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コン、コン。
体が、びくりと跳ねた。
「は、はい」
わずかな沈黙のあと。
「紗和、入ってもいいか」
その声に、胸の奥の緊張が、ふっとほどける。
「……どうぞ」
扉が開いて、朝の光が、細く差し込んだ。
立っていたのは、アルヴェインだった。
「おはよう」
昨日と変わらない声だった。
「……おはようございます」
少しだけ視線を逸らすと、彼は部屋の中を見回す。
「寝られたみたいでよかった」
「……はい」
本当は、少ししか眠れなかったけれど。
彼は頷く。
「今日は、この礼拝堂の中を案内するよ。分からないことがあったら、その都度言って」
踵を返しかけた背中に、思わず声が出る。
「……帰れますか」
自分でも驚くくらい、あっさり出た。
アルヴェインの足が止まる。
振り向いた顔は、昨日と同じように穏やかだった。
でも、ほんの少しだけ、間があった。
「……すぐには難しい」
すぐには。
その言葉だけで、胸がきゅっとなる。
「でも、方法は探す」
静かな声だった。
……昨日、あの場にいたのは、全員子供だった。
「たまたま」だと、誰かが言っていた。
信じられない。
でも、信じないと。
「はい」
曖昧に笑って頷くと、アルヴェインさんは少し表情を緩めて歩き出した。
その後を追って、私もついていく。
……追いつけない、ということはなかった。




