機械帝国編……父親として……キヌ、この娘は馬鹿なのでしょうかヽ(;▽;)ノ
こんばんわ、楽しんでいただけたら幸せます。
「ここの……ここの地を抜かせるわけにはいきません」
襲撃された仏閣の生き残りであった八咫烏が命懸けでもたらしてくれた情報。
そう、わたしが統治する神社にとっては絶望的な情報だった。
機械帝国関東方面侵攻軍がこの新東京全域の神社・仏閣、そして、自衛隊ゲリラ基地に根絶させるための戦略と戦術が動き始めたと一報。
今の戦力で互角の戦いが出来るなどとは微塵にも思わない……機械帝国が支配地域に派遣している戦力を見れば一目瞭然。
それに我々は他の地域からの有形無形の援助など期待できない。
小さな部屋……板敷の床に梁がむき出しになった天井、粗末な部屋。
だけど、ここがリン殿……いや、かつて、わたしに戦術と戦略の全てを伝授してくださった師匠……お亡くなりになられた師匠、そして、孤高の天才軍師と称されたリン殿との約束をかわした場所。
今のリン殿はリン殿でありリン殿でない……シルク様も同様……あの世界を知る一柱として、剣帝・奴隷少女A様や福の神ミヒロ様との誓いを守るために。
随分とくたびれてきている『神器・招き猫の着ぐるみ』。
かつて、わたしが知っている世界にて剣帝・奴隷少女A様が機械帝国将軍と激戦の末に相討ちなされたときの形見。
そう、わたしが……まだ、あの世界……魔大陸で……。
……あの未来を繰り返さないために。
その情報は瞬く間に神社中に伝播……失望と驚きが神社を支配していた。
「魑魅魍魎の類ですら裸足で逃げ出す奴らが迫ってるって!?」
「近くの神社や仏閣はもう攻撃を受けているらしいぞ!」
「動ける奴は武器を持て! 捕まるぐらいなら神社を枕に討ち死にしたほうがまだマシだ!」
『死ぬ』と言う言葉。
恐怖に支配された言葉が現実味をおびて、見当もつかないざわめきに心が浸食されていく。
「とっておきの恩赦なのです! 大人すぎるキヌは乙女をコケにしたことは許して、ここは一つ仲直りしてやるのです! キヌに感謝するのです、もうもう感謝しすぎて死んでしまえ!」
「許すのに死罪かーい!」
「そのツッコミはお母様が愛した馬鹿お父ちゃんのツッコミみたいなのですーっ!……ところで、お前の名前はなんというのですか? わたしの名前だけ知っているなんてイケズなのです」
唇をちょっびり尖らせながら勢いよくグググーっとがぶり寄ってくるキヌ……あまりおおっぴらに明かしてしまうとヤバイ気がする。
僕の困ったような思案顔を見たキヌは『ひょっとしたら何かよからぬことを考えてるのでは!?』オーラをプンプンと放ちながらジト目でこっちを見てくるぞー!
「怪しいのです……その瞳は怪しすぎるのです! 奴隷少女Aおばさんの嫉妬ぐらいはっきりこっきりちゃっかりと生きてきたわたしは騙せないのですよ!」
ダンダン! と苛立ったような足さばきで床を叩きながらフーフーと目を三角にして疑わしやビームをぶつけてくる!
「キヌ……僕の名前はリン」
今の僕は複雑な表情をしているだろうな……控えめな声で答えるとキヌは少し怪訝そうな面持ちをしたが、何かピーン! と閃きそうな感じで小首をかしげた。
「うーん、リン? どこかで聞いたことのある響きなのです……ああっ、805号室の狼オカマさんの首につけていた鈴の音なのです……たしか、どMの鈴(改)だったのです!」
ガッデーム! 大真面目な顔に切り替わったときの答えが、ピーンと直感が働いて出した答えがそれなのですかーっ!?
真剣な真実を通り越して紛い物の真実にたどり着いたのですーっ!? と言いたげな表情になってしまうぞ……シ、シルクよ、キヌにどういう教育をしたのですかーっ!?
いかがでしたか?
次話より神社防衛戦の話が始まります。
そして招き猫の神の正体はいったい……もしかして、気がついている読者様はおられますか? この時点でお気づきなら、虎龍は完敗でございます(☆∀☆)
今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします。




