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エルフに転生した俺は今度こそ快適に暮らしたい  作者: 坂巻大樹
戦闘の現実、妄想現実化の暴走、そしておまけ付き
16/54

第16話 戦闘の結末と、いわゆる通過儀礼(違う意味でのお約束)

本話後半部は、少し読者によっては好き嫌いの分かれる話になってしまいました。

中盤の★★★★★★作者インサートで説明しておりますので、

苦手な方はその後の部分については飛ばしてしまってください。



 転倒状態から起き上がったフォレストライオットから大きな鮮血の華が一瞬咲き、飛び散っていく。



 <フォレストライオットに16点のダメージを与えました。残りのHPは3点です>



 はい、案の定やれていませんでした。あの場面で引きとなったら、この展開がお約束なのですよ。

 ちくしょー、重傷状態にまでは行ったんだぞ?一気にフォレストライオットのHPを8割も削ったんだ。普通に考えればすごい攻撃力だ。

 ……なんだけどな。


 ぎゃう!!!


 相手はモンスターだった。

 野生の獣だったら撤退してくれるのかもしれないけど、モンスターに撤退と言う文字はない。

 ……もちろん、例外はあるよ?ボスモンスターとか黒幕モンスターだったら、戦略的撤退とかもあるに決まってる。お約束って奴だからね。で、逆に、このような野良モンスターの場合は、経験点との兼ね合いで撤退はないのがお約束だ。


 がぶりんこ



 <フォレストライオットが噛みつき攻撃を行いました。噛みつきが成功しました。アンリに2点のダメージ。噛みつかれている間は継続ダメージとなります>



 はい、やられました。反撃されたでございます。

 で、凶暴な口が僕の目の前に広がっている。

 ぼくの前には前衛がいないんだもの。

 だから、攻撃され放題。

 痛いです。

 ものすごく痛いです。

 でも、泣いても喚いても誰も助けには来ません。

 噛みつかれているので、弓で攻撃する訳にもいかなくなっちゃいました。



 <噛みつき攻撃への抵抗は、直接戦闘スキルと筋力をベースにした振りほどき判定に成功する必要があります>



 えっとですね。



 <振りほどき判定に成功する確率は、5%です>



 デスヨネ。

 ぼく、直接戦闘スキル持ってないよね。

 つまり、運頼みの絶対成功もしくはまさかのフォレストライオット側のファンブル待ちってことだよね。

 うん、ぼく死ねる。

 あ、後1撃を決められれば沈むのに、だ、駄目なのか?

 お、教えて!ヘルプせんせーい!!!



 <検索しました。以下の方法が最も確度が高いとの結果を得ました>

  →雷の矢(ライトニングアロー)のゼロ距離射撃



 ……

 そっか、魔法は使えるんだよね。

 で、残り3点だから、十分に沈められるんですよね。

 ごめんなさい。


 がぶがぶがぶがぶ



 <アンリは噛みつき継続ダメージを受けました。2点のダメージです。アンリの残りHPは5点です>



 嘘う!

 検索で1ターン消費しちゃったのお!

 落ちつけ、落ちつけ、……これで決めちゃるよ!


「ぐ、あ、ま、魔力マナよ、い、いかずちの光となりて、敵を、貫け!雷の矢(ライトニングアロー)!」


 発動体である紅き月の指輪(ミスリルルビーリング)を嵌めた右手を、噛みついているフォレストライオット(ライオン)の顔めがけて突き出し、雷の矢を発動させる。

 ばりばりばりと、耳をつんざくような大きな音を立てて、雷が斜め上方に向かって伸びていく。

 すでに、マウントポジション決められちゃってたからね。



 <フォレストライオットに9点のダメージを与えました。フォレストライオットを撃破しました>

 <アンリは、経験点を0.01点獲得しました>



 雷に焼かれ、フォレストライオットが絶命する。

 って、あれ?結構魔法ダメージ多くない?



 <判定の綾と言うやつです>



 そっか、って、何だか納得いかないんですけど。



 <カードゲームや、一部の手抜きゲームではないため、ダメージは変動制となっております>



 確かにそうなんだけど、そうすると、さっきの説明に悪意が感じられたような気がするんですが?



 <ヘルプ機能が悪意を持つことはありません。事実を説明しております>



 ほんとかなあ、ボケとか突っ込みとか、いろいろやってるでしょうに。



 <…………>



 だんまり決め込むってところでぎるてぃなんだけど、ね。

 ぼくにはこのヘルプ機能がないとこの世界で生きていく自信がこれっぽっちも湧かないから、これからもよろしくお願いしたいのですよ。



 <分かればいいんですよ>



 はいはい。




******




 思い出した。

 何を思い出したかって?



 い、いでーよー。

 か、噛まれたよー。

 血、出てるよね、出ちゃってるよね。



 ってこと。

 なんか想像した?

 そんな変なこと思い出すわけないっすよ。


「ふにゃ~、お兄ちゃん、お見事でしたあー。……で、そんな所でまんざいしちゃってるけど、何もしなくていいの?」

「理奈?」

「えっと、けが、治さなきゃいけないんじゃないのかな?」

「ど、どっすれば……」

「お兄ちゃん、だから、出来ることを早く覚えようよ」

「出来ることって」

「お兄ちゃんの本職!何?」

「えっと、魔術師?」

「……むー、このどっちつかずめー、……あ、ほんとだ。どっちつかずだった。えっとね、私の方だよ!」

「理奈の方、精霊?」

「うん、当たり。早く使える魔法ぐらい暗記した方がいいよ~」

「そ、そんなこと言ったって、まだ、この世界にやってきて3日目なんだから、覚えられないに決まってるじゃないかよう」

「そんなこと言ってると、いざという時死んじゃうよ?」

「あー、それはやだ」

「じゃあ、ちょっとぐらい苦労しようよ」

「苦労って、さっき思いっきり苦労したよ!らいおん(フォレストライオット)強かったって」

「……えっと、もいちどエクセリナシュート受ける?お兄ちゃん」

「ごめんなさい。ひーるしまふ」

「分かってたらいいんですっ!」

「……精霊に宿る生命の力よ、我にその力をお分け下さい。治癒ヒール



 <アンリのHPが全快しました>



 おっと、そんな効果だったんだね。ヒールって。

 見る見るうちに引っかき傷や噛まれた跡が消えていった。

 よかったよかった。



  <信仰魔法のキュアと精霊魔法のヒールについて>

  HPを回復させるための魔法は2系統にあります。信仰魔法のキュア

  は、1レベルで使用可能となり、消費MPも少なく、更には「投げキ

  ュア」も可能ですが、回復量が少なめです。逆に精霊魔法のヒール

  は、3レベルで使用可能となり、消費MPはキュアよりも多くなり、

  「投げヒール」もできませんが、必ず全快します。なお、信仰魔法

  のキュアはアンデッドに対して使用するとダメージ魔法となります

  が、精霊魔法のヒールはアンデッドをターゲットに選択できません。



 へー

 そんな違いがあるんだ。

 「投げヒール」の方が「投げキュア」よりも語呂いいんだけど、投げヒールはできないんですね。



 <仕様ですから。さすがに、信仰魔法をヒールにして、精霊魔法をヒーリングにしてしまうと必ずどこかで作者間違えるので、余裕を持った命名にしたそうです。確かに、「投げキュア」は語呂が悪いと思います>



★★★★★★



   ほっとけ。

   作者も書いた瞬間に思ったよ。

   「投げヒール」の方が語呂がいいって。

   でも、ヒールとヒーリングじゃ、絶対こんがらがるに決まってるしなあ。

   ん?入れ替えればいいって?

   キュア(=応急手当)よりもヒール(=治療)の方が回復量が大きい

   イメージだからね。そこんとこは許してよ。

   つーか、「投げヒール」って、ファンタジー用語じゃなくて、ネトゲ

   用語じゃね?

   (すみません。作者こう言った所がトンと無知なもんで)




   ※作者よりお知らせ※


   この後は、少し気分を害するかもしれないシーンとなります。

   古~い異世界転移では、テンプレだったりするのですが……

   予め、ご承知置きください。

   ※あんりきゅんがちとやばくなっております。

   (一応、最後にはオチをつけたつもりですが……)

   書いたものは載せる。がモットーです。

   (あ、ガチでだめなやつは載せませんから。

    それぐらいの分別はあるつもりです)



★★★★★★







 目の前には、焼け焦げたらいおん。

 横には、ふよふよしているパジャマ姿に枕標準装備で理奈。

 終わったんだ。

 どうにか、勝ったんだ。

 ほっとした。

 ほっとしたら、襲いかかってきた。

 これが、命のやり取りだったんだってこと。

 臭いがする。

 肉の焦げた臭い。

 ヒールで塞がったはずの、ぼくから流れ出した血の臭い。


 こ わ い 。


 い や だ 。


 ぼ く し に た く な い 。


 い き て る 。


 ぼ く 、 い き て る の ?


 あ あ … …



 じょぼじょぼじょぼじょぼ



 ひざから崩れる。

 終わったからこそ、恐怖がやってきた。

 こんなことが、日常になる。

 これが、リアル。

 ぼくに、耐えられるの?

 やだ

 やだやだやだ

 もう、こんな怖い思いしたくないよお!!!



 心の中で叫ぶ。

 でも、声にはならない。

 あ、あ……あ……

 膝立ちになり、目の焦点を飛ばし、股の間から黄金色の液体を垂れ流す。

 う……うげえ……

 上の口からも、朝に食べた物を戻してしまう。



 惨めだ。

 人を殺したわけでもないのに、こんなに拒絶反応が出た。

 ぼくってなんじゃく者なんだね。

 こんな世界で、どうやって快適に暮らそうなんて思えるんだ?




「にゃー、いい運動だったにゃ」

「あ、お姉ちゃん、ちょっといいでふか?」

「なんにゃ?理奈っちからソルに直接なんて珍しいにゃ」

「お兄ちゃんやばいでふよー」

「どうやばいのかにゃ?」

「お兄ちゃんね、おっきなライオンさん倒して、回復魔法掛けた所まではよかったんだけどね」

「うんうん、それはよかったにゃ」

「そのあと、我に帰っちゃったの」

「我に返った所で、それがどうしたかにゃ……って、理奈、そう言うこと?」

「ええ、そう言うことです。今までこう言ったことに免疫がなかった反動が出ています」

「くそっ!あいつ、ゴブリンをエネルギーボルトでぺちぺちやってた時は何もなかったよな?」

「ええ、異常ありませんでした。おそらく、遠隔から魔法で対応していたので、現実味を感じていなかったのでしょう。今回は、接近戦、噛みつかれ状態からのゼロ距離雷の矢(ライトニングアロー)でしたので、自らの生死と直面してしまったと見られます」

「面倒な!いや、ここで経験させておいておいてよかったと思うべきか!今ならまだ訓練期間とも言える。で、今の状態は?」

「膝立ちで放心、嘔吐、放尿です」

「狂乱はしていないんだな」

「狂乱の兆候は現在は見られません」

「よし!私が治療する!イリア、実体化できるか?」

「イエス!マスター!」

「で、任務は分かるな」

「アンリが暴れないように押さえつける、だな」

「ああ、頼んだ!」

「……ふえー、つかれたでふよー」

「……そこ!素に戻ら……にゃー、ソルも疲れたにゃ~、こんな軍人モードなんて苦手ににゃー」

「……あああ、後もう少しだったんだが、無理だったか……」

「ともかくにゃー、イリアっち、やることはやるにゃよ」

「承知している。アンリは今は放心状態だが、トラウマとなっているソルが近付いたらどうなるか予想もつかないからな」

「ソルは予想が付くにゃ。だから、イリアを呼んだんにゃよ」

「よろしくおねがいするでふよー」

「ああ、理奈も承知した。折角この世界に来たんだ。まだまだいてもらいたいしな」

「じゃあ、作戦開始にゃ!」



 どうして、ぼおくはこのせかいにきちゃったんだろうなー。

 あのまま、しんでりんねのわにかえってたらよかったのになー。

 ……って、うまれかわりなんてあのせかいにあったっけ?

 なかったらやだなあ。

 ぼく、しあわせになりたかったなあ。



  にゃーですよ。



 ねこ?こんなところにねこがいるの?

 えへへ……かわいいねこさん、すがたをみせてよー。



  ぐにゃー、気を……



 へんなねこさんだねー、ぼくはここにいるよー、どこにいるのかなー?

 あれ?あっちかなー?そっちかなー?



  気を戻すんだにゃ!



 ぼく、しょうきだよー、しょうきかなあ?

 こわいののいたいのもいじめられるのも、もういやなんだよう。



  なかなか手ごわいにゃ!



 あー、せかいがゆれてるねー、じしんかなー?じしんこわいなー。

 あれ?なんだか、灰色になってく。暗いの、怖い。



  そっちは!違うにゃ!戻ってくるにゃ!



 怖い?怖い!やだ!やだーーー!



…………甘えんじゃねーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!



「神よ、この者に、やすらぎを、知恵を、知識を、そして、人としての理性を戻したまえ。って、戻れってんだ、この野郎(サニタイズ)!」

「……う、あ、うああ、ぎ、ぎもぢばるい……ぼぐ、吐いてる、漏らしてる……ぎゃーーー」

「どうにか、正気に戻ったようだな」

「正気に戻ったのでふよ~」

「はあ、はあ、はあ、今回の魔法はづがれだにゃ!!!」

「な……なんだか、ぼくの格好、ひどすぎるんですけど」

「お、覚えてないのかにゃ」

「えーと、でっかいらいおん倒して、精霊魔法で傷を治して、あ゛……」

「そうでふよー、お兄ちゃん、正気を失ってたんですよー」

「た、大変だったんだからにゃよ!抵抗がものすごかったにゃよ」

「ぼく、そんなに何を拒んでたんですか?」

「なにって、正気に戻ることを拒んでたんにゃよ」

「うえー、そ、それは本当に申し訳ありませんでしたあ!」


 正気に戻ったところで、地面がいろいろをやばいことになっていたけど、その場で土下座した。

 土下座しなきゃいけないんだって思った。

 徹底して汚物に塗れて、堕ちるところに落ちないと、今は駄目なんだ。

 ひどい臭いが鼻に付く。

 これが、今のぼくの臭いなんだ。

 でも、そうだろう?

 ソルお姉ちゃんは、こんなぼくを見捨てることができた。

 軟弱なぼく。

 分かってる。

 こんなことぐらいで精神を病んでいたら、この先この世界で生きていくことなんで無理だと。

 快適に暮らすまでに押し潰される。

 慣れろ。

 この世界のルールに慣れろ。

 この世界のことを知らなきゃ、この世界を変えることなんてできない。



『ボーナスポイントを10000ポイント消費して、戦闘をデジタル化しますか?Y/N』



 えーとですね、どうしてその選択肢が今出てきたんでしょーか。

 ボーナスポイントがそもそも足りていないのですが?


 えっと、何々?



  <戦闘のデジタル化>

  戦闘をR-18指定ではなく、全年齢対象となるようにスプラッタ

  要素を排除します。例えば、攻撃を受けた時は血が飛び散るのでは

  なく赤いエフェクトが飛び散るとか、飲み込みや噛みつきと言った

  グロ攻撃を排除します。



 ……

 …………


「あのー、あんりきゅん?何もそこまでしなくてもいいにゃよ?分かってくれたらいいにゃよ?」

「ご、ごめんなさい!でも、いいんですか?ぼくのこと、許してくれるんですか?」

「許すも何も、アンリはソルの弟にゃ。弟を見捨てる姉がどこにいるのかにゃよ」

「今日は早いが、さすがにこれ以上は無理だろう。この先、少し行けば小川がある。そのほとりで今日は休むことにしないか?」

「そうするにゃ!そこまでは我慢するにゃよ」

「うん」

「良い返事にゃ!じゃあ、あんりきゅん、……げへげへ」


 最後の最後で、やっぱりいやな予感がした。

 やっぱりぼく、この世界とは合わないような気がするんだけど、快適に暮らすことって出来るんでしょーか?



ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

この物語はあんりきゅんの(成長の?)物語でもあるので、

気付けば書いておりました。


あまりこの話を最新にしておきたくないので、

次話投稿は、出来れば土曜ぐらいまでにはしたいです。

(その分、フォルティアさんの方は後回しにしますです)

次回はですね、頑張ってサービス(?)回にチャレンジしたいと思います。

拙い文章力でどこまで表現できるかはさておき……

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