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泣いたまま眠ったせいか、瞼が、じんと重たい。
ゆっくりと起き上がって、部屋の隅にある、小さな鏡を覗いた。
……ひどい顔だ。
目の縁が赤くて、少し腫れている。
これじゃ、すぐに泣いたって分かる。
トイレの脇にある流しで、顔を洗った。
冷たい水が、頬にしみる。
それだけで、少し、目が覚めた気がした。
腫れも、ほんの少しだけ、ましになるだろう。
ポケットから、しわくちゃのハンカチを出した。
顔に押し当てると、いつもの洗剤の匂いがした。
それだけで、また、涙が溢れそうになる。
慌てて、上を向いた。
顔を洗ったとき、水が胸元に跳ねた。
襟ぐりが濡れて、少し、冷える。
これ、着替えたいな。
何かないかと、部屋を見回した。
でも、あるのは、調理台に掛けてあったエプロンくらいで、着られそうなものは他にはなかった。
アルヴェインさんが来たら、お願いしてみよう。
……ちゃんと、来てくれるだろうか。
急に、胸がドキドキしてきた。
来てくれなかったら、どうしよう。
部屋の前で、誰かが息をしている気配は、あるだろうか。
耳を澄ませてみたけれど、よく分からなかった。
……いるよね?
コン、コン。




