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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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5、薬草取りの女の子たち

 私たちは塔の外に出た。


「お、早かったな」


 門番のおじさんに言われた。私はちょっと聞いてみた。


「みんなはどのぐらい入ってますか?」

「だいたいみんな、朝から夕方まで入ってるよ」

「そうなんだ! じゃあ、私たちも明日はそうしよっか」

「うん」

「最初だから賢明な判断だぞ」


 おじさんに褒められた。


「さようなら」

「ああ」


 おじさんに別れを告げると協会に行った。中に入って時計を見ると、十四時すぎぐらいだ。中の人は少なくなっていた。ちょっとホッとした。

 受付に行って、今日取ってきたものを出すと、ルイスが言った。


「換金お願いします」

「はい。じゃあ量りますね」


 ダリアさんが量りに掛けた。


「魔鉱石が四五〇ルトね。薬草が十ルトよ」


 十かあ。百ルトが銅貨一枚。一日の給与がだいたい二五ルトだから、半分以下で全然足りないな……。


「なんだ、それだけか」


 急に横から声がした。体が大きくて黒い短髪に顎髭(あごひげ)を少し生やした、ちょっと若いおじさんが口を出してきた。ここの大人たちは、黙っていられないのかな……。おじさん、それだけって言うけどルイスの分は、私のお給料のほぼ一ヶ月分なんですよ!


「この子たちは今日が初めてなんですよ。失礼なこと言わないで!」


 ダリアさんが、ぴしゃりと言ってくれた。さすが、ちゃんと働く大人は違うな。大人はそうでなくっちゃ。


「あ、いや、すまん。大層なものを持っているから、つい」


 聖剣のことだな……。おじさんはダリアさんの言葉にひるんだ。その理由は、協会の職員は冒険者資格の剥奪ができるからだ。

 ダリアさんは手をシッシッと振って、おじさんを追い払った。ルイスと私は顔を見合わせてニッコリほほえんだ。ダリアさんが聞いてきた。


「取り分はどうするの?」

「じゃあ、半分で」

「えっ!?」


 ルイスが軽く答えたので、私は驚いた。


「待って、私は薬草の分だけでいいよ。モンスターはルイスが倒したでしょ」

「でも、ユミがいなかったらダンジョンには入れなかったから。パーティだし半分でいいよ」

「そうなの……」


 ルイスの気持ちはすごくうれしい……。


「じゃあ、私は昨日まで働いた分があるから、今日は三分の一でいい。ルイスはまだ収入がないでしょ」

「分かった……ありがとう」

「あなたたち、いいパーティになるわよ」


 ダリアさんが褒めてくれて、二人で照れた。ダリアさんからお金をそれぞれ受け取った。私は一五四ルト、銅貨一枚と十硬貨五枚と一硬貨四枚だ。一日でこんなに稼いだの初めて! ちょっと感動した。これなら、ポーションを買っても五四ルト残る。いつもの稼ぎの倍だし!


 でも、さっきおじさんが言ったことは当たっている。モンスターが強くなれば、装備が必要になる。魔法具は高価だから、冒険者の費用はかさむ。聖剣があっても、魔法具があったほうが、絶対いいもんね。


 私たちは外に出た。まだ、明るい。今日はなんて清々しい一日なの。ルイスが私に聞いてきた。


「明日は何時に行こうか?」

「そうだね……朝は混むのかな?」


 私は考えた。普通ダンジョンは一日開いているけど、子供ダンジョンは朝九時から十七時までだ。


「じゃあ、少し遅めに行こうか。九時に寮を出るとか」

「うん。じゃあ、そうしよう」


 帰りに買い物をして帰った。明日も楽しみだ! 薬草をもっと調べないとな。図書館で本を借りてるけど、今日の稼ぎで本を買ってもいいな。

 税金は、金貨一枚から払うことになるけど、仕事で使うから経費になるよね。今の年収は銀貨六枚の予定だった。貨幣は銅貨から十枚単位で上がる。



 翌日ダンジョンに行くと、塔の前で三人のパーティと会った。私は挨拶した。


「おはよう!」


 男の子たちのパーティはちらりとこちらを見ると、すぐに前を向いてドアに入っていった。なんか、感じ悪い……。

 門番のおじさんが挨拶してくれた。


「おはよう。今日は早く来たな」

「はい。おはようございます」

「おはようございます」

「頑張れよ」

「はーい。ありがとうございます」


 おじさんに手をふって中に入った。さっきのパーティはもういない。通路を進むとルイスが言った。


「今日は二層目に行こう」

「うん」


 下の層に行く階段は、層の入口の手前にある。石の階段を下りた。石壁に明かりが灯っているが、階段は薄暗かった。


「ちょっと怖いね」

「そうだね」


 ルイスも同じだったので、ホッとした。

 下の層の明かりが見える。二層目も一層目と同じ感じの森だった。一層目は静かだったけど、二層目は(かす)かに甲高(かんだか)いモンスターの鳴き声が聞こえる。なんだか怖いなと思った。入口からすぐ近くに二人女の子が見えた。薬草を採取している。


「人だ!」


 やっと中で人と遭遇した。私はまた挨拶した。


「おはよう!」


 その声に驚いて、女の子二人はビクッとした。あ、驚かせちゃった。二人は顔を見合わせた。


「……おはよう」

「おはよう」


 挨拶してくれる人がいた! 良かった……。でも、なんかこちらを変な目で見ている。同じ年ぐらいの女の子が、話しかけてきた。


「あなたたち新人でしょ。聖剣の勇者の子がいるって、他の子たちが話してた」


 えっ!? 私たちのこと広まってるの? 子どもには今日会ったばかりだ……。私とルイスは顔を見合わせた。——多分、あの大人たちが話しているのを聞いたんだな。


「私たちはいつも手前で薬草を取っているの。だから、薬草を取るなら、ゲートの向こう側にしてちょうだい」


 え? 私がその言葉に驚いていると、ルイスが言った。


「そういった制限は禁止だと思う」


 ルイスが言い返したので、二人はムッとしたまま黙った。この子たちは武器を持っていない。大人でも薬草取りだけで冒険者になる人もいる。ダンジョンの薬草は、一日経てば元通りに生える。

 なんか気まずくなったので慌てて言った。


「大丈夫だよ! 分かった。奥にも薬草はあるからいいよ! この層のモンスターもやっぱり危険だよね」

「……うん。変な鳥は縄張り意識が強いから、攻撃してくると思う」


 もう一人の年下の子が答えた。——多分、あの甲高い声のモンスターかも。気をつけよう。


「奥のほうがいい薬草が取れるって話だけど、私たちは行けないから」

「えっ、それなら、今日一日はこの層にいるから、一緒に行こうよ。いいでしょ、ルイス」

「うん」

『えっ!?』


 二人とも驚いた。


「いいの?」

「うん」


 私たちは別に急いでいない。二人は顔を見合わせると、カゴに入れた薬草を、小さく平たい袋に入れ始めた。あれは、魔法袋だ! 私は二人に聞いてみた。


「それ、魔法袋だよね」

「うん、そうだよ」


 魔法袋は金貨二枚の超高額な魔法具だ。意外と薬草取りは儲かるのかな? 二人は最後にカゴも袋に入れて、出発準備を整えた。


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