第二部 プロローグ
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます!
『案ずるな!その欠けらに魅入られた者……そう、保有者は信仰を全うした証だ』
何回目だろう……宗教じみた聞き覚えのある言葉が脳内に響く。
傷ついたレコード盤の再生しているようなノイズめいた言葉がエンドレスに頭の中で流れ続けている。
――帰ってきた――
どこか懐かしくて、ノスタルジックになってしまう。
そしてあの時と同じ、朝焼けのような柔らかな光りがこの身を包む。
そして僕の意識が少しずつ覚醒していく。
まず、感じ取ったこと……体のあちらこちらに透明の管が差し込まれ、頭には趣味の悪いヘルメットぽいものがかぶせられている。
「はにゃーっ! この波動は! またもやあっちの世界から帰ってきやがったのですーっ!? もうもう、いつまでもうちの乳離れできないあにさまなのですーっ! 吸いたかったら素直にいいやがれです、べらもうめぇぇぇーっ! ちなみにうちはあにさまの乳首離れができなくて丑三つ時にレロレロしていることはナサの国家機密よりもミツミツなのです!」
まだはっきりとしない意識の中、微かに聞えるシルクの馬鹿まるだしの言葉に安堵感を抱く。
何だか懐かしい声……というか乳首レロレロってなんやねーん!
「ねーねー、おとうちゃん……目が覚めたの?」
子供? 舌ったらずの可愛らしい声も聞こえるぞ。
「こら、キヌは良い子なのであっちで名作『デスゲームは浣腸のはじまり~デンジャラスはMの登竜門~』をしっかりこっきりとお勉強するのです、目覚めがとってもワルワルなあにさまなので乳首に洗濯バサミを挟んでもまだまだ起きないレベルなのです!」
「おとうちゃん……可愛そう……だけど優しくて頼りになる声を聞いてみたい」
「ほーら。おとうちゃんですよーっ!」
「お母様の……変な声嫌い」
僕は全力で寝返りろうとするが、サファリパークで愛嬌たっぷりなロバに熱烈歓迎キスの洗礼を受けて、あまりの臭さに失神してしまう子供のように肉体が動かない。
だけど『僕ははっきりくっきりと起きているぞーっ!』とアピールして懐かしい声に応えたい。
「キヌ、あにさまはまだまだ出稼ぎに行くのです! もう少しキヌが良い子で大きくなったらいっぱいお話をしてくれる素敵なあにさまなのです!」
「わかったの……キヌは良い子なの」
あれっ? 気配が一つ僕から離れていくぞ、待て、待つのだーっ!
「むふふーっ、やっとあっちに行きやがったのです! これでラブラブチュッチュッな夫婦だけにしてやったのです、もう、うちの勝利なのです! それにしても、見事にハッキングを跳ね返されたのですーっ! あにさまは何者とあいやがったのですか?」
声が出ない、必死に何かを訴えようとしても息をするのがやっとだ……いったい僕の身体はどうなっているのですかーっ!?
「こちらの動向を察知する輩がいるなんてガッデーム! とっても忌々しき事態なのですーっ! とっても寂しくなったときにあにさまのパンツを顔いっぱいくっつけてクンクンしている姿をキヌに見られたぐらいえらいこっちゃなのですーっ!」
――なんじゃそりぁーっ! ただのド変態やんけーっ!――と僕は渾身の一撃ほどの盛大さを持って心の中でシルクにツッコミをいれる!
「さて、ならばこちらも攻め方を変えてやるのです! あにさま! レッツラゴーなのですーっ!」
――うあぁぁぁぁぁぁーっ!――
僕の意識が再び闇が蔓延る深淵の世界に落ちるのであった。
お久しぶりです!
第二部の開始です。
今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします!




