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始まりの聖女 ─彼女が呼ばれたわけ─   作者: はたの


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ガタン、という物音がして目が覚めた。


なかなか上がらない瞼で周りを見る。


大きな影があった。



……アルヴェインさん?



その影はまっすぐ私に近づくと、そっと額に手のひらを乗せた。



「……」


何か言っているけど、うまく聞き取れない。



冷たい手をなんとか握って、


「みず……」


とだけ言った。


すぐに、調理場から水を汲んできてくれて、体を起こしてくれた。



唇を湿らせるように、少しずつ、少しずつ。


かさついた喉が、少し楽になる。


そのままゆっくりと、枕へと頭を乗せてもらう。


さっきよりも、呼吸がしやすい。




けれど、アルヴェインさんは離れなかった。


足音が、何度も部屋を横切る。


立ち止まったと思ったら、また歩き出す。


ぼやけた視界の向こうで、何回も髪を掻き上げていた。



見ているだけで、なんだかそわそわした。



私の視線を感じたのか、アルヴェインさんと目が合う。


どうしたんだろう、と思った時、声をかけるより先に咳が出た。


かさついた喉から出る音は、ガサガサと不愉快だった。




焦ったように、アルヴェインさんは近寄ってきて、背中をさする。



咳が落ち着いてくると、また水を飲ませてくれた。


アルヴェインさんの綺麗な顔が、私を覗き込む。


冷たい手が、また額に触れる。



「少しだけ、待ってて」


決心したような声だった。




足音が遠ざかっていくのを聞きながら、また目を閉じた。








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