6、新しい友達
「私はユミンス。十四歳だよ。ユミでいいよ」
「俺はルイス。十五歳」
私たちは自己紹介した。ルイスは誕生日が過ぎたってことかな?
「私はミサ。私も十四歳」
「私はメイア。十三歳」
ミサはやっぱり同い年なんだ。四人で歩き出した。ミサが自分たちのことを話した。
「私たちは薬屋二件と契約してるんだ。魔法袋はその店の物を借りてるんだよ」
「そうなんだ!」
儲かってるわけじゃないんだ……。私も自分のことを話した。
「私も薬草を取ってるだけ。協会で換金してるけど、少しだから昨日は十ルトだった。薬草のことは、まだ勉強中だよ」
「薬屋だと協会の、〇・五から一・五倍で換金してくれるよ」
マイナスは絶対嫌だから、協会でいいや……便利だし。
「私たちが契約してる店は、一・二から一・五倍だよ。薬草の効果によって金額は変わるの。一層目は効果が低いよ。私たちはそれぞれ、一日五〇ルトね」
「すごいね。私は派遣で働いてたけど、だいたい一日二五ルトだった」
「でも、冒険者ならもっと稼げるでしょ」
「うん、昨日は六倍稼いだな……。今日は私もミサたちを手伝うよ」
『えっ!』
二人はまた驚いた。
「……あなたたち、本当にいい人ね」
「え、でも、私も取ったら減っちゃうでしょ。それに、サンテス寮の子たちはみんなそんな感じだよ」
「そうなんだ! 私たちがいるアトロス寮は冒険者だけだから、殺伐とした感じ。
他の寮は普通なのね。そっちのほうがいいのかな……でも、ダンジョンから遠いよね」
「少しね」
アトロスはダンジョンのある地区の名前だ。
「私とメイアは同郷で、二人とも体が弱くて小さい頃から薬の世話になっていたの。ダンジョンに薬草を取る仕事があるって聞いて、村から出てきたのよ。
ダンジョンはやっぱり近い方がいいのよね。薬屋も近いし」
「私も似たようなものだよ。農作業よりこっちのほうがいいって言われて来たんだ」
「私たちと格好が似てるからそうかなと思った」
三人ともスカートに肩掛けカバンだった。狩りをする格好じゃないよね。二人は物静かだけど、なんだか親近感あるな。
突然、甲高い鳴き声がした。
「鳥が来たよ」
メイアが怯えた声で言って、ミサに寄った。私はモンスターを見ると、感動して大きな声が出た。
「あれは、怪鳥のカロットだよ」
目つきの怪しい赤い鳥がこちらめがけて飛んできた。火属性のモンスターだ! 二層目から、属性のあるモンスターが出てくるんだな。
前を歩くルイスが剣を振ると、赤い風でカロットはポンッと消えた。赤い魔鉱石が落ちる。
「すごい!」
ミサが口元に手を当て、聖剣の威力に驚いた。ルイスは魔鉱石を拾うとズボンのポケットにしまった。
また、先に進むとゲートにたどり着いた。一層目と距離は同じぐらいかな。
「私たち、こんな奥まで来たことないのよ」
「そうなんだ」
「あ! 見て、毒消し草がある!」
メイアがゲートの向こう側を指して叫んだ。
「本当だ!」
二人は喜んで駆け寄った。急に飛び出したけど……あの鳥の縄張りなら、しばらくは大丈夫そうだな。私も毒消し草を教えてもらって採取した。ルイスが見張りをして、私たちで採り尽した。
「すごいわ。毒消し草は高値が付くから、良かった!」
ミサもメイアも喜んだ。最初と違って、柔らかい表情だ。昼休憩を挟んで、また奥に進んだ。ミサたちは十四時ぐらいで切り上げるそうだ。私たちも朝から入って疲れたので、そうすることにした。
その後、ホーンドッグとホーンキャットが出てきた! まだ弱いほうだ。相変わらずアイテムをドロップしなかった……。今日も収穫は四体で、他のパーティとは出会わなかった。ミサが言うには、
「みんなすぐ三層目に行くんだよ。ドロップ率が高いから」
「そうなんだ」
時間になったので、ゲートに戻った。ゲートに入って、塔の二階に出ると階段を下りた。
「二人とも今日は本当にありがとう」
「ありがとう」
「うん。いいよ」
二人にお礼を言われ、私たちはうれしかった。
「ユミとルイスと知り合えて良かった」
「うん。もう友達だね」
「うん!」
メイアが喜んで返事をした。ミサが私たちに聞いてくる。
「ユミたちは明日、三層目に行くの?」
「うん。そのつもりだよね」
ルイスに聞いてみる。
「うん」
「そっか、じゃあ、入口まででいいから、付いて行ってもいい?」
ミサがちょっと気まずそうに頼んできた。入口でも危ないからかな?
「いいよ」
「ありがとう。三層目までは行ったことないんだ。明日も二層目にいるから声をかけて」
「分かった」
ミサたちは薬屋に行くので、塔の外で別れた。私たちは協会に向かった。ルイスがその途中で話してくる。
「取り分のことだけど。やっぱり半分がいいと思う」
「そっか……ルイスの気持ちはすごくうれしいよ。でも、これから装備がいると思うんだ。魔法具は高いから」
「そっか!」
ルイスもお金がいることに気がついたようだ。
「今のところ私は三分の一でいいから。残りはルイスが貯めておいて。必要になると思う」
「分かったよ」
ルイスは明るい顔をした。私は今日のことを言った。
「今日は友達ができて良かったね」
「うん。そうだね」
ルイスもうれしそうだった。私が協会に入ると、昨日のおじさんがいた。ちょっと嫌な気分になった。
ダリアさんに換金をお願いすると、
「昨日と同じか!」
またおじさんが、魔鉱石の数を見て横から口を出した。私はムッとした。
「今日は二層目に行ったんです。おじさんは昨日もこの時間にいましたよね」
「みんなすぐ三層目に行くのに、お前らちゃんと順番に行ってるのか!」
「この子たちは他の子と違うんですよ」
ダリアさんが口を挟んだ。
「ふ~ん、なるほどね。
お前たちは知らないから教えてやるが、普通のダンジョンは混んでるから、必要なものが手に入ればすぐに引き上げるのさ」
へ~そうなんだ。普通のダンジョンの話が聞けた。ちょっと親切なのかな、このおじさん。
「それに、今日は昨日より多いわよ。五七〇ルトね」
「お~」
増えた。私たちは喜んだ。
(それで喜んでる)「……本当だな」
おじさんはその様子を見て、意外そうに言った。
「今日は薬草は無いのね」
「はい、友達の手伝いをしたから」
「あら、もしかしてミサたちと仲良くなったの?」
「はい!」
「良かったわね」
ダリアさんがほほえんだ。私たちは、取り分を昨日と同じにしてもらって受け取った。




