邂逅編……ご主人さま連合とコウ君の出逢い
こんばんわ、第二部のはじまりはじまりぃぃぃーっ!
とっても嫌な臭い……そう、臭くて臭くて『ワキガだ!うっひゃー』と何となく叫びたくなるほどの臭いぽいものがコウの鼻をくすぐる。
オイルと廃棄物が混濁する嗅ぎなれた臭いに混ざるとっても嫌な臭い……いや、臭いと言うより嫌な空気……学校でいきなり不良にカツアゲされそうな雰囲気的な何かが直感に働き掛けてきたと言った方が良いか。
「おいおいコウちゃん、ヤバいぞ! 一号棟の野良神の奴らの檻がすっからかんだぞ」
「あちゃーっ、又、機械帝国の奴らの実験体になったのか」
「じゃ……もうあいつらに未来はないな……あっ! だから、昨日の奴らの晩飯が豪華だったのか!」
鉄格子にへばりつき覗き見する妖怪囚人達。
廊下の壁に備え付けられた置き燭台灯りが照らす闇の先から漂う嫌な臭いにピンピンに感づいているのだろう。
「わたしたちも時間の問題だな」
ふと、コウの隣で物乞いの子供みたいに蹲る座敷わらしのミナちゃんが零した、粘つく言葉が心の闇を露わにする。
「そりゃ、機械帝国の残党狩りで捕まったら最後だからな」
「ぼくちんなんて、お腹が減っていたところを、草原の真ん中で炊きたてご飯とみそ汁が乗ったちゃぶ台発見して食べようとしたら落とし穴にハマったチュン!」
「そりゃ妖怪ぽっちゃりスズメどん! 気持ちがわかるでゴワス! それにしても地上もそろそろ制圧されて駄目なんじゃなーっ!でごわすか?」
ざわつく囚妖怪、慢性的な恐怖に心を蝕まれ、この機械の歯車の音が響き、オイルの臭いが充満した劣悪な環境も合わさって健全な精神を保てるものはいないだろう。
「むきーっ! 信じられないぐらいすっからかんある! ムカつくある! とってもムカつくあるよーっ! ご主人様は何処に雲隠れしているあるか―っ!」
その声は鉄格子の向こう側……そう、機械兵達がいるはずの看守広場から聞こえる。
金属が弾けた音が響くと、陰気で絶望が跋扈した牢獄棟ではお目にかかれないほど快活でこの場に相応しくない力のある声。
「またブリキ兵団が出てきたある! 我が精鋭たちーっ!者どもスッチャカメッチャカにネジまで分解してスクラップにしてやるあるよーっ!」
「「「ゴールデンあんあんぱーん」」」
コウの聴覚にもはっきりと届く。
距離がありすぎるぐらいあるのにはっきりと聞える八つ当たり的な雄叫びとドスの聞いたあんあんぱ―んの声……多少の疑問はあるが、この難癖つけながら機械帝国の兵隊たちを蹂躙していく集団の声。
「コ、コウちゃん、もしかしてーっ!? 噂の集団じゃないかな!」
「噂の集団?」
目を丸くした座敷わらしのミナちゃんはコウの右腕を小さな両手で掴むと興奮した気持ちそのままにブンブン振る。
「そうだよ! たしか機械帝国の拠点を無差別に襲撃しているゲリラ集団だよ! 名前は、え、えーっと……あっ! そう、『ご主人さま連合・奴隷少女Aと愉快なあんぱん達』だったと思うよ!」
コウも少し興奮する気持ちを抑えながら座敷わらしのミナちゃんにの手をとって鉄格子に顔をつけてその先の闇に目を凝らそうとすると。
「ほほーっ、よっぽどあたし達ご主人さま連合に見つかりたくなかったあるかーっ!? こんな機械帝国のポンコツ支部のゴミ捨て場監獄に入って、あたし達がどれだけ苦労して探し回ったと思っているあるかーっ! 姿かたちを変えて転生しているなんて……なんてお茶目なお遊びをしているあるか……これはもう、ご主人さまに名前を授けてもらうのと同時に蜜月ベットインで童貞もゲットだぜーっのプレゼントを貰わないと採算があわないある……あたしの……あたしの大切なファーストキスを捧げたご主人さま!」
鉄格子越しに立つ少女。
言葉とは裏腹に蜂蜜色の瞳に涙をいっぱい溜めて、古ぼけた銅の剣を大切そうに抱き締めて、『とっても逢いたかった』と言う雰囲気を纏ったとんでもなく美しい少女だった。
いかがでしたか?
コウ君とはいったい何者? そしてリン君はいったい!?
新しい物語が始まった第二部!
そして、第一部のメンバーはどうなっているのか!
皆さまに楽しんでいただけましたら幸せます!
今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします。




