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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第一部 たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事編
119/162

腐敗の世界編……僕の死と再生のその先に

こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます。

「はじめまして、特異点君」


 畳に触れた感触が懐かしい和風のお部屋……っていうかたんぽぽ荘の管理人室そのままではないですかーっ!?


「えっと……男性さんですよね」


「ああっ、男の娘ぽい特異点君と遺伝子は一緒の系統かな……キミの母親であるリリスは僕の遺伝子を弄って創造した逸品神だからね」


 布団にくるまっているたんぽぽ荘の店子さんはめんどうくさそうな笑みを浮かべた。


 その笑み、妙な色気が雰囲気に練り込まれたように感じる、だけど見かけは布団にくるまったニートさんみたいですよーっ!?


「特異点君……キミの周りで起きている現実はどこかおかしいと思わないかい?」


「おかしいこと? そりゃもう、おかしいことだらけで何が何やらわからないですのでお家賃を収めてください」


「お金ない」


「お金がないですって―!? それは困りますよーっ! 600年も貯め込んでいるのですから回収できないと僕がアラハ先輩にピーやピーやピーの刑にされてしまうではないですかーっ!」


「良いのですよ、キミには私の陣営に入ってもらいたいから……そしてあちらの世界で奮闘しているシルクにもね」


「あちらの世界って?」


「記憶が弄られてるのかな」


 困ったものだと小さく嘆息すると綺麗な眉を八の字にして僕の腹部に手を当てる。


それは運命の悪戯を肌で感じた一瞬。


苦笑いしながらその手は僕の腹部を啄むように臓器を抉り取る。


無理矢理爪をたてて鷲づかみにした訳ではないのに傷は深く、喉を震わせるほどの痛みと得体のしれない感覚。


膝から崩れ落ちる……僕は……死ぬ?


「キミは死なないよ……ただ、もう一度スタート地点から見てほしいんだ」


過去の思い出が走馬灯のように……とはいかない。


シルクが……そう、少しだけ大人びたシルクが僕に向かって懸命に叫んでいる。


「真実が見えてるかな……今見ている映像は過去であり現代であり、そして未来でもある映像」


「……ぼ、く、は……」


「無理にしゃべらなくてもよいよ。精一杯生きぬいたこちらの世界、キミにとってのスタートでしかない」


意識が薄れていく……この世界……僕にとってのスタートって? 無茶苦茶な上司の土偶神アラハ先輩、ああっ名前を付けてあげられなかった奴隷少女A、貧乏なのに福の神ミヒロさんに男の娘の極丸さん。


全身から血の気が引いていく……おぼろげな意識が露と消えていく。


――シルク……世界で一番……愛してるよ――


その想いを最後に僕の意識と肉体は完全に沈黙した。



いかがでしたか?

こちら陽気なたんぽぽ荘~大家と店子の家賃戦争~の第一部(完)までお付き合いいただきましてありがとうございます!

謎多き一部は長いプロローグみたいな感じです。

第一部を読み進められた読者様の期待値斜め上を突き進むかきくけ虎龍ワールドを展開していきたいと思います。


こちら陽気なたんぽぽ荘~大家と店子の家賃戦争~第二部もよろしくお願いします!

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