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始まりの聖女 ─彼女が呼ばれたわけ─   作者: はたの


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誰もいなくなった部屋で、ベッドに寝転んだ。


思ったより、固い。


一度、体を起こして、毛布を一枚、敷布団みたいに広げる。

その上に、もう一度、横になった。


さっきよりは、ましだった。


……みんなに会いたい。



天井の模様を、ぼんやりと目で追った。


見慣れない部屋の中で、動けなくなる。



それだけで、胸の奥が、ぎゅっと縮む。


颯馬なら、こんな時、なんて言うだろう。


「大丈夫だって」って、軽く言って。

それで、結局、全部引き受けてくれる。


あの声を、思い出しただけで、喉の奥が熱くなった。


まだ、謝れてない。

玄関を出る直前だった。

アイスを買って、渡して、それで終わるはずだったのに。


お母さんは、きっと、もう夕飯の支度をしてる。

お父さんは、帰りが遅い日だったかもしれない。

でも、私が帰らなかったら、絶対、心配する。


スマホを探そうとして、ここには、そんなものはないことに気づく。


胸が、すうっと冷えた。


……連絡も、できない。


布団代わりの毛布を、ぎゅっと握った。


「……颯馬……」


小さく呼んでみる。

返事なんて、あるはずないのに。


お母さん。

お父さん。


名前を、心の中で並べる。


ここにいない人たちの名前ばかり、増えていく。


声が、震えた。


泣かないって、決めてたのに。

昼間は、ずっと、我慢してたのに。


今は、誰もいない。


毛布に顔を埋めて、息を殺そうとした。

でも、うまくできなかった。


小さな声が、漏れた。


……帰りたい。


……みんなに、会いたい。





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