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始まりの聖女 ─彼女が呼ばれたわけ─   作者: はたの


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結局、少しふらつくまま、小礼拝堂へ戻ってきた。


「また明日、様子を見に来るから」


アルヴェインさんは、そう言って静かに扉を閉めて去っていった。




布で包んだ髪をほどくと、まだじっとりと湿っていた。


手櫛で整えた後、片側に纏めて、また同じように包む。


「明日の朝、髪、ボサボサだろうなぁ…」


固い寝台へ寝転がると、少し、息がしやすくなった。


昨日よりも、よく眠れそう。


そう思った頃には、もう瞼が落ちていた。







寝苦しさで、目が覚めた。


体に乗った布団が暑くて、重くて。


移動させようと腕を動かす。


……動かなかった。


頭が上がらない。

指にも、うまく力が入らない。


息が浅くて、体が熱い。


きっと風邪だ。


なのに、ひどく苦しい。



窓からの光は、ない。

まだ夜なんだろう。


こんなに苦しいのに、アルヴェインさんが来るまで、生きていられるのかな。


毎日来ていたし、また来るって言ってたし、彼は来てくれるだろう。


けど。


「うぅ……」


涙が、一筋、流れた。


大きな声で泣きたいのに、体がだるくて出来ない。


「お母さぁん……」


動けないまま、涙だけが頬を伝っていく。


気がつくと、また意識が途切れていた。








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