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隣りの勇者とパーティを組むことになりました  作者: 雲乃琳雨


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4、初ダンジョン!

 小さい部屋に入ると一人ずつ椅子に座って、魔法石で写真を撮った。


「じゃあ、首から下げる冒険者証ができるまで、一時間講習するからね」

『はい』


 協会は奥行きがある三階建てだ。次の部屋は、前に黒板と長い机と椅子があった。私たちは一番前の席に並んで座った。私も冒険者のことは詳しくない。ちゃんと聞かないと。


 注意事項の説明をローイさんがしてくれた。一時間ぐらいすると、別のお姉さんがかごを持ってきて、ローイさんに渡す。


「冒険者証ができたぞ。——ユミンス」


 私が先にもらった。うわぁ! 本当に冒険者になっちゃった!

 角の丸い鉄の板に名前とその後ろにランクのF、下の行に誕生日、次の行にパーティ名が書かれていた。名前はサンテスが通った。裏には、ここのアトロス支部の記号ATと冒険者番号が書いてある。


 次にルイスが受け取る。ルイスには、リーダーマークの☆が刻印されていた。二人で首から下げて、にっこり笑った。

 ローイさんが、瓶を一つずつ渡してくれた。


「これはポーションだ。子供には無料で一本渡している」

『ありがとうございます』


 二人でお礼を言った。ポーションは回復薬で、ダンジョンに入る時は必ず人数分、持って行かなくてはならない。ポーションは魔法使いが作るので、銅貨一枚と高額だ! 子供は所持金が少ないので、協会から一本サービスしてくれるとのこと。これは昨日、ルイスから聞いていた。


「荷物がそろっているなら。ダンジョンに入るか?」

『はい』


 私たちは返事をした。昨日の打ち合わせで、講習の後そのまま入ることにしたのだ。荷物は、事前に必要なものを書いた紙をもらってきていたので用意してある。


「じゃあ、案内しよう」


 玄関を通らず、横の入り口から外に出た。私はルイスに言った。


「こっそり出られて良かったね」

「うん」


 ルイスは笑った。ダンジョンの入口は二つある。白い塔が二基建っていて、塔の後ろは岩肌の出た丘で、上は森になっている。手前の三階の塔が普通ダンジョン。向こう側の二階の塔まで歩いていく。


「ここが子供用のダンジョンだ」


 子供用は普通ダンジョンを、魔法で分離して作ったものだ。入口には、門番が一人立っていた。普通ダンジョンにはいない。子供用は大人が入らないように見張っているのだ。怪しげな大人たちに邪魔されなくていい!

 ローイさんが門番に話しかけた。


「新入りだ。後は頼むよ。じゃあ気をつけて」

「はい」

「ありがとうございます」


 ローイさんは、手をふると協会に帰って行った。門番のおじさんが、声をかけてきた。


「じゃあ最初だけ荷物チェックをするよ」


 初心者は、必要な所持品があるのかをチェックすることになっている。必要なものは武器と治療用具と時計、人数分の食料と水、ポーションだ。武器はルイスの聖剣、治療用具と時計は私が用意した。食料と水はそれぞれが持ってきた。ポーションはさっきもらった。


「大丈夫だね。じゃあ入っていいよ。気をつけてね」

『はい』

「行ってきます」


 私たちはドアの中に入った。中は少し広いホールになっていて、窓からの明かりと天井の照明があって(ほの)明るい。壁に沿って左側に二階へ行く階段と緊急用エレベーター、空いてるスペースにベンチと楕円の小さいテーブルが三個置いてあった。右側に男女に別れたトイレがある。トイレはダンジョン内の各層にも二個ずつある。


 正面には岩肌がくり抜かれたダンジョンへの通路が暗く開いていた。黒い格子の扉が付いていて、今は開いている。


 私たちは顔を見合わせると、ルイスから入口に入った。通路の中は薄暗いけど、壁に魔法石の灯りが灯っていてなんとか大丈夫だ。先のほうに光が見えた。ダンジョンの入口の手前には下の層に行く階段がある。


 通路が終わって森に出た。手前は低い草が生い(しげ)り、木がまばらに生えている。ここは丘の中だと思うけど、中に森があるなんて不思議! ルイスも感心していた。


「森があるなんてすごいね」

「本当にそうだね!」


 天井は高くて白く、外のように明るかった。横を見ると、壁に沿って三人は通れそうな幅の芝生の道がある。入口の横には左右に別れてトイレがあった。右手が男性用、左手が女性用だ。もう一つのトイレは、中央ゲートから北の壁にある。トイレが完備されていて、ダンジョンはすごいな……。


「じゃあ、俺が前を歩くから後ろから付いてきて」

「分かった」


 ルイスは聖剣を取り出した。私は武器を持ってないから、付いていくだけだ。ちょっと役得だな。ダンジョンにある薬草は普通の薬草より効果が高いから、採取していこうと思う。事前に少し調べてきた。

 

 子供ダンジョンは十層まである。最下層まで行ってボスを倒せば、クリアで普通ダンジョンに入れるようになる。


 少し進むと角を持ったピンクのうさぎ、ホーンラビットが現れた。は、初めてモンスターを見た! すごい! 動いてる!!


 ルイスが聖剣を払うと、聖剣から出た赤い風でホーンラビットが消えた。赤い魔鉱石が落ちる。モンスターは瘴気(しょうき)と魔鉱石でできているので、倒すと消えてしまうのだ。


「すごい! 風だけで消えたよね!?」

「うん。これが魔鉱石か」


 ルイスは魔鉱石を拾い上げた。


「ホーンラビットは無属性だからいろんな魔鉱石を落とすし、たまにポーションも落とすよ」


 アイテムのポーションは魔法使いが作るものとは違う。アイテムがなくて残念。小さい魔獣はアイテムを持っていなかったりする。三体に一体ぐらいの割合で落とすらしい。

 魔鉱石は重さで換金される。小さいものでも銅貨一枚ぐらいだ。私の月のお給料が銅貨五枚だから、すごく高価! 冒険者は稼げるから、人気の職業でもある。


「ユミは詳しいね」

「うん! 大体覚えてるよ」

「すごい!」

「え? そうかな」


 なんか褒められてうれしかった。


「じゃあ、進もう」

「うん」


 まだ一層目だから小さいモンスターが多くて簡単だ。

 しばらく行くと、中央ゲートが現れた。魔法陣の上にピンクの透明な光が天井まで筒状に伸びている。ここに入ると、塔の二階に転送されて一気に帰れるのだ。ゲートはダンジョンの中央にあるから、真ん中まで来たんだ。一キロメートルぐらいだろうか。

 下の層に行くほど広くなる。ゲートを中心に十字に道があり、反対の突き当たりにも階段がある。


「大体の広さが分かるね」

「うん」


 この後、ホーンリスとホーンマウスに出会った。本当に小型ばかりだ。でも安全に狩りができて良かった。魔獣の瘴気に当たると気分が悪くなって倒れることもあるし、体内に入れば死ぬこともあるのだ。だから、ポーションは必須だ。ポーションがあれば、瘴気を浄化できるので大体は助かる。


 全然他のパーティに会わなかった。きっとみんな下の層にいるんだろう。私たちは遅い昼ご飯を食べた。


「今日はこのぐらいにしておこうか」

「うん、そうだね。まだ初日だし!」

「ゲートまで戻ったら、帰ろう」

「うん。ゲートを使うのが楽しみ!」

「俺も」


 ご飯を食べ終わると折り返した。帰りにも、ホーンラビットに会った。


「これで四体だな。ランクアップはまだ先だろうけど」

「明日も頑張ろう!」


 私の冒険者ランクは上がらないけど……。ランクはモンスターがランクごとに分けられていて、その階級のモンスターを倒せばランクアップするのだ。

 一から三層目まではF級モンスターしかいない。子供ダンジョンはC級モンスターまでしかいない。ボスが唯一のC級だ。


 私は、ここに来れただけで楽しかった! 道すがら薬草を採取した。私の収穫はこれだけだな。一日の稼ぎ分にはなっただろうか?

 薬草は薬屋に持って行けば、高く買い取ってもらえるけど、子供だと足元を見られるそうだ。協会での換金は割安になるけど、知ってる店もないので協会で換金することにした。


 ゲートまで行くと二人で中に入った。中はエメラルドグリーンだ。壁が光の縦線に変わって外が見えなくなると、アッというまに明かりの灯る部屋の中央に着いた。光の筒は消えた。


 ここが塔の二階だ。二階も緊急用のエレベーターと、休憩できるようにベンチとテーブルが置いてある。エレベーターは滑車式で動力は魔法石だ。緊急用というのは、動けなくなった人を運ぶためのものだ。

 しばらく二階を見学してから、(はし)にある階段を下りた。


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