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始まりの聖女 ─彼女が呼ばれたわけ─   作者: はたの


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「紗和」


少し目を閉じたと思ったら、声がした。



アルヴェインさんが申し訳なさそうな顔で、私を起こす。


「先生、お願いします」



気づかなかったが、彼の横には柔和な顔の老人が立っていた。


老人はアルヴェインさんの持ってきた椅子に座り、私ににこりと笑いかける。


「医者のエルマーです。少し診せてもらいますね」


かさついた喉では返事が出来なくて、私はこくりと頷いた。



エルマー先生はおでこ、目、喉、と順番に診てくれた。


「ああ、これはしんどかったでしょう。喉が真っ赤だ」


エルマー先生は、痛ましそうに顔を顰めた。


「次は手首に触れますね」


ぶかぶかと大きな服の袖を捲られ、手を取られる。




手と手が触れた瞬間、ふんわりと光が溢れた、ような気がした。


……見間違い?


と思ったが、アルヴェインさんもエルマー先生も不思議そうな顔をしている。


エルマー先生が、自身の手を見る。


はっ、と息を飲む音がした。


先生は後ろのアルヴェインさんを振り返った。


「アルヴェイン様」



アルヴェインさんも先生の手を確認すると、言葉を失ったように、その手を見つめ続けた。




熱に浮かされた私は、ただ、ぼーっと二人を眺めることしか出来なかった。



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