、よく分からないんだよ。

 ……死んでくれって思う相手は最低でも1人はいるけどな!

 そう言う奴に限って、更に被害者を出しながら教授に上がって行くんだよ。学内力学だけの力で。

 人を死なせること以外、何も出来ない癖にな?

 おっとっと。これ以上は僕の口から言う訳にはいかないか。

 転生させてもらえたんだし。


***


「とりあえずにゃけど、ここにいるあんりきゅんは供出できないのでして、おーけー?」

「……ソルお姉様の隣にいるエルフの子供の名前は、『あんりきゅん』と言うのですね?確かに、その容姿に合った、きゃわうぃい名前ですねー。特に『きゅん』の所が……う、うぉっほん、ソルお姉様が無理と言われるのでしたら、ルミフェナとしては何も言いませんよー?そもそも、私はお姉様と出会いもしなかった、でいいんじゃないですか?誰もいない王家の裏森ですしねー、何とでもやりようはあるのです」


 きゃわうぃいって……どう見てもルミフェナさんはちゃらくないんですけど。というか、そもそも女性なので、違和感しかないのですが、どうしちゃったんですか?

 あ、その質問については無視ですか、そうですか。


「うんうん、分かってるにゃね。そう言うのでいいのにゃよ」

「でも、本当に大丈夫なんですかー?あんまり中央を刺激するのはよくないと思いますよー?」

「大丈夫にゃよ。って、……うーん、本当にだいじょうぶにゃか?確かに、ちょーっち、王族の中でにトラブル抱えてるにゃからして、刺激するのはよくないという意見もごもっともにゃけど」

「ルミの所まで聞こえてきてますよー、例の噂」

「何だか、けっこう広まってるにゃね?何らかの悪意がからんでるにゃか?」

「そりゃ、ありますよー。まつりごとなんて悪意の連続によって回ってるんじゃないですかー?」

「それはそうにゃが、奴らにゃは、不敬とか考えにゃいかのにゃ……」

「考えるわけないじゃないですかー。コーツヴァルト卿とか、オグレクリィス卿とか、そう言うの好きそうな方々はいっぱいるじゃないですかー」

「確かに、あの辺りならやりそうにゃが……」


 その上、会話の流れでしれっと僕の名前をあんりきゅんと言っちゃってるけど、だいじょーぶなのかな……

 さらーに固有名詞がナチュラルに飛び交っちゃってるので、僕にはさっぱり分からないんですが……

 ヘルプさんのオンラインヘルプってどうなってるんだろ?



  <コーツヴァルト卿>

   代々宰相を輩出しているシュバルツヘルツ森林王国の侯爵家。

   元々宰相と言うのは実力によって昇る官職であったが、いつの間

  にか歴史が宰相位を世襲制へと変貌させている。困ったもんだ。

   それでもこの国の政治が回っているのは、周りを固める法衣貴族

  が有能だから。(もちろん、宰相になる者は、コーツヴァルトの男

  子の中で最も相応しいとされた者である。なので、長男が家督のご

  とく宰相位を引き継ぐわけではないが、確率としては長男である場

  合が最も高い。次男以降はいわばスペアである。なので、一定の権

  力闘争は家の中で存在している。)

   ちなみに、公爵は王家筋となるため、王家筋ではない貴族の中で

  は最高位となります。



  <オグレクリィス卿>

   代々財務卿を輩出しているシュバルツヘルツ森林公国の侯爵家。

   先のコーツヴァルト卿のように、財務卿を世襲しているのがオグ

  レクリィスである。

   こちらも侯爵であり、コーツヴァルト、オグレクリィス、ハイリ

  マスタの御三卿がしのぎを削っている。

   コーツヴァルトが狸なら、オグレクリィスは狐と言った感じで化

  かし合いの日々。

   なお、ハイリマスタは将軍であり、軍務畑のため、化かし合いと

  は一線を引いている。あまりに二卿の権力争いが苛烈になった場合

  は過去、ハイリマスタ卿が軍を率いて実力で鎮圧しており、御三卿

  の一角として睨みを利かしている、らしい?



 うわぁ

 何だか、ドロドロしてる。

 大きな国だったら仕方ないか……。

 まあ、やっぱり好き勝手出来そうな位置にいるんだから好き勝手したいと思うのは皆同じだよ。

 ぼくは、それで失敗しちゃったんだけどね。

 手厚いサポート体制が整ってるんだから、彼らなら好き勝手出来そうな気がしてくるよ。

 で、王家はどうなってるのさ?



  <シュバルツヘルツ王家については、データの開示請求が却下されました>



 えっと、こんな所でのよもやのネタばらしなのでやめてください攻撃ですかい。

 それとも、やっぱり作者がまだ決め切れてないからなのか?


「でにゃが、ルミっちのこれからの予定はどうにゃってるのかにゃ?」

「2、3日かけて周辺の魔物の駆除活動なのですー。まあ、上からはノルマも課せられてないので、体の言いのんびりタイムですかねー。こっちにいる方が気苦労が無いのですよ」

「体のいいさぼりなのかにゃ?」

「ソルお姉様ぁ、サボりじゃないですー」

「……」

「……ご、ごめんなさい。さぼりですぅ」

「にゃら、ちょうどよかったにゃよ。ちょっち付き合ってくれるかにゃ?」

「はいー?」

「実はにゃ、ちょっとだけ世界を変革したいにゃにゃんて思ってるのにゃが、」

「へ、変革……やはりお姉様の言うことはスケールが違う……」


 僕がヘルプさんと戯れている間に、何だかまた別の方向に雲行きが怪しくなってきたよ?

 お姉ちゃんが変革なんて、何を言い出してるんだよ!

 ぼくに、なにか、させたいのかな?そ、そんな気がしてる。

 ま、まって、それ、僕の死亡フラグにならないの?


「あー、あんりきゅんよ、もうしゃべっていいにゃよ」

「えー、今まで黙っててすみませんでした。……ぼく、アンリ=クロスティカと言います。ルミフェナさん、よろしくお願いします」

「うほう、あんりきゅんは声もまた、きゃわうぃいのですね♪では改めて、私はルミフェナ=ワースソードって言いますよ。で、クロスティカってぱっと思い浮かばないんだけど、どの辺りの出なのかな?」

「あー、ぼくって孤児みなしごなんで、クロスティカって言うのは勝手に名乗ってるだけなんですよ。なので、そう言う氏族が思い浮かばなくて当然ですから」

「ちっちゃな子供なのに、そういうの自分で考えちゃうんだねー。言葉の響きがいいから、どっか私の知らない遠き地でそう言う氏族がいるのかって思っちゃったよ。そう言うことなら、ごめんね?つらいこと思い出させちゃった?」

「だいじょうぶですよ。ぼく、そう言うのには慣れちゃってますから、気にしないです」

「おっふ、健気な子は好感持てるよー」

「にゃー、盛り上がってるとこ、悪いにゃけど、あんりきゅんにはルミっちにお願いしたいことがあるんだな」

「えっと、ぼくに何をしてほしいと?」

「ルミっちに、『鑑定』をしてほしいのにゃよ」



 それ、絶対に死亡フラグでしょ!!!!!!




死亡フラグが死亡フラグとして成立するのは、その死亡フラグが死亡フラグであると対象者が認識していない場合に限られる、と言うのが通説。

つまり、あんりきゅんが死ぬなんてそんな結末はありえないんだからねッ!


ここまでお読みくださり、感謝なのです。


次回、ルミっちを鑑定するあんりきゅん!って、王宮はどこ行った?

さすがに、たぶん、鑑定ネタで5000字はきついかなあとは思うので、次の展開まで行くのかな?で、次の展開は何なのよ。

予定は3/17(土)のつもり。

……ネタが浮かばなかったらごめんなさい!

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